|
日本テキサス・インスツルメンツ株式会社は29日、低消費電力を特徴としたDSP新製品などのロードマップを発表。従来比1/3の消費電力を実現する浮動小数点DSP「TMS320C674x」など、4シリーズ計15製品を2008年第4四半期より順次提供する。 発表されたのは、オーディオ機器/電子楽器や産業用テスタなどでの利用を想定した「TMS320C674x」に加え、ポータブルオーディオやノイズキャンセルヘッドフォンなどに向けた固定小数点DSP「TMS320C550x」、無線機などを想定した固定小数点DSP「TMS320C640x」、ARM9をコアとし、ポータブル機器において高度なGUI機能を実現するというアプリケーションプロセッサ「OMAP-L1x」で、いずれも従来製品に比べて大幅に消費電力を抑えている。 サンプル出荷は、「C674x」が2008年第4四半期から開始、他の3シリーズはいずれも2009年第1四半期の供給開始を見込む。100個受注時の単価は製品により異なるが、9ドル以下からの提供を予定する。
C674x/C640xはそれぞれ、既存のC67xに比べ1/3、C64xに比べ1/2という消費電力を実現。両製品の消費電力は、待機時がいずれも6mWで、動作時はC674xが420mW、C640xが415mWとなる。C674xは、24~32bit処理の製品において業界で最も低い消費電力で実現し、システムコストの削減に貢献するとしている。また、OMAP-L1xとのピン互換性を持ち、機能拡張が容易に行なえることも特徴。 OMAP-L1xは、既存のOMAP3の下位モデルで、ARM9をコアとして、ポータブル機器に高度なGUIを搭載可能とする。C640x/C674xまたはオーディオ用コプロセッサを組み合わせた3製品をラインナップする予定。業界で最も低いという消費電力を実現し、待機時の諸費電力は6mW、動作時は435mW。 C550xは、既存のC55x製品と比較し、1/2の消費電力を実現する固定小数点DSP。「業界最長のバッテリ寿命を実現する」としており、消費電力は、待機時が6.8μW、動作時が46mW。FFTコプロセッサと大容量メモリを搭載し、高い電力効率と高速解析を両立するという。
■ 低消費電力化への30年の取り組みの成果
TIの営業・技術本部ビジネス・デベロップメント カタログプロセッサ&コントローラグループマネージャの正田博之氏は、同社の省電力プロセッサにおけるロードマップとして3つのポイントを説明。12カ月間で15製品以上を投入する点、浮動小数点処理を必要とするプロ用のオーディオ機器などを持ち運び可能にする点、固定小数点DSP製品で最長のバッテリ持続を可能とする点で、これまで省電力化に30年取り組んできたという成果を強調した。 低消費電力へのアプローチとしては、DSPとARMまたはFFTを用いたマルチプロセッサ構成や、「SmartReflex」などのパワーマネジメントツールで必要最低限の動作を実現すること、外部メモリへのアクセスを少なくするための大容量メモリ採用などを挙げた。また、C640x/674x、OMAP-L1xにおいては65nmプロセスを、C550は90nmプロセスを採用しており、「C550の90nmは低リークを実現させるために、他3製品は高性能と低消費電力を両立させるために現時点では最適な選択」としている。
( 2008年7月29日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|