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……と言っても、これは講談社の週刊「モーニング」に連載中の漫画、「専務 島耕作(5月29日発売のモーニングより“社長 島耕作”に改題)」の中での話。しかし、日本一有名なサラリーマンこと島耕作氏(60歳)が、現実に報道陣を集め、社長就任会見を行なったのは事実。漫画の中の社長就任を現実世界の出来事のように発表することで、29日発売のモーニングからの新連載「社長 島耕作」と、今後のメディアミックス展開をアピールしようという、小粋なバーチャル会見と言うわけだ。
島耕作シリーズが、モーニングで連載開始されたのは'83年。以来、サラリーマンのサクセスストーリーを、実際の世相を取り入れた形で展開し、シリーズ全体で累計3,000万部を突破。“仕事を愛する”ことをモットーに、派閥に属さず、時にはクビを宣告されるなど、様々な困難を乗り越えながら課長、部長、取締役、常務取締役と昇進。ソムサン電子から敵対的TOBを仕掛けられた五洋電機へのホワイトナイトを提案し、対抗TOBを成功させた功績などが認められ、今回社長へと就任した。
会見の冒頭では、初芝電産相談役の郡山利郎氏、五洋電機の勝浦大喜社長も登壇。経営統合により五洋電機の技術が海外に流出するのが防げたことや、持株会社を設立することで五洋と初芝のブランドを維持できたことへの感謝の言葉が述べられた。
島社長は統合について「五洋と初芝が弱点を補いあえる形を築いていきたい。今後は液晶、電池、大型有機ELパネルなどを広く供給できるような企業を目指す」と説明。「自社や株主だけの利潤を追求するのではなく、従業員や関連企業、消費者全ての利益となるような、社会貢献できる会社を目指したい」とした上で、「今後の世界市で勝ち抜くために、新しいブランドを作りたい。一朝一夕でできることではないが、今からスタートを切りたい」とし、海外市場を重視する姿勢を強調。キーワードとして「Think Global」を掲げた。
TOBを巡る攻防や、海外の富裕層をターゲットとした大型ディスプレイの売り込みなど、登場する社名とも相まって、現実の企業や市場動向と重ねてしまいたくなるのが同作品の特徴。しかし、会社の規模が大きくなり、出世しても「海外の現地スタッフが例え日本を嫌っていても、自分が作っている製品を好きになることはできる。好きになれば良い製品ができ、自信が持てる。一人一人が自信と誇りを持つ企業は必ず伸びます」と語るなど、“仕事を愛する”島耕作の基本理念は揺るがないようだ。
なお、今回の社長就任を記念し、これまでのシリーズを課長編、部長編、取締役・常務・専務編の3つにわけた「島耕作全集」が5月29日から順次リリース。第1期「課長編」は10冊セットで14,700円。さらに、6月25日には高橋克典さん主演で、スペシャルドラマが日本テレビで放送。モーニング誌上ではローソンや東京電力、三菱自動車工業、サントリーなど、各社の社長と、原作者・弘兼憲史さんの対談シリーズも展開される。
■ 次長課長や中川翔子が乾杯!
続く乾杯式には弘兼憲史さんに加え、同氏と親交のある辰巳琢郎さん、コンビ名が今回の発表にピッタリな次長課長の2人、モーニング編集長の古川公平さんが出席。さらに、特別ゲストとして漫画・島耕作の大ファンだという中川翔子さんも登場した。
「こうして社長とお会いできるのは非常に光栄」と言いながら、前方の記者団か、後方の島社長のどちらを見て挨拶すべきか迷い、笑いを誘う辰巳琢郎さん。「弘兼さんとお会いするのも今日が初めてで、面識まったく無いのに呼ばれてしまって、しかもこんな広い会場で驚いてます。(ここにいて)いいんでしょうか?」と恐縮しながら登場し、会場を爆笑させたのは次長課長の2人。「今日ほどのこのコンビ名にして良かったと思ったことはありません」と喜びを語った。
中川さんは小学生の頃から漫画を読み、「大人って大変なんだな、サラリーマンってなんて素敵なんだろう」と思ったという。「大人の世界や恋愛がどういうものかわからないですけど、“島さんの部下になってみたいな”と妄想していました」と笑う。「いつまでも素敵な、理想の男性。いろんな世代の女性の憧れでありつづけてください。これからも仕事をバリバリギザがんばってください!!」とエールを贈り、島社長を含めた全員での乾杯となった。
最後に登壇した弘兼さんは、「漫画の主人公が社長就任するという前代未聞のイベントで、本人も驚いています。ただ、講談社はかつて“あしたのジョー”で、力石徹が死んだときに、バーチャルなお葬式をやったことがあるので、それを考えると今回は2度目。そんな歴史的なイベントに参加できるのは大変光栄です」と喜びを語る。
そして、島耕作というキャラクターについて「もはや私の手からキャラクターが一人歩きしているという感じ。私が動かすというよりも、“中川翔子さんのような美しい女性を秘書にしろ”とか、島耕作に指示されて私が描いているような、1人では動かせないような大きなキャラクターになった」と表現。「今後、彼は海外市場に打って出て、日本経済の活性化に貢献しようという気持ちだが、現実面でも島耕作の海外での販売部数を増やし、講談社と日本経済の活性化に貢献していきたい」と締めくくった。
□週刊「モーニング」のホームページ
(2008年5月28日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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