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株式会社ジュピターテレコム(J:COM)は、同社のCATV網で提供しているVODサービス「J:COMオンデマンド」を9月12日よりリニューアルする。各サービスエリアで順次新システムを導入し、9月末には全エリアで新システムを稼動する。 J:COMオンデマンドは、同社のデジタル放送/多チャンネルサービス「J:COM TVデジタル」の加入者向けVODサービス。1タイトル105~525円でコンテンツごとに購入/視聴できるほか、月額固定のカラオケなども用意されている。 従来のJ:COMオンデマンドでは、表示や操作レスポンスが遅いなどの指摘を受けたことから、新サービスでは操作レスポンスやインターフェイスの改善に注力。HTMLを活用したインターフェイスにより、見やすく使いやすいサービスを目指したという。
PinP表示にも対応し、トップページなどに表示する子画面を新コンテンツの紹介や、広告販売などに利用する。検索機能も強化し、50音検索が可能となった。また、4/8/16倍速の早送り/巻き戻しなどのトリックプレイや、5.1chサラウンド音声にも対応する。 また、2008年初頭に予定している機能強化により、現在の「マイページ」を強化して、お気に入りの番組をレコメンドするなどのパーソナライズ機能も搭載予定。 J:COM TVデジタル加入者であれば、新「J:COMオンデマンド」を利用可能となる。新サービス対応のためには、STBのソフトウェア更新が必要となるが、同社ネットワークを介して順次更新される。 従来は、米コンカレント製の独自システムを利用していたが、新サービスでは、HTMLブラウザをベースにした操作画面に一新。GUIの表示部をHTMLで構築し、PinP表示部などにはRTSPを利用するなど、オープンな技術を採用し、STBとナビゲーションサーバー間の通信を高速化した。映像の伝送については従来通りにMPEG-2 TSを利用する。 新システムの導入により、操作レスポンスの向上だけでなく、柔軟なメニュー構成や新サービスの追加などが可能となる。また、標準技術を活用したことで、J:COMとしても運用負荷の低減が図れるという。
新トップページには、新着/ランキング/ジャンルで探す/チャンネルオンデマンド&カラオケ/J:COMライフ/マイページの各項目を画面左に配置、画面右には子画面で広告やおすすめコンテンツの情報を表示する。また、画面下にはキャンペーン情報などを表示するなど、“VODでできること”を一覧できるトップページ構成とした。 取扱いコンテンツ数が1万を超えたことから、コンテンツの表示方法を改善。新着コンテンツ情報やランキング情報などを導入したほか、ジャンルや50音順のコンテンツ検索機能も追加した。 また、J:COM TVデジタルの放送サービスと連動した「チャンネルオンデマンド」も導入。スターチャンネルや衛星劇場などの有料チャンネル加入者向けの専用チャンネルなどを設けるほか、ディズニー・チャンネルやJSPORTS、旅チャンネルなど、J:COM TV内の各チャンネルと連動した27の無料チャンネルも用意する。
PinP画面に表示する広告による収入増を見込むほか、双方向サービスの利点を活かした資料請求型の広告展開も図るという。また、生活情報や地域情報も拡充し、加入地域にあわせた広告やクーポン提供などの展開も予定しているという。
■ 1万タイトル突破。CATVならではのVODを実現
同社福田峰夫副社長は、J:COM オン デマンドを「われわれにとって大きな戦略的意義を持つサービス」と位置づけ、「タイトル数はこの夏に1万件を超え、大型レンタルビデオショップに匹敵する品揃えになった。順調に成長しており、さらなる強化、拡充を図りたい」と、新サービスへの期待を語った。 同社戦略本部 放送事業戦略部長の高橋邦昌氏は、月間のビュー数が昨年同月比で160%アップの1,300万に、有料タイトル販売が同152%増の50万件を突破したことを報告。タイトル数は1万を超え、7月実績では11,484本となったという。
「映画についてはドリームワークス以外のほぼすべてのハリウッドスタジオを用意しており、レンタルの開始から90日以降で、最新作を提供する仕組みができあがった。007/カジノロワイヤルも8月末からVOD事業者では先行して導入できた」と、コンテンツの充実をアピール。邦画についても、アスミックエースや角川グループとの協力を強調した。 また、従来のVODサービス利用者が男性中心となっていたため、今後は女性や子供向けのコンテンツの拡充も図るという。具体的には、「海外ドラマや韓流ドラマを充実した。まずはHBOと提携して最新の海外ドラマを提供可能となったことが一つの成果」とした。
J:COMオンデマンドの利点としては、「日本で最大のテレビ向けVODサービス。100万件以上の顧客を持つ事例は世界でも少ない。規模を活かした調達力で、コンテンツプロバイダからも真っ先に新作を紹介していただける。放送サービスで構築した各チャンネルとの結びつきも強み」という。 さらに、「一体型のボックスで、放送や録画、VODなどを提供できる点はIP系の事業者にはない強み。ハイビジョンコンテンツの豊富さもCATVならでは」と訴えた。 今後は、「フェーズ2」として年明けに機能強化を図る方針で、パーソナライズ機能の搭載のほか、俳優名やタイトルなどから関連した映画の情報を表示できるなど、検索機能の強化などを目指す。 さらに、ハイビジョンコンテンツの拡充を図るほか、ライブ型のVODサービスなどの機能を備えたネットワークDVRの開発にも取り組むという。「HDD録画とVODで時間に縛られない視聴を提案していく。新しい視聴スタイルを加入者に実感していただき、新しい文化を作っていきたい(商品戦略本部 吉原辰也 副本部長)」という。 □J:COMのホームページ ( 2007年9月5日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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