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日本ビクター株式会社は、大型ディスプレイ用の「次世代高画質エンジン」を開発した。RGB各色12bitまでの映像信号を処理可能な映像エンジンで、2008年春発売予定の液晶テレビに導入予定。
最新の映像信号や、RGB各色10bitを超える表示に対応した液晶パネルの性能を引き出すために、同社の映像エンジン「GENESSA」の次世代LSIとして開発。32bit CPUを中心に、多ビット化処理、ノイズリダクション、ガンマ補正、バックライト制御などのディスプレイに求められる映像処理回路をLSIに統合している。 HDMIのDeepColor(36bit)映像入力にも対応するほか、エンジンの各段においてRGB各色12bit、合計36bitの信号処理を実行する「リアル36bit映像処理」を導入。「約680億色の表現能力と、デジタル化による劣化を感じさせない高品位な映像再現を実現する」としている。 ビット拡張技術「Real Bit Driver」を搭載。デジタル放送やDVDビデオなどのデジタルコンテンツは、RGB/Y、Cb、Crの各8bitが主流となっているが、入力時にすべての信号を12bitにビット拡張し、その映像を元にノイズ低減やプログレッシブ変換、ガンマ処理などの全段で12bit以上の処理を実行する。 同技術により、映像ソースの持つ精細感を失わず、ビット不足による階調部の疑似輪郭妨害なども防ぐことができるという。他の映像処理回路でも、スケーリングやエンハンサ回路などでビット拡張を行なうものもあるが、ビクターの新エンジンではLSIに専用のロジックを組み込んで多ビット化を実現。「より理想的なグラデーション表現を可能した」という。
また、独自の倍速駆動技術「120Hz倍速液晶ドライブ」で採用した、高精度動き予測技術をノイズリダクション(NR)に応用。動画再生時でも3次元ノイズリダクションを可能とし、高いノイズ低減性能を実現する「i-Clear Motion NR」も搭載した。 従来方式の3次元NRは、ボケなどの要因になるため、動きのある映像では適用できなかった。新技術では倍速化により生成される前後フレームの関係から動きとノイズ成分を検出可能としたことで、ノイズを正確に把握して除去処理が行なえるため、動画でも3次元のノイズリダクションが可能となったという。 また、映像内のノイズ量を周波数帯域ごとに検出し、帯域ごとに最適なノイズ除去を行なうことで、映像の劣化を抑制。低ビットレートのMPEG映像のブロックノイズから、ハイビジョン映像のモスキートノイズまで、動画内の様々なノイズを低減できる。 また、コンテンツの暗明部をそれぞれ細かくコントラスト調整し、奥行き感を向上する「インテリジェントγ(ガンマ)」も内蔵。さらに、映像の特徴に応じて、色彩の表現を制御し、豊かな色合いを実現するという「リアルカラークリエーション」も新搭載。1枚1枚の画像の色分布をリアルタイムに分析し、人間の着目する映像をより色彩豊かに表現、リアルな質感表現を可能としたという。x.v.Colorにも対応する。 新映像エンジンは、2008年春以降の同社の液晶テレビに導入される予定。なお、LSIの名称については、「搭載テレビとあわせて発表する予定」で、フロントプロジェクタへの導入についても、「検討している」としている。
□ビクターのホームページ ( 2007年9月27日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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