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ブロードコム、720p対応携帯機器向けマルチメディアLSI
-HD解像度のH.264録画/再生が可能。HDMI 1.3にも対応


10月19日発表


 米Broadcomは19日、720pのH.264映像デコード/エンコード機能や、3Dグラフィックス機能などを統合したマルチメディアプロセッサ「VideoCore III(BCM2727)」を発表した。米国では2日に発表されており、サンプル出荷も開始している。

 また、第3世代(3G)携帯電話の通信機能やCPUなどの機能を1チップに集積化した統合型チップ「BCM21551」も発表。米国では15日に発表され、サンプル出荷も行なわれている。



■ VideoCore III

VideoCore IIIの内部構成

 映像のエンコード/デコードや、静止画処理機能、3Dグラフィックス機能などを備える携帯機器向けのマルチメディアチップ。携帯電話のほか、ポータブルオーディオプレーヤーやゲーム機などへの採用を見込む。

 最大720pのH.264(Main Profile)や、MPEG-4 SP映像のエンコードに対応。再生フォーマットとしては、H.264/MPEG-4 SPのほか、MPEG-1/2、VC-1などに対応。音楽再生はMP3のデコードが行なえる。

 複数の機能を統合することで消費電力を低減。バッテリ利用時でも、最大約3時間のH.264エンコードや、5時間近くの連続動画再生が行なえる。

 映像出力コントローラはHDMI 1.3に対応し、テレビなどへの出力が可能。そのほかアナログ出力として、コンポーネント、S映像、コンポジット出力も利用できる。

H.264/MPEG-4 SPのエンコード/デコードや、MPEG-1/2、VC-1のデコードにも対応 評価ボードにHDMI出力を装備。全てのデモはHDMIによるテレビ出力で行なわれた HD映像もスムーズに再生

 静止画処理機能も搭載。各種機能を統合したImage Signal Processorを内蔵し、最大1,200万画素までのデジタルカメラを実現可能。そのほか、オートフォーカスや、露出管理、画質安定化、画質補正、パノラマ画像生成などの各機能を備える。静止画表示については、スライドショーや画像補正機能などを備える。

撮影機能については、他社製携帯電話や、キヤノン製の一眼レフデジタルカメラ「EOS 40D」との比較画像を紹介静止画表示機能も備える

 また、2D/3Dのグラフィックスエンジンを内蔵し、Open GL ES 1.1/2.0やOpen VG 1.0などに準拠した3Dグラフィックスのリアルタイムレンダリングが可能。メインメモリとして、32MバイトのSDRAMも内蔵する。パッケージサイズは8×10mm。

2D/3Dグラフィックス機能は、PS2/PSP以上の性能という 3D映像のリアルタイムレンダリングのデモ 3Dグラフィックス機能を利用した3Dインターフェイスのデモも実施



■ BCM21551

「BCM21551」の開発コードネームは“ZEUS”

 3G携帯電話の通信機能やCPUなど複数の機能を1チップに集積した統合型プロセッサで、大量購入時の単体価格は23ドル。

 マルチモードCMOS無線技術の採用により、WCDMA、HSDPA/HSUPAなどの3G通信機能のほか、FMラジオレシーバ/トランスミッタ、Bluetooth 2.1の各通信機能をチップに内蔵。

 CPUはARM11を2基搭載。オーディオ再生のほか、VGA解像度のH.264映像のデコード、アナログ映像出力、500万画素までのカメラ機能なども搭載している。


通常の携帯電話と実装面積を比較

 複数の機能を1チップに集積化することで、従来の携帯電話と比較して実装面積を約6分の1まで縮小できるのが特徴。

 消費電力についても1チップ化することで低減している。パッケージサイズは12×12mm。



■ 日本の携帯電話市場への進出を目指す

Broadcom モバイル・プラットフォーム・グループ モバイル・マルチメディア事業部のMark D.Caseyバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー

 発表会では、Broadcomのモバイル・プラットフォーム・グループ モバイル・マルチメディア事業部、Mark D.Caseyバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーが、現在の携帯電話向け事業の展開について「EDGE用の通信チップがNokiaに採用されたほか、Samsungにも3G携帯電話向けチップを提供することが決定している。世界の携帯電話メーカーとして1、2を争う2社に採用されたことは誇り」と採用例を紹介。

 今回発表のVideoCore IIIの国内での展開については、「マルチメディア能力が高いため、どういったジャンルに向けてアピールしていくかを決めることが課題」としながらも、「日本市場では、非常にボリュームの多い携帯電話をターゲットにしていきたい。マルチメディア機能は、日本の高機能携帯電話にとっても、訴求価値になる」とした。

 そのほか「バッテリ駆動で動作する携帯機器、ポータブルプレーヤーやゲーム機などのデバイスについてもターゲットにしていきたい」と多方面に展開していく方針を示した。


NokiaやSamsungの端末へチップを提供 VideoCore IIIは、携帯電話やポータブルプレーヤー、PC、薄型テレビなどへの採用を見込む 会場で使用した評価ボード。指で差し示しているのがVideoCore IIIチップ

□Broadcomのホームページ(英文)
http://www.broadcom.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.broadcom.com/press/release.php?id=1057720
□製品情報(英文)
http://www.broadcom.com/products/Mobile-Multimedia/Mobile-Multimedia-Processors/BCM2727

( 2007年10月19日 )

[AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]


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