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米Broadcomは19日、720pのH.264映像デコード/エンコード機能や、3Dグラフィックス機能などを統合したマルチメディアプロセッサ「VideoCore III(BCM2727)」を発表した。米国では2日に発表されており、サンプル出荷も開始している。 また、第3世代(3G)携帯電話の通信機能やCPUなどの機能を1チップに集積化した統合型チップ「BCM21551」も発表。米国では15日に発表され、サンプル出荷も行なわれている。 ■ VideoCore III
映像のエンコード/デコードや、静止画処理機能、3Dグラフィックス機能などを備える携帯機器向けのマルチメディアチップ。携帯電話のほか、ポータブルオーディオプレーヤーやゲーム機などへの採用を見込む。 最大720pのH.264(Main Profile)や、MPEG-4 SP映像のエンコードに対応。再生フォーマットとしては、H.264/MPEG-4 SPのほか、MPEG-1/2、VC-1などに対応。音楽再生はMP3のデコードが行なえる。 複数の機能を統合することで消費電力を低減。バッテリ利用時でも、最大約3時間のH.264エンコードや、5時間近くの連続動画再生が行なえる。 映像出力コントローラはHDMI 1.3に対応し、テレビなどへの出力が可能。そのほかアナログ出力として、コンポーネント、S映像、コンポジット出力も利用できる。
静止画処理機能も搭載。各種機能を統合したImage Signal Processorを内蔵し、最大1,200万画素までのデジタルカメラを実現可能。そのほか、オートフォーカスや、露出管理、画質安定化、画質補正、パノラマ画像生成などの各機能を備える。静止画表示については、スライドショーや画像補正機能などを備える。
また、2D/3Dのグラフィックスエンジンを内蔵し、Open GL ES 1.1/2.0やOpen VG 1.0などに準拠した3Dグラフィックスのリアルタイムレンダリングが可能。メインメモリとして、32MバイトのSDRAMも内蔵する。パッケージサイズは8×10mm。
■ BCM21551
3G携帯電話の通信機能やCPUなど複数の機能を1チップに集積した統合型プロセッサで、大量購入時の単体価格は23ドル。 マルチモードCMOS無線技術の採用により、WCDMA、HSDPA/HSUPAなどの3G通信機能のほか、FMラジオレシーバ/トランスミッタ、Bluetooth 2.1の各通信機能をチップに内蔵。 CPUはARM11を2基搭載。オーディオ再生のほか、VGA解像度のH.264映像のデコード、アナログ映像出力、500万画素までのカメラ機能なども搭載している。
複数の機能を1チップに集積化することで、従来の携帯電話と比較して実装面積を約6分の1まで縮小できるのが特徴。 消費電力についても1チップ化することで低減している。パッケージサイズは12×12mm。 ■ 日本の携帯電話市場への進出を目指す
発表会では、Broadcomのモバイル・プラットフォーム・グループ モバイル・マルチメディア事業部、Mark D.Caseyバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーが、現在の携帯電話向け事業の展開について「EDGE用の通信チップがNokiaに採用されたほか、Samsungにも3G携帯電話向けチップを提供することが決定している。世界の携帯電話メーカーとして1、2を争う2社に採用されたことは誇り」と採用例を紹介。 今回発表のVideoCore IIIの国内での展開については、「マルチメディア能力が高いため、どういったジャンルに向けてアピールしていくかを決めることが課題」としながらも、「日本市場では、非常にボリュームの多い携帯電話をターゲットにしていきたい。マルチメディア機能は、日本の高機能携帯電話にとっても、訴求価値になる」とした。 そのほか「バッテリ駆動で動作する携帯機器、ポータブルプレーヤーやゲーム機などのデバイスについてもターゲットにしていきたい」と多方面に展開していく方針を示した。
□Broadcomのホームページ(英文) ( 2007年10月19日 ) [AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]
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