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JEITA町田会長がタビング10問題に言及
-日系企業の世界生産規模が初の50兆円突破へ


JEITA 町田勝彦会長(シャープ会長)

12月19日発表


 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の町田勝彦会長(シャープ会長)は12月19日、会見を行ない、私的録音録画小委員会で議論されているコピーワンスおよびダビング10に関わる問題に言及した。

 町田会長は「18日に文化庁が新たに提案した(DRMが普及すれば補償金は不要となるという方針)内容は、貴重な意見であり、JEITAは、それを尊重していく。文化庁の考え方をベースに審議をし、知恵を出していくことになる」という。

 また、「基本的なスタンスは、著作権利者の権利を保護するとともに、利用者の利便性をも満足する形で解決しなくてはならないという点。通信と放送が融合し、コンテンツが配信されるという新たな世界において、それぞれの立場を保護することが必要」などとした。

 また、有機ELパネルの生産で、日立、松下電器、キヤノンが手を組むと報じられたことについては、「お互いが持つ異なる技術が競争して発展する。こうした動きによって、部品メーカーや装置メーカーも勢いづくことになる。パネルメーカーが新たな技術を採用し、新たなパネルが登場し、セットメーカーも競争優位に立てるようになる。日本の企業にとっても技術水準があがり、競争力を持った新たな製品が出てくることにつながるだろう」などとした。

 また今回の会長会見では、電子情報産業の世界生産見通しについても発表された。これによると、2007年の世界生産見通しは前年比8%増の228兆2,000億円。そのうち日系企業は5%増の49兆7,000億円となった。全世界における日系企業のシェアは22%。また、2008年予測では、世界生産規模が7%増の243兆3,000億円、日系企業は6%増の52兆5,000億円となり、初めて50兆円を突破。「電子情報産業において、日系企業が主要なポジションにあることが明確になった」(町田会長)とした。

 今後、継続的な成長が続く理由について町田会長は、「原油高のほか、サブプライムローン問題によって来年前半までは米国経済の減速が見込まれれるが、BRICs諸国における旺盛な経済成長があり、さらに北京オリンピックによる電子情報産業へのプラス要素や、新興国を中心にしたPC需要の盛り上がりも期待できる。新興国の経済成長には、サブプライムローン問題などの要素を打ち消してあまりある力がある」とした。

 また、IT・ソリューションを除く日系企業の生産規模見通しでは、2007年には5%増の44兆1,000億円、2008年予測では6%増の46兆7,000億円とした。そのうち、国内生産額は2007年見通しで20兆7,000億円、2008年予測で21兆3,000億円となり、3年連続での成長が見込まれている。

 「2007年の国内生産では、地上デジタル放送の普及を背景に、薄型テレビが10ポイントの成長を遂げたほか、サーバー、ストレージ、半導体、電子計測器などの信頼性、高品質が求められる分野で、日本で生産された部品が求められており、それが国内生産の増加につながっている」(町田会長)という。


電子情報産業の世界生産見通し(2006年実績~2008年予測) 主要分野別 日系企業の生産額とシェア(2007年見込み)


各分野別の世界生産規模と成長率(2008年予測)

 一方、主要分野における生産規模などについても予測結果を発表した。

 2008年におけるAV機器の全世界における市場規模は26兆円。そのうち、11兆円を日系企業が占めており、日系企業の構成比率が最も高い分野となった。一方、全世界で最も生産規模が大きいのがITソリューション・サービスの54兆円。次いで、コンピュータおよび情報端末の49兆円。これらは逆に日系企業の弱い分野でもあり、ITソリューション・サービスにおける日系企業の生産規模は6兆円、コンピュータおよび情報端末では8兆円に留まっている。

 そのほか、半導体が全世界33兆円に対して、日系企業が7兆円。通信機器が全世界32兆円に対して、日系企業が5兆円。電子部品は全世界23兆円に対して、日系企業が10兆円。ディスプレイデバイスは全世界13兆円に対して、日系企業が3兆円となった。


JEITA 半田力専務理事

 主要電子機器のうち、日系企業の生産規模が最も大きいのが、テレビで6兆6,000億円。「テレビの生産規模のうち、日系企業のシェアは4割。海外生産比率は8割。競争が厳しい分野ではあるが、日系企業は、大画面化、フルHD化といった高級機で強みを発揮している。日系企業のテレビの製品規模は市前年比9%の成長が見込まれる」(JEITA 半田力専務理事)という。

 また、プリンタは1兆9,000億円を占め、前年比26%増の成長が見込まれる。「日系企業のシェアは5割。海外生産比率は9割。複合機の成長が、日系企業の成長を牽引しており、いち早くマーケットニーズを獲得したことが影響している」(半田専務理事)とした。 

 日系企業の生産規模は、携帯電話が2兆8,000億円、パソコンが1兆7,000億円、撮像機器が2兆2,000億円となった。

 主要電子機器における海外企業の生産規模では、PCが23兆円の規模を誇る。前年比12%増の成長が予測されており、今後も市場規模は拡大しそうだ。

 「欧米では、デスクトップからノートPCへの流れがあり、新興国では低価格PCの出荷が増加しているのが要因」(半田専務理事)という。

 携帯電話は14兆円、テレビは11兆円、サーバー・ストレージは7兆円などとなっている。「テレビの成長は、韓国、台湾をはじめとするアジアのメーカーが世界規模で台頭していることが影響している。北京オリンピックによる需要増大の影響も期待できる」として、前年比13%増という高い成長が予測されている。

 半導体では、海外企業が26兆円、日系企業が6兆8,000億円。ゲーム機や薄型テレビ向け、あるいは携帯電話やノートPCといった、多機能化と小型軽量化を求められる半導体、電子部品での需要拡大が、日系企業のシェア拡大につながっているようだ。


主要電子機器の日系企業生産(2008年予測) 主要電子機器の海外企業生産規模と成長率(2008年予測) 電子部品・デバイス分野の日系企業・海外企業の生産規模と成長率(2008年予測)

 ITソリューション・サービスでは、日系企業は約1割の生産規模に留まっている。「欧米では、ITツールを活用した効率的な経営戦略が推進されていることが影響している」という。

 世界生産額における日系企業が占める比率は、AV機器、半導体で4割を超える一方、ITソリューション・サービスで11%、コンピュータおよび情報端末で16%と、構成比率の低さが顕著であることが示された。


ITソリューションサービス分野の日系企業・海外企業生産規模と成長率(2008年予測) 世界生産額に占める日系企業の割合(2007年見込み)

 JEITAでは、これまで日本における産業規模について例年のように発表してきたが、昨年から世界生産見通しを発表。さらに、今年は例年よりも3カ月早めて発表した。

 町田会長は、「グローバル化が進展し、国内メーカーの海外生産が増加しているなかにおいて、日本の生産規模だけを見てみても全体が把握できず、経営に利用できない。また、年明けから数字を使いたいという要望もあり、昨年3月の発表から、今年は約3カ月発表を早めた。これだけ広範に電子情報産業の全体像を取りまとめのは世界的に見ても初めてのこと。世界における電子情報産業の生産規模を、データとして明確にするとともに、世界のなかで日系企業の位置づけを把握することを目指した」と語った。


□JEITAのホームページ
http://www.jeita.or.jp/
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【12月18日】コピーワンス緩和でも補償金は不要、JEITAが私的録画小委員会で発言(INTERNET)
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/12/18/17917.html

( 2007年12月19日 )

[Reported by 大河原克行]


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