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セイコーエプソン株式会社と株式会社村田製作所は27日、モバイル機器を置くだけで高速に充電が行なえる「ワイヤレス急速充電システム」を共同で開発すると発表した。 従来の充電システムでは、機器の充電に1~2時間を要していたが、今回開発するシステムでは、これを10~15分程度に短縮するほか、ワイヤレスにすることで、複数のモバイル機器を1台の充電器で充電できるようになるなど、利便性の向上が見込めるという。 開発の分担としては、村田製作所が急速充電に対応するリチウムイオンバッテリの開発を担当。そのほか、熱シミュレーション技術による温度解析なども行なう。 エプソンはワイヤレス急速充電システム用ICや、非接点の高効率電力伝送コイル/デバイスの提供、システム開発、充電器モジュールの開発を行ない、3年以内の実用化を目指す。
ワイヤレス急速充電システムは、エプソンが開発/研究を進めていた高効率の非接点(ワイヤレス)電力伝送システム「Air Trans」がベースとなる。非接点電力伝送システムとは、電磁誘導の原理により、ワイヤレスで電力を供給する技術。 従来のシステムでは約30%程度の伝送効率しかなかったが、問題点の克服や最適化などにより、伝送効率を飛躍的に向上。Air Transでは、15Wの電力を70%の効率で伝送することに成功した。これにより、充電時間を短縮できるようになったほか、充電池の大容量化が可能になった。 そのほか、異物検知システムやID認証回路などを組み込むことで、誤作動による事故などを防ぐ仕組みも追加し、安全性を高めている。 村田製作所の開発する急速充電対応バッテリには、積層セラミックスの応用技術などによる独自開発の材料を採用。従来製品と比べて、内部抵抗が少なく、急速充放電に優れる特性を持つとしている。
■ 「とにかく気軽に、短時間で充電」を目指す
発表会では、村田製作所の執行役員 技術・事業開発本部 新規事業推進グループの戸川一也統括部長が「最近は、携帯電話にワンセグやオーディオ機能が搭載されるようになったことで消費電力が増加し、バッテリー容量も増大しており、充電しようと思うと1~2時間程度かかるのが当たり前になっている。そこで、とにかくもっと気軽に、短時間で充電したいと考えた」と、システムのコンセプトについて説明した。 特に急速充電については、「以前ホテルのフロントで、有料の携帯電話の急速充電器を見かけたことがある。そういう動きはすでに市場にあり、需要はあるのではないかと考えている」とした。 発表会場では、試作機が公開され、実際にワイヤレスで急速充電を行なうデモを実施した。
価格や市場に関する質問に対して、エプソンの半導体事業部 武田浩副事業部長より、「開発段階のため、市場規模、出荷数、機器メーカーとの連携などについてはまだ何も考えていないが、価格についてはその時の市場価格に沿うようにしたい。また、目標を掲げようにも市場が存在していない製品のため、事業計画の立てようがない。どれだけの需要があるのかも分からないし、これから市場を構築することが目標」とした。 数あるバッテリ開発メーカーの中から村田製作所を選んだ点については、「急速充電に対応するバッテリがほしかったところで、村田製作所と出会った」としたほか、今回の共同開発について「どちらが先に、というよりはお互いに歩み寄ることで、共同開発に至った。無接点の電力伝送技術の開発は4年くらい前からやっていたが、村田製作所との開発については1年くらい前からスタートした」と開発の経緯について説明した。 今後の課題については「現在の急速充電対応バッテリは、従来のバッテリと比べて容量が少ない。これを既存製品に近づける必要がある。また、充電器の発熱量が若干高くなる傾向にあるので、それを抑えるように設計していく。ただし、電池自体の発熱はほとんどない」とした。 なお、今回デモで使用された試作品については、10月2日より開催される「CEATEC 2007」の村田製作所ブースにて展示される。 □セイコーエプソンのホームページ ( 2007年9月27日 ) [AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]
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