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社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の庄山悦彦会長(日立製作所会長)は19日に会見を行ない、同協会が調査した電子情報産業の世界生産の見通しについて発表した。 全世界における電子情報産業の生産規模は、2008年見込みで前年並の237兆円となり、当初予測の243兆円を下回るとした。また、2009年の見通しは、前年比2%増の241兆円になるという。 そのうち、電子工業の世界生産額は、2008年見込みは2%減の179兆円となり、当初予測の189兆円を下回った。2009年の見通しは181兆円とした。また、ITソリューションは、2008年見込みが6%増の58兆円となり、当初予測の54兆円を上回ることになるという。2009年見通しは4%増の60兆円とした。
「オリンピックでの消費が期待していたほど盛り上がらなかったことが影響している。堅く見ていた新興国の需要についても、年の後半に世界的な経済環境の低迷の影響を受けた。一方で、情報セキュリティの推進、経営効率化を狙ったIT投資の促進があったものの、電子産業全体落ち込みをカバーできなかった」とした。 また、日系企業における電子情報産業の生産規模は、2008年見通しで前年比3%減の50兆円、2009年見通しも前年並みの50兆円とした。2008年の当初見込みは6%増の52兆円としていたが、それを大きく下回った。 そのうち電子工業では、2008年見込みが4%減の44兆円、2009年見通しも前年並の44兆円とした。2008年の当初見込みについては、6%増の47兆円と見ていた。ITソリューションは、2008年見込みが3%増の5兆8,000億円、2009年見通しは2%増の5兆9,000億円とした。 2009年に日系企業が生産額を成長させると予測している品目では、映像記録再生機器が39%増、テレビが4%増、パソコンが1%増となり、「ブルーレイディスクをはじめとする分野の成長性の高さに特徴があり、大いに期待したい。パソコンは、セカンドマシンとしての利用が期待できる商品が登場し、またノートPCの普及が見込まれる。記憶装置やプリンタなどの成長にも期待したい」と述べた。 また、2009年に日系企業の生産額がマイナスになるものとしては、音響機器の5%減、ディスプレイモニターの4%減、半導体の4%減などとなった。
庄山会長は、「原材料高については、乱高下しているが、あらかじめ早めに材料を調達していることもあり、価格が下落しても、急な値下げは難しい」と説明。 また年末商戦の動向については、「会社や、商品によって状況は違うが、かなり期待していたことの反動もあり、思ったように進んでいない。消費者にとっては、消費活動を行なわないことが良くなってきているという風潮もあり、とくに、家電、携帯電話などの生活直結型商品については消費者は敏感で、ものを買うことはよくないという雰囲気がある。マスコミの方には、良いものを早く買ってもらい、楽しんでいただくというムードをぜひ作ってもらいたい」などと述べた。 なお、3回目となった今回の調査結果について、「経済環境の変化が激しく、最近では、データを発表するたびに、この調査は何日何時現在に発表したものといわなくてはならないほど。そうした不透明ななかでの予測であるが、この見通しは、アンケートの回数を増やし、精度向上に務めた関係者の労作となっている」と説明。 また「世界生産については、1ドル105円50銭で見通したものとしている。結果は、日系企業の産業規模は約50兆円に達し、全世界の5分の1の生産高を、JEITA加盟企業が占めている。金融機器の渦中でもあり、今年は伸びてはいないが、我々が担当している製品は、将来においても、進展していくものになるのは間違いない。高機能、高性能を提供し、特徴のある強い商品を提供することで世界景気の回復に貢献していきたい」と庄山会長は語った。
□JEITAのホームページ ( 2008年12月19日 ) [Reported by 大河原克行]
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