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株式会社漫画BANKは、パブリックドメインとなった名作映画のDVDと、その映画を漫画化した単行本をセットにした「漫画・世界名作ムービー日本語字幕版DVD付」を11月17日に発売する。シリーズ第1弾として、4タイトルを同時発売。価格は各1,380円。販路は書店系で、ビデオと書籍を両方取り扱う複合店でも販売される。
名画の日本語字幕付きDVDと、その作品物語をコミック化したA5版の単行本をセットにした商品。「不朽の名作を、誰にでも分かりやすい漫画スタイルによって後世に名作遺産として残す」(同社)というコンセプトで企画されたという。 DVDには劇場公開版をノーカットで収録しており、日本語字幕も付いている。映像はオリジナルマスターフィルムから複製。付属コミックはモノクロ約160ページ。映画の脚本をもとにした、描き下ろしとなっている。
名シーンのみを抜き出したものではなく、映画の最後までコミカライズ。コミックは4章立てになっており、それに合わせてDVDのチャプタも4つに区切られている。
第1弾タイトルは以下の4作品。いずれもパブリックドメインとなった作品。
パブリックドメインとは、著作者が著作権を放棄したり、保護期間が過ぎて著作権が消滅し、公共財として認められた状態のこと。今回のDVDの場合、著作権料が発生しない過去の名画を収録することで、商品全体の低価格化を実現している。 各映画の漫画化にあたっては、島耕作シリーズで知られる漫画家の弘兼憲史氏が監修。執筆自体は、ほかの漫画家が担当している。
弘兼氏は発売にあたり、「世界の名作映画を漫画とDVDで楽しめる企画。自分の時間を持つ余裕がやっと出てくる団塊の世代には、ぜひこれからの楽しみのひとつとして、手にしていただきたい。また、若い世代にも名作に触れる良いキッカケになってくれると嬉しい」と、コメントを寄せている。
■ シリーズ化を予定
株式会社漫画BANKは、オプトロム、コンテンツバンク、グロービック、オッヂにより、共同設立されたベンチャー企業。発売は幻冬舎が行ない、販路は書籍と同じになる。漫画BANKの山田裕司社長は今回の事業の特色として、斬新さ、継続性、権利運用の可能性、広い市場性の4点を挙げる。 「斬新さ」は、著名な映画シナリオからのコミカラライズを行なうという話題性。「継続性」は、既に300を超えるパブリックドメイン作品が存在することから、今後のシリーズ化が見込めること。 「権利運用」は、コミカライズすることで、そのコミックに新たな権利が発生するという意味。もとの映画はパブリックドメインだが、コミックには50年の著作権運用が適用されるため、今回リリース以外にも、Webコミックやケータイコミック、海外向けの翻訳出版など展開を予定。海外出版では既に中国からオファーが来ているという。
第2弾タイトル発売に向けた具体的な作業はまだ行なわれていないが、タイトルの選定は進んでおり、「風と共に去りぬ」や「ローマの休日」、「紳士は金髪がお好き」、「奥様は魔女」などのタイトル名が挙げられた。 今回、カサブランカのコミカライズを行なったのは、集英社の「スーパージャンプ」で、「JIN -仁-」を連載している村上もとか氏のアシスタントである伊原達矢氏。伊原氏は高校時代、カサブランカをキッカケとして、クラシック映画の魅力を知り、文化祭のチケットデザインをまかされた際にイングリッド・バーグマンの横顔を描くほど夢中になったという。 「そんな私が、今回カサブランカの漫画化に声をかけていただき、不思議な縁を感じている。これで公然とバーグマンが描ける、しかも丸々1本、さらに世界初の試みということで、凄い仕事を任されたなと感た」という。執筆にあたっては「あらためて映画の筋を追ってみると、その構成やキャラクターの動きなどの素晴らしさ、完成度の高さに改めて驚かされた」という。 漫画家の起用条件として、漫画BANKの萩野宏会長は、「作家本人が面白がってもらわないと楽しくないので、“その映画は絶対ボクにやらせろ”、“私にやらせろ”と言ってくれる作家にお願いしたい」と語り、「大御所の漫画家は時間やコストの問題で難しいかもしれないが、超有名な先生が“俺にやらせてよ”と手をあげてくれることにも期待している」と語った。
□漫画BANKのホームページ
(2007年10月26日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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