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株式会社東芝は、メディアプロセッサ「SpursEngine」を搭載し、超解像度変換や高速AVC変換を実現するAVノート「Qosmio」新モデルを7月下旬より発売する。 「Qosmio G50」シリーズ2モデルと、「Qosmio F50」シリーズ1モデルをラインナップする。価格はいずれもオープンプライス。
■ Cellの技術を継承し、超解像度変換を実現
特徴は、東芝製のメディアプロセッサ「SpursEngine SE1000」を内蔵し、MPEG-4 AVCへのリアルタイムトランスコードや、SD映像を高品位にHD化する「超解像変換技術(アップコンバート技術)」などをノートPCで実現したこと。 SpursEngine SE1000は、PLAYSTATION 3に搭載されているプロセッサ「Cell」のアーキテクチャを継承しながら、民生用AV機器向けの機能を強化。4個のSPE(1.5GHz)のほか、ハードウェアのMPEG-2、MPEG-4 AVC/H.264デコーダを搭載する。東芝では、「TOSHIBA Quad Core HD Processor」と命名している。 通常のCPUの処理と並行して、SpursEngineが映像認識、変換処理などを実行するため、Qosmioの様々なリアルタイムメディア処理に活用されている。 SpursEngineにより実現されたメディア処理は主に以下の4つ。
HDアップコンバートは、SD映像を鮮鋭なHD解像度に変換するという技術で、独自の超解像アルゴリズムを用いて、アップコンバートを行なう。欠落した輝度信号を補間し、最適な画素配列を類推し、映像を創出する。 SpursEngineを用いたアップコンバートは、DVDプレーヤーソフト「TOSHIBA DVD PLAYER」から利用できる。また、ビデオカメラから取り込んだファイルについても超解像化が可能となっている。 「高速トランスコード」技術は、MPEG-2 TS、MPEG-4 AVCの入力映像をフォーマット変換して、高速にAVC化する技術。同技術を用いることで、通常の1/10の時間でAVC変換が可能で、10分のMPEG-2(25Mbps)ファイルをAVC(8.6Mbps)に変換する場合、CPUだけでは52分19秒かかるが、同技術を導入した「Ulead DVD Movie Writer for TOSHIBA」利用時には5分46秒で変換できるという。10分のAVC(16Mbps)ファイルの場合、約6分7秒で変換できる。 ビットレートはHD解像度のXP(10Mpbs)、SP(8Mbps)、LP(5.5Mbps)と、SD解像度のEP(2Mbps)の4種類を用意している。「Qosmio AV Center」上で、地上デジタル放送の8倍録画(SD)と3倍録画(HD)時などに利用できる。 さらに、Windows Media Centerに組み込まれた「TOSHIBA Graphical Video Library」からも利用できるほか、DVDオーサリングソフト「Ulead DVD Movie Writer for TOSHIBA」によるAVC編集/出力の高速化などを実現している。 このトランスコード処理は、SpursEngine内のビデオコーデックハードウェアにより実現されている。また、トランスコード中に後述する「顔deナビ」用のインデキシング処理も行なう。
「顔deナビ」は、出演者の顔を自動検出して分類する機能で、録画した地上デジタル放送番組やWindows Media Center内のビデオファイル、ビデオカメラから入力した映像などで対応している。 録画時には自動的に同時でインデックス化処理が行なわれ、インデックス化された「顔」は、ひとつのビデオファイルあたりで、16×6枚でサムネイル化される。サムネイルをクリックすると、その出演者のシーンからの再生が可能。 また、手の「ジェスチャー」によるパソコンの操作が可能な「ハンドジェスチャーリモコン」機能も搭載。内蔵カメラが撮影したユーザーの手の動きをSpursEngineが認識して、マウスポインタの座標やクリックイベントに変換。パソコンの前で手をかざすだけで各種操作が行なえる。 例えば、AVアプリケーションに対して、手のひらをかざすと再生/停止などが行なえる。また、こぶしをかざしてマウスポインタを呼び出し、親指を立ててクリック。こぶしをまわしてスクロールなどの操作が可能となっている。また、PowerPoint専用のジェスチャーメニューを用意し、プレゼンテーション支援などを実現している。 各機能におけるSpursEngineの動作状況はVista用ガジェット「TOSHIBA Quad Core HD Processorガジェット」により確認できる。ガジェット上からの各機能呼び出しや設定なども行なえる。 今後もSpursEngine関連の機能強化に取り組む方針で、アップコンバートアルゴリズムを強化し、複数フレーム参照型のアルゴリズムの導入による画質向上やネット映像配信への対応を図る。また、映像インデックスでも顔検出だけでなく、顔認識にも対応予定。さらに、外部のアプリケーションベンダーとの連携の強化なども目指すという。 ■ 18.4型フルHD液晶搭載の「Qosmio G50」など
SpursEngineを内蔵しているのは、18.4型/1,920×1,080ドット液晶搭載の「Qosmio G50」シリーズの「G50/98G」、「G50/97G」と、15.4型/1,200×800ドット液晶搭載の「Qomio F50」シリーズの「F50/88G」。 Qosmio Gシリーズは、光沢感あるシルバーの天板を採用した新デザインの筐体に、色純度を向上した18.4型/16:9のワイド液晶を搭載。地上デジタルダブルチューナを搭載しており、デジタル放送の録画/視聴が可能なほか、HDMI端子を装備しており、REGZAなどと連携可能な「レグザリンク」に対応している。 スピーカーはharman/kardon製のステレオ3スピーカーシステムを搭載。ドルビーヘッドフォンや、SoundSpaceExpanderなどから構成される第2世代の「ドルビーサウンドルーム」を搭載し、音質向上を図っているほか、低域増強技術「Maxx Audio」も搭載している。 G50/98GとG50/98Gともに、CPUはIntel未発表の「次世代Core 2 Duo」としている。上位モデルのG50/98Gは、HDDが500GB。G50/97Gは、HDD 250GB。メモリは2GB、DVDスーパーマルチドライブを搭載。なお、DVDへのHD記録には対応していない。OSはWindows Vista Home Premium。 ExpressCradスロットやi.LINK、マイク入力、ヘッドフォン出力、USB 2.0、光デジタル音声出力などを装備。HDD増設用にeSATA端子も備えている。130万画素のCCDカメラや指紋センサー、1000BASE-T Ethernetなども装備する。無線LANはIEEE 802.11b/g/n draft 2.0。 バッテリ駆動時間は約4時間。外形寸法は452.3×311×38.2~48.3mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約4.9kg(G50/98G)、約4.8kg(G50/97G)。Office 2007 SP1とPowerPointをバンドル。地デジ用の室内アンテナや、新型のQosmioリモコンが付属する。 Qomio F50/88Gは、1,280×800ドットのClearSuper View液晶を搭載。地デジダブルチューナを内蔵し、HDMIを装備。レグザリンクに対応する。harman/Kardon製スピーカーやドルビーサウンドルーム、MaxxAudioなどの機能も搭載している。 CPUはIntelの次世代Core 2 Duo、メモリは2GB、HDDは250GB。DVDスーパーマルチドライブを内蔵する。OSはWindows Vista Home Premium。 ExpressCradスロットやi.LINK、マイク入力、ヘッドフォン出力、USB 2.0×3、USB 2.0/eSATA×1、光デジタル音声出力、1000BASE-T Ethernetなどを装備する。無線LANはIEEE 802.11b/g/n draft 2.0。 バッテリ駆動時間は1.8時間。外形寸法は368×278×38~47mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約3.6kg。Office 2007 SP1とPowerPointをバンドル。地デジ用の室内アンテナや、新型のQosmioリモコンが付属する。 □東芝のホームページ ( 2008年6月23日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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