|
社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は28日、町田勝彦会長(シャープ会長)の会見を行ない、2008年度の主要事業への取り組みなどについて説明した。 そのなかで、電子産業における需要動向に触れ、「電子部品は、エレクトロニクス需要の先行指標になるが、今年1月には34カ月ぶりに前年実績を割りこみ、2月にも前年割れとなった。また、3月も私の感覚では、前年を下回り、4月も同様の結果になるだろう。米国経済の低迷が大きく影響しており、欧州も厳しい。新興国は成長しているものの、世界経済全体の低迷をカバーするほどのキャパシティにはなっていない。だが、5月以降、北京オリンピック需要によって、伸張することが期待される。期待感を込めて、年初の数値に到達してくれるものと思っている」とした。 また、「デジタル放送の普及には、テレビだけでなく、PCで映像を見るといった周辺機器が出てくることも重要であると感じている」と語った。 町田会長は、JEITAの新年度事業方針として、「地球温暖化対策」、「税制改正要望」、「国際競争力強化のための環境整備」、「新市場開拓・関係分野との連携強化」、「知的財産の適切な保護」、「安全問題への対応」、「人材育成への取り組み」、「デジタル放送の推進」、「循環型社会形成ならびに製品環境への対応」、「新公益法人改革に向けた対応」、「情報発信の強化」の11項目を主要事業として掲げ、なかでも、地球温暖化対策については、「主要事業の一丁目一番地」(町田会長)と位置づけて、優先的に取り組んでいく姿勢を示した。
地球温暖化対策では、京都議定書の目標達成に向けた対応のほか、グリーンITの内外へのアピール、IT・エレクトロニクス産業の技術革新と競争力強化のほか、自主行動計画に基づく実質生産高CO2原単位削減目標のためのフォローアップ活動、オフィルビルの省エネ対策の率先実施などをあげた。 「CO2を排出する製品を生産しているという観点からも、また電子情報産業が自動車産業と双璧となる産業規模に達し、1996~2005年までのGDP伸張率の拡大に最も寄与している産業となっている観点からも、対策に率先して取り組んでいく必要がある」とした。 4月17日には、JEITAのほか、ITI(米国情報技術産業協会)、CEA(米国民生電子工業会)、EICTA(欧州情報通信・民生電子技術産業協会)が参加する日米欧電子情報業界団体会議を開催し、グリーンIT推進への支持を得るとともに、IT・エレクトロニクスを活用した国際的な省エネ推進に関して共同歩調をとる考えで、「健全な発展と協調関係の強化を進めるとともに、日本から働きかけている環境対策のセクター別アプローチについても、意見交換を行ない、各国政府への働きかけの推進などに関して三極の共同歩調を確認したい」とした。 また、5月29日には、グリーンIT国際シンポジウムを開催。日米欧アジアなどのIT・エレクトロニクス企業のトップが参加し、生産のみならず利活用の視点に立った環境調和型の低炭素社会の実現に向けて、国際的視点から検討を行なうという。 「半導体関連企業や団体とも連携し、環境調和型の半導体開発にも踏み込んだ意見交換が行なわれる。高効率、創エネ、ITサービスソリューションといった観点から、環境における日本強みを一層引き出していく」とした。 これらの活動を経て、7月7日から開催される洞爺湖サミットにおいて展示される環境ショーケースの有効活用によって、電子情報産業からの環境への取り組みを、世界に向けて情報発信していく考えだ。 なお、JEITAが発起団体のひとつとなり、会長を務めるグリーンIT推進協議会の参加企業および団体が、設立時に133であったものが、158に増加したことも公表した。「電子情報産業以外の産業領域からの参加もある」という。 一方、税制改正要望については、「情報基盤促進税制、研究開発促進税制の拡充延長の成立を期待する」としたほか、「国際競争力を保持するという点でも、法人税の見直しは必須だと考えている。アジアや欧州での法人税率の引き下げか相次ぐなか、日本における40%というような税率の国は無くなっている。企業の優遇税制につながるという指摘もあるが、私企業の問題ではなく、日本経済の体力そのものが衰退することにも繋がりかねない問題。ねばり強く取り組んでいく」と述べた。
( 2008年3月28日 ) [Reported by 大河原克行]
Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|