|
松下電器産業株式会社は29日、2008年度第1四半期連結決算を発表した。
売上高は前年同期比4%減の2兆1,520億円、営業利益は48%増の1,096億円、税引前利益は42%増の1,193億円、当期純利益は86%増の730億円。営業利益率は5.1%となっている。 純利益の730億円は、第1四半期としては過去最高の業績。23年ぶりに更新したという。 松下電器の上野山実取締役は、「7年連続の増益。すべてのセグメントで増益を達成している。GP3計画の2年目として順調なスタートを切った。また、日本ビクターと為替の影響を除いた実質ベースでは、売上高は前年同期比7%増となっている。海外の売上高も、BRICsおよびベトナムに加えて、欧米が好調であり、実質2桁成長になっている」とした。 地域別では、国内の売上高が3%減の1兆452億円、海外が5%減の1兆1,068億円。日本ビクターを除いた実質ベースでは、国内が前年並み、海外が13%増となっている。 実質ベースでは、米州の売上高は前年同期比11%増の2,865億円、欧州が12%増の2,936億円、中国が20%増の2,593億円、アジアが10%増の2,674億円となった。 北米市場向けには、製販一体組織への変更によって、薄型テレビ、デジカメ、Blu-rayなどをビエラリンクとして、商品群で訴求。また、地域ごとのニーズに基づいたきめ細かな商品企画、全国量販偏重から、地域量販とのバランスの取れた体制確立、トラックロードショーの展開などによる販売との連携を密にしたマーケティングの成果が出ているという。 「これまでは、製造と販売が別々の責任体制となっていたが、これを一本化することで、柔軟な対応が図れるようになっている」という。 また、新興市場向けには、これまでの富裕層だけをターゲットとした戦略から、対象となる枠を広げたことが功を奏し、BRICsおよびベトナムの売上高が34%増となった。ロシアでの売上高は38%増、中国が28%増、インドが78%増、ベトナムが159%増、ブラジルが25%増になっているという。
セグメント別では、すべてのセグメントにおいて、営業利益が前年実績を上回る結果となった。 デジタルAVCネットワークの売上高は、前年同期比5%増の1兆464億円、営業利益が41%増の550億円。 同セグメントの主要ドメイン会社では、パナソニックAVCネットワーク社の売上高が前年同期比15%増の5,299億円、営業利益は1%増の144億円。営業利益率は2.7%。また、パナソニックモバイルコミュニケーションズの売上高は10%増の1,188億円、営業利益は前年同期の赤字から165億円改善し、149億円となった。 パナソニックAVCネットワーク社の営業利益率が2.7%と、前年実績に比べて0.4ポイント減少しているが、「IPSアルファテクノロジの業績が第1四半期は赤字であり、それが影響したもの。これを除くと、前年同期に比べて、営業利益率は上昇している」とした。
■ 薄型テレビは32%増。BDレコーダは録画機全体の35%
薄型テレビの販売金額は、全世界で32%増の2,454億円。そのうち、日本国内は10%増の631億円、米州は11%増の493億円、欧州は53%増の941億円、アジア/中国は68%増の389億円となった。 販売台数は、プラズマテレビが前年同期比53%増の122万台、液晶テレビが30%増の99万台。薄型テレビ全体で32%増の221万台となった。 「液晶テレビの品揃えに37インチを追加し、プラズマテレビでも46インチモデルを追加。さらに、フルHDモデルを2系統、HDモデルを1系統用意するなど、商品レンジが増加した。また、フルHD比率が上昇し、日本は昨年の34%から59%に、北米は23%から55%に、欧州は5%から43%と大幅に拡大した。また、大画面化が進んだことも増販要因となっている」とした。 一方で、北京オリンピック商戦の状況にも触れ、「6月半ばから、ようやく盛り上がり出した。薄型テレビの出荷台数の伸び率は、5月が前年同月比28%増、6月が54%増と、かなり大きな伸びになってきている。また、6月のフルHD比率は81%の構成比になっている。昼間に競技が行われることから、録画をしておきたいという需要もあり、録画機のなかではBlu-rayの比率が35%に達している」という。 デジタルカメラの販売金額は、日本が3%増の108億円、米州が14%増の150億円、欧州が8%増の284億円、アジア/中国が9%増の108億円となった。全世界では9%増の650億円。 だが、「新製品投入の効果もあり、好調を維持しているものの、業界全体として、流通在庫が溜まってきている点が気になる」など、今後の市場動向には懸念の色を見せた。 携帯電話は、ビエラケータイの好調ぶりが売上高、利益ともに貢献した。第1四半期の携帯電話の販売台数は前年同期比8%増の199万台となった。「携帯電話を担当するパナソニックモバイルコミュニケーションズが12.5%の営業利益率を達成した。高収益モデルが好調であったのに加え、基地局が好調に推移。開発コストの削減のほか、特許による解決清算益が計上されている。特許による収入は利益の3分の1程度を占めており、一時的なもの。第2四半期以降は、ここまで高い利益率にはならない」としたほか、「デジカメ同様に、流通在庫の影響があり、市場は仕入れ調整に入りつつある。第2四半期以降は販売が苦しくなる可能性がある」とした。 アプライアンスの売上高は1%増の3,521億円、営業利益が75%増の315億円。デバイスの売上高は4%減の3,345億円、営業利益が6%増の195億円。電工・パナホームは売上高が前年並みの4,328億円、営業利益が7%増の105億円。その他事業の売上高は11%増の2,894億円、営業利益は1%増の139億円となった。
なお、グループ事業領域別では、デジタルAVCネットワークソリューションが売上高が5%増の1兆464億円、営業利益が41%増の550億円、営業利益率は5.3%。環境・生活快適実現ソリューションは売上高が前年並みの7,848億円、営業利益は51%増の420億円、営業利益率は5.4%。デバイス・産業ソリューションは売上高が3%増の6,240億円、営業利益が4%増の334億円、営業利益率が5.4%。 上野山取締役は、「いずれも5%の営業利益率を超えている。3つの事業領域が、バランスのとれたポートフォリオとなることを引き続き目指していく」とする一方、「ビジネスドメインにおける減収傾向が出ている。自動車関連などが影響を受けており、これまで減収になることがなかった自動車関連事業は第1四半期は減収になっている」などとした。
( 2008年7月29日 ) [Reported by 大河原克行]
Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|