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欧州最大の家電機器展示会「IFA」のプレスカンファレンスが、18日から19日までスペインのマヨルカ島で開催された。
IFAは、2005年度までは隔年開催としていたが、2006年以降は毎年開催されており、例年、欧州メーカーを中心に、ソニーや松下電器など、日本の大手電機メーカーなども多数参加している。 IFA 2008の会期は2008年8月29日から9月3日までで、会場はメッセ・ベルリン見本市会場。テレビなどのAV機器などが主軸のショーだが、IFA 2008より、白物家電にも幅を広げ、BOSCHやMIERE(ミーレ)、シーメンスなどの欧州大手家電メーカーがブースを展開する。 展示は、製品ごとに以下の7カテゴリに分けられて展示する。
白物家電展示も追加されるが、従来よりIFAの中心となっていたHome Entertainment分野の展示スペースは削減せず、例えば「ソニーのブースは、ホール4-2に移り、展示スペースも大幅に拡大する(メッセ・ベルリンのChristian Cöke COO)」という。また、新たに台湾企業を中心としたホールも追加される。
■ デジタル時代の新しいIFAへ
ドイツ民生通信エレクトロニクス協会(gfu)の監査役会議長議長でLoewe社長のRainer Hecker氏は、家電製品のトレンドを紹介するととともに、新しいIFAの位置づけを解説した。 「IFA 2008では、ダイナミックな成長が見込める、新しい製品に力を入れていく。これまでのコンセプトを引き継ぎながら、新しいマーケットセグメントに取り組む」と宣言。家電業界のトレンドを紹介しながら、IFA 2008の展開を解説した。 「IFAのユニークな点は、“コンシューマエレクトロニクスの未来が詰まっているところ”」とし、その成長の担う製品として、薄型テレビやBDプレーヤー、HDカムコーダ、モバイルデバイス、などの動向を説明。さらに、「これらの製品の融合が始まっている」と、ネットワークを活用した家庭内のAVソリューションの融合への期待を語った。 テレビについては、アナログ放送からデジタルへの移行や、薄型への移行の進捗を報告し、欧州でのテレビ売上のうち92%が薄型で、50%以上が37インチ以上というデータを紹介。さらに薄型テレビの市場拡大にあわせて、サラウンドシステムやサウンドプロジェクタなどの需要を喚起している点についても言及した。 また、2008年の市場拡大を見込む製品としてBDプレーヤーや、デジタル1眼レフなどを挙げて説明。さらに、デジタルコンテンツのネットワーク化や環境対応などを重視していく点を強調した。 これらの「既存」の中心製品に加え、家庭内のすべての機器の連携が求められると説明。「IFAの展示に適した製品カテゴリとして新たに白物家電(Home Apliance)を取り入れていく」、と語った。
Gfk Marketing Serviceで家電部門のグローバルディレクターを務めるJürgen Boyny氏は、デジタル家電の世界市場動向について解説。 携帯電話や液晶テレビ、プラズマテレビなどのデジタル家電の市場が、先進国を中心に拡大している点などに言及。テレビ市場においては、「15年ごとに大きなイノベーションが起こる」とし、薄型/大型化とデジタル化による市場の拡大について説明した。 西欧のテレビ市場は、過去10年間で台数ベースで63%伸長、さらに金額ベースでは125%もの増加を見せており、「人々は、テレビにより多くのお金を使うようになった」と説明。薄型/大型化などイノベーションの成果と訴えた。 またiPodに代表されるポータブルオーディオの市場拡大により、周辺機器市場が創出された例に触れ、「強力なプロダクトは、産業そのものを引き上げる効果がある」と言及。新しい製品の登場への期待を述べた。 AV製品だけでなく、白物家電でのイノベーションにも説明し、「単純な機械ではなく、エレクトロニクスの導入による進化が多くの製品ジャンルで起きている。デジタル家電との親和性が向上している」と、デジタル家電との連携を強調。霜フリーの冷蔵庫やIHキッチンなどの市場拡大や、白物家電における低消費電力化のトレンドも、この融合を後押しすると説明した。
メッセ・ベルリンのChristian Cöke COOは、IFA 2008の展示概要について説明した。 Cöke氏は、普段使う電気機器のアンケートを例に挙げ、調理器具やコーヒメーカー、冷蔵庫など、5種類の白物家電がベスト10に入っていると説明。ブランドなどの親和性などからIFAに加える意義の高さを強調した。 白物家電関連では4ホールにElectroluxや、BOSCH、Russell Hobbs、Haier、Miele、SIMENS、VESTELなどのが参加予定。なお、Philipsや国内メーカーなど、デジタル家電と白物の双方を有しているブランドもあるが、これらのメーカーの出展内容については、各社の判断にゆだねられている。 一方、白物家電に手を広げながらも、デジタル家電などの面積を減らすわけではなく、「ホール面積はさらに拡大する」という。例えばソニーは従来より大規模なブース展開を図る予定で、パナソニックやシャープの参加も決定している。また、開幕の2日前となる27日からプレスイベントを開催。28日には各出展メーカーによるイベントなどを予定しているという。
最後にCöke氏は、「inspire people, move markets」という開催テーマに触れ、「トレードショーの未来と成功は、単に情報があるだけではなく、来場者のエモーションを動かすものであるべき。ユニークな情報と、エモーションのあるイベントにしていきたい」と語った。
■ 各社の欧州向け新製品も展示
プレスイベント会場には、パナソニックやシャープ、Philips、Loeweなどが欧州向けの新製品を展示。パナソニックの新BDプレーヤー「DMP-BD30」や、シャープの倍速駆動対応52型液晶テレビなどが出展された。 また、米国の大手メディア記者による座談会「ShowStoppers」も開催。CBS NewsのLarry Magid氏、CrunchgearのJohn Biggs氏、EngadgetのThomas Ricker氏、eWeekのEric Lundquist氏、PC WorldのHarry McCracken氏が、「Thinking Globally」をテーマに、「ドル安」からアップルの強さ、自由貿易のあり方などについて議論した。ShowStoppersは、IFA 2008においても開催される予定。
□IFA 2008ベルリンショーのホームページ(英文) ( 2008年4月21日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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