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オリンパス、完全ワイヤレスで背後も透ける新HMD「慧眼」
-散歩中に観光/店舗情報を自動表示。中央大と実験


モバイルEye-Trek -慧眼-」を装着したところ
2月25日発表


 オリンパス株式会社の未来創造研究所は25日、同社ヘッドマウントディスプレイ「Eye-Trek(アイトレック)」の最新試作機として、完全なワイヤレスを実現した「モバイルEye-Trek -慧眼(けいがん)-」を発表した。中央大学と共同で2月下旬より実施する「インスパイア型ユビキタスサービス」の実証実験に使用されるもので、販売の予定は無いという。

 HMD(Head Mounted Display)は通常、映像を表示するための機器と有線接続されているが、「慧眼」では、映像出力機器とワイヤレスで接続されているのが特徴。

 表示デバイスには、HMDの中でオリンパスが唯一採用しているという、瞳分割方式のシースルー光学系を使用。瞳孔の約半分の面積の光学バーに液晶を用いて映像を表示するシステムで、光学バーに覆われた視界(表示映像)の向こう側も透けて見るため、100%の外界視界を確保。半透過鏡を使用しないため、液晶の光を効率的に利用でき、消費電力を抑えながら明るい映像を表示できるという。

 表示解像度は521×218ドットで、液晶パネルサイズは3.2×2.4mm。50cm先に3.8型の画面があるように見えるという。光学バーのサイズは4×2.6×22mm(幅×厚さ×長さ)。3分間中30秒間だけ表示する間欠表示を行なった場合、約8時間の駆動が可能。重量は電池を含め91g。

ワイヤレスで映像が受信できるモバイルEye-Trek -慧眼 瞳孔の約半分の面積の光学バーに液晶を用いて映像を表示するシステム


■ 「インスパイア型ユビキタスサービス」の実証実験で使用

 この「慧眼」は、「インスパイア型ユビキタスサービス」の実証実験で使われる。慧眼を装着したまま、GPSを身につけた被験者が街中を歩くと、慧眼に、その場所に合った観光スポットや店舗情報が表示される。それを見た被験者の行動の幅が広がるか?、それにより満足感が増すか? などをテストするもの。付加価値の高いガイドサービスとして、2012年に実用化を目指しているという。

 実験は、中央大学理工学部経営システム工学科の加藤俊一教授と共同で、2月下旬に東京都文京区の小石川、本郷、湯島、駒込一帯で実施。中央大学生約50人が参加し、目的地を設定して案内に従って移動する過程で、慧眼に表示される現在地の豆知識を得て、行動の幅が広がるか? それによって満足感が増すか? を検証。目的地を設定せず、利用者の状況や感性に応じてシステムから推奨される観光スポット、店舗情報を得ながら各スポットを回り、充実した時間を過ごせるか? もテスト。システムの実現可能性、コンセプトの有効性などを実証するという。

 被験者はGPSや加速度センサを装着し、情報端末も所持。現在位置などのセンサー情報を端末経由でサーバーへ送信。サーバーには中央大学が開発した感性工学エンジン(ソフトウェア)や、文京ミューズネットの資料館などが提供する様々なスポット情報が記録されており、被験者の位置情報などに合わせたレコメンド情報、ナビゲート情報、現在地の豆知識を送信。端末を介して、慧眼に表示されるという仕組み。

実験システムの概要(左)と、表示される情報例(右)

 表示される情報には、名所旧跡(小石川後楽園、六義園など)、神社仏閣(護国寺、湯島神社など)、観光スポット(竹久夢二美術館など)のほか、レストラン、書店、アミューズメント施設などの店舗情報、昔ながらの通りや坂などの由来・歴史情報も含まれている。

 実験で使用した機器や技術、評価結果などについては、3月7~8日に仙台市・宮城大学で開催される日本感性工学会春季大会で発表される予定。

□オリンパスのホームページ
http://www.olympus.co.jp/jp/
□ニュースリリース
http://www.olympus.co.jp/jp/news/2008a/nr080225isuj.cfm
□ニュースリリース (慧眼の仕様)
http://www.olympus.co.jp/jp/news/2008a/nr080225eyetrekj.cfm

(2008年2月26日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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