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松下電器産業株式会社は31日、2007年度第3四半期連結決算を発表した。
売上高は前年同期比4%減の2兆3,446億円、営業利益は22%増の1,654億円、税引前利益は22%増の1,766億円、当期純利益は46%増の1,152億円となった。営業利益率は7.1%となり、7%を超えたのは17年ぶりのこととなる。 全セグメントでの増益に加えて、営業利益および純利益では過去最高を達成。減収についても、「日本ビクターを単純に除いたベースでは、前年同期比4%増となり、実質増収と判断している」(上野山実取締役)とした。 また、地域別にみると、日本ビクターを除いた実質ベースで、日本国内は前年同期比2%減の1兆1,383億円。「国内における住宅着工の遅れにより、電工・パナホームが厳しい業績となったこと、パソコン向けのドライブが苦戦していること、プラズマテレビの販売台数が1.2倍になったものの、金額ベースでは2%減となり、薄型テレビ全体でも販売金額で前年並みとなったことに加えて、ビテオやオーディオが苦戦した」という。
上期まで苦戦していた米州は、下期から販売体制を変更したことなどが功を奏して、第3四半期は2%増となった。「全米チェーンの量販店を中心とした施策から、地域量販店を重視し、ウォールマートやターゲットといった販路にも間口を広げた成果が出ている。また、PDPに偏りすぎた戦略から、デジカメ、DVD/BDとあわせたキャンペーンへと転換したことも成果につながっている」とした。 さらに、デジタル家電が好調な欧州では前年同期比14%増、デジタル家電および白物が堅調な中国では17%増、アジアでは10%増と、いずれも2桁増の伸び。海外全体では1兆2,063億円と、実質ベースで10%増と2桁成長を達成した。 上野山取締役は、「GP3計画で成長戦略を打ち出すとともに、デジタル時代において価格低下が激しいなかでも、合理化の効果などにより、収益を伴った結果を出していくことを目指している。今回の業績を見ていただくとわかるように、成長へのフェーズチェンジが着実に進んでいることを感じていただけるのではないか」とした。
■ 年間900万台の薄型テレビ出荷計画を下方修正
セグメント別に見ると、AVCネットワークは売上高は前年同期比5%増の1兆2,077億円、営業利益が19%増の843億円。薄型テレビに加えて、カーエレ、携帯電話の好調ぶりが影響しているという。 主要ドメイン会社では、パナソニックAVCネットワーク社の売上高が前年同期比13%増の6,109億円、営業利益は31%増の469億円。営業利益率は7.7%と過去最高を達成した。また、パナソニックコミュニケーションズの売上高は15%増の1,348億円となったものの、光ディスク事業の不振などが影響し、営業利益は68%減の13億円。パナソニックモバイルコミュニケーションズの売上高は2%増の1,031億円、営業利益はVIERAケータイの好調ぶりにより、31倍となる42億円となった。
薄型テレビ全体では、日本では前年並みの756億円となっているが、米州では15%増の845億円、欧州では31%増の1,131億円、アジア/中国では64%増の396億円となっている。全世界での販売金額も20%増の3,128億円となった。 また、プラズマテレビに関しては、日本が2%減に対して、米州が10%増、中南米が110%増、欧州が約1.4倍、アジアが約1.5倍、中国が約2倍と海外での成長が顕著に見られた。 松下電器では上期業績発表時点で、プラズマテレビが約50万台ほど計画を下回っているとしていた。上野山取締役は、「上期は北米において、フルHD対応の普及機の投入が遅れたことなどが影響した。第3四半期は製品が揃ったことで好調であり、下期という点では予定通りにいける。ただ、上期の50万台をカバーするために価格を下げるといったことは考えていない。年間500万台を少し下回る可能性はあるだろう」とした。 また、年間400万台の出荷計画を掲げている液晶テレビに関しては、「上期にパネルの調達が難しく、第4四半期も10~15%程度、計画を割り込む」として、年間では350万台程度に落ち着くとの見通しを示した。 具体的な数字には言及しなかったが、年間900万台の出荷計画を、事実上、下方修正した格好になる。 だが、「プラズマテレビと液晶テレビの合計で年間900万台という数字は難しいとしても、9か月累計で7,084億円の販売金額に達しており、当初計画の9,000億円を上回ることになる」とした。 上野山取締役によると、「37インチ以上の薄型テレビにおけるシェアは3割を維持しており、とくに米国では42インチから50インチへのシフトが進んでいる。当社における50インチ以上の販売構成比は46%であり、業界全体の21%に比べて高い。今後も50インチ以上に商売をシフトしていく」として、プラズマテレビの大画面戦略を加速する姿勢を見せた。
■ BDレコーダ品薄は、第4四半期から見直し
デジタルカメラの販売金額は、日本が10%増の97億円、米州が16%増の170億円、欧州が27%増の360億円、アジア/中国が12%増の101億円となった。全世界では20%増の728億円。 国内では、FX33が19週連続で機種別トップシェアを獲得したのに加え、TZ3が販売金額の増加に寄与。欧州でもデジカメが大幅に成長したことを強調した。 なお、年末商戦でブルーレイレコーダが品薄になったことについては、「需要拡大を読み切れていなかったのが反省点。第4四半期から見直しており、シェア奪回に向けて動き始めている」とした。また、携帯電話の品薄については、「確かに予想を上回る実績となり、品薄となっている。だが、業界では流通在庫が多く、その対応に苦慮しているのに対して、当社は前年同期比6%増という実績になった。機会損失という判断はしていない」と語った。 アプライアンスの売上高は5%増の3,392億円、営業利益が36%増の259億円。デバイスの売上高は1%減の3,573億円、営業利益が9%増の278億円。電工・パナホームは売上高が1%増の4,725億円、営業利益が10%増の273億円、その他事業の売上高が3%増の3,612億円、営業利益は前年並みの121億円となった。
なお、4月から12月までの連結決算は、売上高は前年同期比1%増の6兆8,699億円、営業利益は12%増の3,854億円、税引前利益は3%減の3,642億円、当期純利益は14%増の2,203億円となった。こちらも、営業利益、純利益では過去最高となっている。 通期見通しについては変更がないが、「第3四半期まではサブプライムローン問題の影響などはなかったと判断しているが、今後どうなるかはわからない。ただし、公表値を最低限の目標とし、それとは別に社内目標として掲げている営業利益5,000億円の達成に向けて取り組んでいく姿勢は変わらない」として、今期の営業利益5,000億円の達成に意欲を見せた。 また、1月10日の新年方針説明会で大坪文雄社長が触れた「2008年度にROE8%」という数値に関しては、「公約と受け取ってもらっていい」と回答した。
□松下電器産業のホームページ ( 2008年1月31日 ) [Reported by 大河原克行]
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