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セイコーエプソン株式会社は15日、“究極の黒”を実現するという有機ELディスプレイシステムを開発。実用化に向けた開発製造ラインを稼働開始した。 開発した有機ELシステムは、8型/800×480ドットで、コントラスト比は10万:1以上、輝度は200cd/m2。同社では従来の薄型ディスプレイに無い高品質の画像表現が“有機ELディスプレイの命”と定義し、特に黒色に徹底的にこだわった質感表現を目指したという。 駆動方式は低温ポリシリコンTFT。同社では2004年5月に、高分子材料を採用し、成膜技術には独自のインクジェット技術を採用した有機ELディスプレイの技術発表を行なっているが、今回開発したディスプレイは低分子材料を使った蒸着方式を採用している。低分子材料を選択した理由については、「材料の寿命など製品化に向け、より高い性能を実現できると判断したため」という。 寿命は約5万時間以上(輝度半減時間)を実現。特に、初期段階の輝度劣化を発光材料の改善と独自の素子構造開発により克服し、輝度が10~20%劣化する時間を約1万2,000時間まで長時間化した。 同社では、今後、用途別の有機ELシステムを構築し、事業化の可能性を検証していく方針。業務用の高画質ディスプレイなどの応用を検討しているが、現時点では自社ブランドでの展開になるか、他社へのデバイス供給を行なうのかなど、具体的な展開については未定としている。 同有機ELディスプレイの製造のため、開発製造ラインを同社の富士見事業所(長野県諏訪郡富士見町)に設置し、稼働開始。小規模の量産にも対応できるという。今回開発したシステムは、10月24日から26日まで横浜で開催される「FPD International 2007」に出展する。 □セイコーエプソンのホームページ ( 2007年10月15日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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