|
アップルが、iPod touchをはじめとするiPodシリーズの新製品を発表した。iPod touchの9月下旬からの出荷を除けば、iPod shuffle、iPod nano、iPod classicの各製品は、今週末から日本での販売を開始。日本のユーザーもすぐに手に入れられる環境にある。果たして、今回のiPodシリーズ新製品はどんなコンセプトで開発されたのか。米アップルiPodプロダクトマーケティングのStan Ngシニアディレクターに話を聞いた。 -今回の新製品によって、iPodの進化はどんなステージに入ったといえますか。
スタン:iPod touchひとつをみていただいてもわかると思いますが、音楽を聞くためのメディア、映像を見るためのメディア、写真を見るためのメディアとして、大きな進化を図ったといえます。今回の新製品は、大きな変革であり、iPodの製品ラインアップとしては、過去最高のものを用意することができたといえます。 - iPod touchはミュージックプレーヤーやムービープレーヤーという範囲を越えた進化といえそうです。カレンダー機能の搭載や、Wi-Fi(無線LAN)およびブラウザの採用など、携帯情報端末(PDA)としての使い方もできそうですね。スタン:Wi-Fi機能の搭載を例にあげますと、これもメディアとしての進化を図るという点で、必要不可欠であると判断したことから搭載したものです。YouTubeでは700万を超える動画が配信されていますが、これをiPodで視聴するとなると、Wi-Fiでの接続が求められる。だが、Wi-Fiに接続しようとすると、家庭やオフィス以外の場所では認証するためのパスワードや名前などの入力が必要になる。そこでSafariブラウザが必要になる。もちろんブラウザを使用することで、検索などの利用も可能になります。しかし、アップルが目指したのは携帯情報端末を作ることではなく、あくまでも音楽や映像を楽しむためのメディアなのです。エンターテイメントのための機器であるというスタンスは一切変えていません。
- その形状から、iPhoneから電話機能を取り外したものという見方もできそうですが。
スタン:いえ、その見方は間違いです。iPod touchは、iPhoneが前提にあるとか、そこから機能を取り外したものという製品ではありません。iPod touchでは、より音楽や映像、写真を楽しんでもらうためには、指で画面をタッチして使うことが可能な、このインターフェイスを採用することが最適だと判断したのです。iPhoneはあくまでも電話であり、その上でのアップルらしさを表現した。一方、iPod touchはメディアとしての進化です。最初からiPhoneとiPod touchは、まったく別のコンセプトで開発されたものだといえます。 - iPod touchのプロモーションに際して、情報端末としての使い方を訴求する可能性はありますか? 例えば、iPod touchのブラウザ機能を使うことで地図を表示しながら持ち歩くといった使い方、ウェブメール機能を使ってメール端末としても使えるというような用途ですが。なにかしらの周辺機器を接続すれば、Skype端末として利用できる可能性もありませんか? さらに、アプリケーションによって使い方が広がるといったことも考えられそうですが。 スタン:いまの段階では、そうした具体的なアイデアはありません。ただ、どんな使い方をするかはユーザー次第です。ウェブメールとして利用する人もいるでしょうし、音楽を聞きながら、ブラウジングするといったことも可能です。それを制限するものではありません。実は、私も、どんな使い方がされるのかワクワクしています。 - iPod touchの名称はどんな経緯で決定したのですか。 スタン:インターフェイスを見ていただいてもわかるように、iPod touchの操作は、すべて指でタッチして行なうものです。この直感的なインターフェイスは、アップルならではのものだといえるでしょう。まさに、最適な名前だといえます。多くの開発者がこの名前を気に入っています。 - 北米では、スターバックスとの提携によって、スターバックス店内で楽曲をiTunes Storeからダウンロードできるようになりますが、日本での展開はどうなりますか。 スタン:今回の発表はあくまでも北米での発表です。日本での展開については、なんら発表するものはありません。 - 期待していていいのですか。 スタン:いや、それはなんともいえません。
- 一方、iPod nanoの進化は、どこがポイントになりますか。 スタン:iPod nanoには、かねてから動画をみたいという要求がありました。その要求に応えたのが、今回の大きな進化です。320×240ドットの液晶を搭載し、鮮明な動画を見られるようにした。手のひらサイズの筐体と、この薄さ、軽さのなかで、十分動画を楽しんでもらえる環境が出来上がりました。動画を楽しんでいただけるシーンが増えることになるでしょうね。また、従来のiPod nanoと比較しても、英文フォント、日本語フォントともに、より見やすいものに変更しています。アートワークと呼ばれる、文字と画像をひとつの画面で表示する機能も、新たな使いやすさを提供できます。多くの人が慣れているiPodの操作性を損なわずに、インターフェイスを進化させたという点では、すばらしいものが出来たと考えています。 - 従来の縦長のデザインからすると、かなり形状が変わりましたね。これはディスプレイのサイズを優先させたデザインの結果ですか。 スタン:デザインの経緯についてはお話できないのですが、手のひらに入るデザインにはこだわりました。これだけの小さな筐体で、鮮明な動画を見られるなんて信じられないと思いませんか。私は、このデザインがかなり気に入ってますよ。
- 新世代となるiPod classicおよびiPod shuffleのリニューアルについては。 スタン:オールメタルの筐体とすることで、より質感のある塗装ができるようになりました。メタルデザインであることで実現した、表面の色合いが、光が当たる角度によって微妙な変化するといった点も楽しんでもらえると思います。また、容量を増大させ、価格を据え置いたという点で、お買い求めやすくなっています。iPod classicは、オリジナルのiPodということで、この名称をつけました。新世代のiPodとして親しんでいただけると思います。また、iPod shuffleも、新たな色を用意したことで、新たな楽しみが広がったといえるのではないでしょうか。
スタン:これも日本でのサービスについては現時点はなにも決まっていないとしか、申し上げられません。ただ、日本のユーザーからの要求が高いという点は、フィードバックしておくつもりです。 - ちなみに、iPhoneに関しての日本での投入などについて、アップデートするものはありますか。 スタン:2008年にアジア地域でiPhoneを投入するという発表以外には、現時点でお伝えできるものはありません。 - 最後に、今回のiPodシリーズ新製品に関して、日本のユーザーにメッセージを。 スタン:ポケットに入る音楽の数が増え、さらに、ポケットに入れることができるiPodの選択肢も広がることになりました。また、iPodにこれだけ多くの色の選択を用意したのも初めてのことです。日本のユーザーにも、これまで以上に、音楽や映像、画像を楽しんでいただくことができるようになります。ぜひ、ショップで実物を触って、体験していただき、その良さを実感していただければと思います。 □アップルのホームページ ( 2007年9月6日 ) [Reported by 大河原克行]
Copyright (c)2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|