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米ロサンゼルスでは、映画産業向けデジタル技術に関するカンファレンスイベント「Digital Hollywood」が今週開催されている。これに併せてBlu-ray Discを販売する映画スタジオは北米におけるBDソフトの販売状況に関してプレス向け発表会を、10月29日(現地時間)、ロサンゼルスのHollywood & Highland Complexで行なった。 ■ 「トランスフォーマー」発売もBD優位は変わらず
関係者によると、このイベントはBlu-ray Disc Associationとしての活動ではなく、翌日にディズニーが行なうBDソフトの発表イベントに合わせ、他のBDソフトベンダーも相乗りする形で規模が膨らんだもの。来場者は米国内の映画、DVD関連の業界紙、Webサイトなどの記者たち約50名。 力強く他製品を追い落とすメッセージを発するイベントというよりも、淡々とビジネスの現状を説明し、BDソフトビジネスの現状が伝えられた。その中でニールセン調査による実売数も公開され、現時点でBDあるいはHD DVDがどの程度売れているのか、明らかになった。
数字の詳細は右表を参照してほしい。注目すべきはトランスフォーマーの販売数だろう。パラマウントはトランスフォーマーは初週に19万枚を販売したと発表していたが、10月21日の集計結果は11万2,300枚。今後、さらに売り上げを伸ばしていくと思われるが、発表された数字とはかなり大きな差がある。実は先日、北米ではニールセン調査の実販売数がパラマウントの発表と大きく異なることが報道され、話題になったばかりだった。 また、トランスフォーマーが発売された週は、有力なBDソフトが発売されなかったこともあり、おおかたの予想ではHD DVDがBDの売り上げを(週単位の集計で)抜くと見られていたが、実際の集計では49%に留まっており、BDとHD DVDの売り上げ比の逆転には至っていない。 この週、全HDソフトタイトル中、トップ10にランキングしたHD DVDソフトはトランスフォーマーのみ。他の9タイトルはBDソフトだった。その前の週に遡るとBDソフトのシェアは71%。トランスフォーマーの登場により、BDのシェアがシェアを20ポイント落ちたことになるが、1タイトルだけではこの状態を維持することができないと見られる。
■ ホームシアターインストーラもBDを支持 また、Home Theater Specialists of America(HTSA)という組織の代表、David Berman氏が壇上に立ち、BDへの強いコミットメントを出して注目を集めた。HTSAは、いわゆるホームシアターインストーラの団体で、平たく言えばお金持ち向けのカスタムインストレーションを主要な業務としているショップの集まり。
「我々は61社で構成する小さな業界団体だ。しかし扱っているシステムの規模は大きく、コストも非常に高い。1,000万円を大きく超える予算で機材を部屋に埋め込み、自動で動作するプログラムを組んで、誰もが簡単に高画質を得られるようにインストールを行なっている。そうした市場で求められているのは、ベストな価値を持つフォーマットだ」 「ハイエンドユーザー向けに高付加価値の提案を行なうのに、たった1社しかプレーヤーを開発しておらず、将来の機材供給に不安のあるフォーマットは選べない。加えて柔軟性や将来的なフォーマットとしての発展性もBDの方が優れていると考えている。ビジネスゲームに顧客を巻き込まないためにも、高品質のHDビデオを楽しみたいという顧客には、明確にBDを支持するメッセージを出していく」(Berman氏)。 一方、20世紀フォックス・ホームエンターテイメントのMake Dan社長も、「デイ・アフター・トゥモロー」、「アイ・ロボット」、「マスター・アンド・コマンダー」、「インディペンデンスディ」、「サンシャイン」といった新作BDのデモを披露する前に、冗談を交えながらコメントを出した。 「結果を見れば明白。BDとHD DVDの売り上げ比は2対1で、販売店もBDをサポートしている。確かにパラマウントの行動もあるし、週末に一瞬だけ198ドルを付けたHD DVDプレーヤーが発売したという話もある。市場を破壊する900ポンドのゴリラ(キングコングのことか?)と、まともなビジネスを行なおうとしている170社の戦いとも言えるだろう。おもしろおかしく演出すれば、それはそう見えるかも知れない」。 「しかし、本当の状況は非常にシンプル。Blu-rayは、ずっと技術的に進んでいるし、容量も大きく、もっとも柔軟な開発環境を提供し、多くのスタジオが支持しており、多くの映画と多くのゲームが発売されている。そして、非常に重要な点は、ずっと長く使える発展性のある技術ということだ」(Mike Dan氏)。 このイベントは明日も続き、Disney Studioが「レミーのおいしいレストラン」、「カーズ」のBD版を発表。レミーのおいしいレストランの監督ブラッド・バード氏が、自らの口で“BD版レミーのおいしいレストラン”を語る。 □The Walt Disney Studiosのホームページ(英文) ( 2007年10月31日 ) [Reported by 本田雅一]
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