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松下電器、「松下」最後の株主総会を開催
-パナソニックへの社名変更可決。有機ELの時期は未定


大坪文雄社長

6月26日開催


 松下電器産業株式会社は、6月26日午前10時から、大阪・城見のホテルニューオータニ大阪で、第101回定時株主総会を開催した。

 今回の株主総会では、第1号議案として、定款一部変更が提出され、2008年10月1日付けで松下電器産業株式会社からパナソニック株式会社への社名変更を可決。松下電器産業の社名では最後の株主総会となった。

 大坪文雄社長は、「大正7年に松下電気器具製作所として創立され、昭和10年に松下電器産業株式会社に改組。本年で90周年を迎えた。事業を通じて社会に貢献するという経営理念のもと、多くのみなさまに支えられ、今日まで発展を続けてきた。今回の商号変更は、2009年度を目処に、松下グループにおける国内外のブランドをPanasonic(パナソニック)に統一することも行なう。これまでの松下、ナショナル、パナソニックの3つに分散していたグループの活動成果を、パナソニックというひとつの名のもとに結実させ、ブランド価値の向上につなげ、強いブランドにしていくものである」と社名変更に意義について説明。

 一方で、「創業者である松下幸之助が残した、『事業を通じて社会に貢献する』という経営理念は堅持する。むしろ、改めて、経営理念を世界中のグループ社員でしっかりと共有し、これをパナソニックのブランドに込めて実践していきたい。先進、洗練、信頼のブランドとして、いまより輝くブランドにしていく考えだ。商号変更を契機として、従来以上に、全世界のグループ一丸となって経営理念の実践に取り組み、グローバルエクセレンスへの飛躍を目指す」と創業者の経営理念は堅持することを強調した。

□「パナソニック株式会社への社名変更が正式決定」のニュースリリース
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn080626-2/jn080626-2.html
□関連記事
【2007年6月27日】松下、10月から社名をパナソニック株式会社に変更
-「ナショナル」ブランド廃止。「グローバル企業目指す決意」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070627/pana.htm


■ プラズマで大画面市場を牽引、液晶はボリュームゾーンを強化

 株主総会の冒頭には、2007年度の事業報告をビデオを通じて行ない、デジタルAV商品や白物家電商品などを中心に、日本ビクターを除くすべての部門で増収を達成し、連結売上高が前年並みとなったこと、当期純利益で過去最高を達成したことなどを紹介。2007年6月からプラズマ国内第4工場を稼働。11月には国内第5工場の建設に着手したことなどにも触れた。

 また、中期経営計画「GP3計画」の初年度として成長戦略を加速する取り組みを行なってきた実績とともに、成長性や収益力と同様に重要な経営指標として、二酸化炭素削減に向けた取り組みを大幅に加速する姿勢を示し、10月に、エコアイディア宣言を表明したことも紹介した。

 大坪社長は、「2008年度は、GP3計画の中間年度として、成長の機会を捉え、成果をあげる年と位置づけている。重点取り組みテーマとして、BRICs+ベトナムでの事業加速を含む『海外2桁増販』、デジタルAV、カーエレクトロニクス、生活快適実現、半導体・デバイスの『4つの戦略事業』、全プロセスの取り組み成果を商品に結実させるとともに、V商品の強化などを含めた『モノづくりイノベーション』、環境への取り組みである『エコアイディア戦略』を掲げて、取り組んでいく」と説明した。

 また、薄型テレビ事業に関しては、2008年度目標として1,100万台の出荷を目標とし、「プラズマで大画面市場を牽引し、液晶ではボリュームゾーンを強化する」と、両輪戦略で推進する姿勢を示した。


■ 有機ELテレビは準備は進めているが、事業化の時期は決まっていない

 質疑応答では、有機ELテレビの戦略について、坂本俊弘専務取締役が回答。「有機ELは、将来有望なパネルであるが、大画面に展開するにはまだ時間がかかる。松下電器では、すでに社内で開発、研究を続けており、液晶パネルの姫路工場への投資も、将来の大画面有機ELへの展開を睨んだもの。インフラへの準備は進めているが、具体的な事業化の時期は決まっていない」とした。

 また、プラズマテレビと液晶テレビの消費電力の差については、「今年1月に150インチの高精細プラズマテレビを発表したが、これにはNeo-PDP技術を採用しており、発光効率を高め、消費電力を下げている。2009年モデルではこのパネルを全面的に展開していく。さらに、パイオニアと技術提携し、年間の消費電力を2分の1に削減できる。液晶テレビと差がないレベルに到達できる」とした。

 '70年に購入した電子レンジの「エレックさん」を38年間使っているという株主による「高くても、いいものを作るのが松下電器ではないか」との質問に対しては大坪社長が回答。「商品の基本は、安全で、信頼性のある商品が最低限の条件である。その上で、原価を低減することが主旨。安くて悪いものを作ることはしない。引き続き、安全な商品を安い価格で提供できるようにしたい」。また、長期間使用できるようにするために修理部品の対応については、牛丸俊三副社長が回答。「修理部品のストック状況は、業界標準よりも沢山持ち、課題に対処する体制を整えている」とした。

 一方、DVDレコーダが機種によって方式が異なり使いにくいこと、フリーダイアルが混み合い通じにくいこと、量販店に接続を頼んだら接続に不備があったことなどについては、牛丸副社長が回答。「相談センターに電話がつながりにくいことは申し訳ない。ここにきて、DVD関連の質問が増加していることから、対応者を50人近く増員したことで、今年に入ってからは応答率が良くなっている。今後もご迷惑をかけないように充実させていく。また、量販店に対しても、サービス方法における徹底をお願いしている。さらに、町のでんき屋さんも松下電器にとっては大きな武器、強みとなっている。高齢化が進む日本には、こうした店舗は必要である。町のでんき屋さんが、しっかりと商売が継続できる施策を展開していく。商品によって、操作の方法が変わるのは、関係事業場とともに解決していく」とした。

 なお、大阪の株主総会会場では、本会場をはじめ5つの会場を結んだほか、株主総会の様子は、東京・有明のパナソニックセンターと、名古屋の中継会場にもハイビジョン配信された。

 インターネットなどによる議決権行使を含めて、議決権個数は156万621個に達し、第1号議案から第3号議案まで可決され、株主総会は午前11時29分に終了した。

□松下電器のホームページ
http://panasonic.co.jp/index3.html
□定時株主総会
http://ir-site.panasonic.com/stockholder/kabunushi.html
□関連記事
【2007年6月27日】松下電器が定時株主総会を開催
-品質問題に質問が集中。有機ELにも期待
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070627/pana.htm
【2006年6月28日】松下電器、中村社長最後の定時株主総会を開催
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060628/pana.htm

( 2008年6月26日 )

[Reported by 大河原克行]


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