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社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の町田勝彦会長(シャープ会長)は26日、定例会見を行ない、「地上デジタルチューナおよび対応テレビは、累計で2,700万台を出荷しており、この調子で推移すれば、2011年の停波に向けて切り替えは順調に進むだろう」とし、地デジの普及が順調に進んでいるとの見解を示した。 また、テレビの薄型化については、「有機ELをはじめ、薄型化の話題が多いが、まだ始まったばかり。これがどの程度の比率を占めるかどうかはわからない。だが、今後、進展していくことは明らかだろう。壁掛けテレビなどの新たな提案も可能になる」として、薄型化が今後のテレビ需要を牽引していく要素になるとの見方を示した。 薄型テレビの価格下落については、「30インチ台に関しては、強含みとなっており、テレビの価格が下がることはないだろう。だが、40インチ以上の大画面サイズにおいては、生産できる拠点が増えてきたこともあり、価格下落が進展することになるだろう。これまでの経緯からも、価格下落が起こっては安定し、次の大型サイズでまた価格下落が起こるという繰り返しが続く」とした。 一方、地球温暖化対策への取り組みについても言及。「来年度から京都議定書の約束期間を迎え、電子電機4団体が合同で、削減目標に取り組んでいる。1990年を基準とした製造原単位で、2010年までにCO2排出を28%削減するとしていたが、これを35%に引き上げることを今日決定した。業界全体で、年間300億円の省エネ投資を行なっており、新設工場はすべて省エネ化している。こうした取り組みに加えて、同協会正副会長会社を中心に、本社ビルをはじめとするオフィスの省エネ対策に乗り出すことにした。さらに、家庭における省エネ家電の普及促進に取り組んでいく」とした。 そのほか、9月21日に、自民党政府調査会に対して、情報基盤促進税制、研究開発促進税制などを核とした52項目の税制改正に関する要望書を提出したことに触れ、「情報基盤促進税制では、中小企業から大企業まで、セキュアな情報基盤を確立することを支援でき、生産性向上や、成長に向けた投資を行なえるものになる」とした。 質疑応答では、PC産業の動向についても質問が飛び、町田会長は次のように話した。 「Windows Vistaの発売によって、PC産業の回復を期待したが、残念ながら上期の実績は前年割れとなっている。新たなOSが顧客の満足できるものになっていないのではないか。だが、ここにきて、PCの数字は若干持ち直しており、安定的な需要もある。年間の数字は安定したものになるだろう。今後、大きく下がるものではないと考えている」。 また、PC生産から撤退するメーカーが出ていることについては私見としながらも、「今後、PCを生産する会社は絞られてくるだろう。PC事業を行なっている会社でも、ODMを利用し、委託生産している例は少なくない。PCをツールにしてソリューション事業に取り組む会社は経営として成り立つだろうが、PCだけを売る商売は成り立ちにくくなるだろう」とした。 一方、今後の電機業界の先行きについては、「サブプライムローン問題は、住宅需要にも影響し、消費マインドにも影響を与えている。日本においても、耐震偽装問題が影響し、工事請負が遅れている。住宅需要が冷えることで、家電品に与える影響がある。一方で、原油価格高騰問題があり、原材料高でありながらも、製品安という状況がデジタル家電では大きな問題となっている。単価ダウンは、今後も心配な部分。電機業界として、下半期は、この部分を注意しておかなくてけいない」とした。 □JEITAのホームページ ( 2007年10月26日 ) [Reported by 大河原克行]
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