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米NVIDIAは15日、ビデオチップの技術説明会を開催。同社製ビデオチップ「GeForce 8」を搭載したPCで、動画のエンコード速度が飛躍的に向上する動画エンコードソフト「RapiHD」を米Elemental Technologiesと共同で開発中と発表した。 NVIDIAが2007年に公開したGeForce 8シリーズ上で動作する汎用プログラミングモデル「CUDA」を利用して開発されており、発売時期や価格などは未定となっている。 なお、Elemental Technologiesは、米国で開催中のNAB 2008にてH.264エンコードなどを高速化する「RapiHD」シリーズ5製品を発表したが、今回発表したものは、これらとは別のものとしている。
最初に1,280×720ドット/2時間のMPEG-2映像からH.264形式へのエンコード速度の比較グラフを紹介。CPUのみを利用する環境では、Core 2 Quad Extreme 3.0GHz搭載PC上のiTunesでH.264エンコードを実施、CPUにCore 2 Duo 1.66GHz、ビデオカードにGeForce 8800GTS 512MBを搭載したPC上で、開発中のRapiHDを実行した。 CPUのみの環境ではエンコード処理に4時間53分かかったが、GeForce 8800GTS搭載PCでは23分で完了と、約18倍の高速化を実現したと説明した。 その後、実際に会場でもエンコード速度を測定するデモを実施。1,280×720ドット/1分50秒のMPEG-2ファイルを、CPUにCore 2 QX6700、ビデオカードにGeForce 8800 GTS 512MBを搭載するPCでエンコードした。 CPUのみを利用する一般的なエンコードソフトとして、Xilisoft製「iPod Video Converter」を利用し、iPod向けの320×240ドット H.264ファイルへの変換を行なったところ、42.1秒かかった。 それに対して、同じPC上でRapiHDを利用してエンコードしたところ、15.7秒と3倍近く高速に処理が完了した。
同社コンテンツリレーションズ事業本部/アジア太平洋部長の飯田慶太氏は「Xilisoft製のエンコードソフトは、既に最適化されており意外と高速だったため、3倍の差にしかならなかったが、今回紹介したRapiHDはアルファ版で最適化がまだ完了していない。今後最適化を進めることで、10倍以上の速度向上が見込める」としている。 CUDAによるビデオカードの機能を利用するソフトウェアは、膨大な物理演算が必要なシミュレーションソフトなど、研究用途での採用が多く、現時点では、コンシューマ向けソフトでの採用例はほとんどない。 今後のソフトウェアメーカーへのアプローチや協業について、飯田氏は「大幅な性能向上はユーザーにとってメリットになる。ユーザーにCUDAに関する情報が浸透し、ビデオカードの利用者が増えることで、ソフトメーカーは積極的に対応すると考えている」とし、メーカーの対応への期待を語った。 実際の開発についても、「CPUがマルチコア化した当初はマルチスレッド対応のソフトはほとんどなかったが、現在市場にあるビデオデコード/エンコードソフトを見ると、ほとんどがマルチスレッドに対応している。CUDAによるビデオチップを利用したソフト開発も、CPUのマルチスレッドに対応できれば、それほど難しくないはずなので、土壌は既に整っている」としている。
□nVIDIAのホームページ ( 2008年4月15日 ) [AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]
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