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マイクロソフト日本法人の社長に、樋口氏が就任
-Xbox 360はHD DVDを撤退し、ゲームとネット配信に注力


2月28日発表


 マイクロソフト株式会社は28日、現代表執行役兼COOの樋口泰行氏が4月1日付けで代表執行役社長に就任する人事を発表。現日本法人社長兼米Microsoftのコーポレートバイスプレジデントであるダレン ヒューストン氏は退任し、米国本社のプラットフォーム&サービス ディビジョン内に、4月に新設されるコンシューマー&オンライン インターナショナルグループのコーポレートバイスプレジデントに就任する。

現代表執行役兼COOの樋口泰行氏

 樋口氏は松下電器産業に入社後、ハーバード大学経営大学院を卒業。アップルコンピュータやコンパックなどを渡り、日本HPの社長兼COOやダイエーの社長も勤めた人物。マイクロソフトには2007年3月に入社している。樋口氏は「これまではハードウェアと小売りをメインにやってきたので、ソフトウェアの会社は初めて。しかし、この業界を学ぶ期間を1年間与えてもらい、有益な経験を積むことができた。ユーザーやパートナー企業から信頼されるような企業にしていきたい」と意気込みを語る。

 一方で樋口氏は日本法人の問題点として、「優秀な人材が集まっているが、ソフトウェアが多く売れていた時代を経験している人が多いので、競合と戦いながらビジネスを展開する事に慣れていない印象がある」と指摘。「今後もお客様やパートナー企業に軸足を置き、お客様の声が会社内に打てば響くような体制を整えたい」とした。

現日本法人社長兼米Microsoftのコーポレートバイスプレジデントであるダレン ヒューストン氏

 ヒューストン氏は、これまでに各社と結んだクロスライセンス契約や、東芝、富士通、ソニーなどとの協業などを含め、同社の3カ年経営ビジョン「Plan-J(プラン-J)」の成果を報告。「各社がグローバルなPC市場で活躍できるよう、手伝いをしてきた。今後も日本のITエンジニアがよりハッピーになれるようサポートしていく。来週にもITエンジニアの満足度向上に向けたプログラムを発表したい」という。

 また、同社の主力商品であるWindows Vistaの近況については「世界的に見ても、XPなど、従来のどのOSよりも販売数の増加スピードは速い。日本では発売当初低調だったが、最近はコンシューマ向けPC市場も復活しつつある。コールセンターに寄せられる問題も今までのOSより少なく、世界市場の動きに沿うように、日本の状況も変わりつつある」(ヒューストン氏)と説明。「しかし、ゲーム分野でもPC分野でも、まだまだやらなければならない事はある。私は米国でコンシューマー&オンライン インターナショナルグループを担当することになるが、そういう意味でも今後も日本市場と私の関わり合いは深いと思っている」とした。

 なお、コンシューマ向け事業としては、東芝のHD DVD事業終息を受け、マイクロソフトでもXbox 360用HD DVDドライブ「Xbox 360 HD DVD プレーヤー」の生産終了を発表している。これについて、米Microsoftのシニアバイスプレジデントで、マイクロソフト インターナショナル担当プレジデントでもあるジャンフィリップ クルトワ氏は、改めてXbox 360におけるHD DVD事業からの撤退を説明した上で、「Xbox 360の中核であり 、メインの使用用途はゲームである。もちろん企業として、ハイビジョン映像によるエンターテイメントは提供していくが、今後はそれがゲームであったり、オンラインでの配信になっていくだろう」と語った。

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■ 日本のホワイトカラーにIT技術は活用されていない

 2005年か7月から日本法人の社長を務めたヒューストン氏は、日本での経験について「私はカナダ人だが、日本を深く愛している。私にとっても家族にとっても素晴らしい体験だった。最も感銘を受けたのは、日本特有の自己批判的な文化。これは、現状に満足しないマイクロソフトの企業文化とも共通するもので、私の次の仕事にも活かしていきたい」と語る。

米Microsoftのシニアバイスプレジデントで、マイクロソフト インターナショナル担当プレジデントでもあるジャンフィリップ クルトワ氏

 一方で、日本企業特有の問題について、「コンシューマーではデジタルライフスタイルが非常に進んでいるにも関わらず、ホワイトカラーの職場を見ると、ワークスタイルのIT化が遅れていると感じられる。製造業などのレベルは他国から手本とされるほどなのに、生産性を考えるとITが十分に活用されていない。また、素晴らしい仕事をしているのに、グローバルな展開をせず、日本市場だけで十分だと考えている会社もある。先ほどの自己批判ではないが、自分たちが持っているものを見直し、有効に活用して欲しいと感じる。それをサポートすることは、マイクロソフトにとっても1つのチャンスだと考えている」とした。

 会見後の質疑では、現地時間の27日に、EU欧州委員会が、独占禁止法違反で同社に8億9,900万ユーロ(約1,400億円)の追加制裁金を科すと発表した事にも質問が及んだ。クルトワ氏は「発表があったばかりなので、対応は検討中」と前置きした上で、「制裁の理由はWindowsの技術情報開示への取り組みが不十分というものだが、我々はオープンな市場でビジネスを行なっており、使っているAPIやプロトコルなども、Webなどでデベロッパーツールとして幅広く公開している。Officeなどのソフトでも、保存形式を強制しているわけではない」と語り、EU欧州委員会の決定に不満を示した。

□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3371
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~入社1カ月を迎えた樋口泰行COOに聞く (PC Watch)
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【2005年7月27日】マイクロソフト、ヒューストン新社長記者会見 (PC Watch)
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【2005年4月20日】マイクロソフト日本法人社長交代 (PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0420/ms.htm

(2008年2月28日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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