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米Audyssey Laboratoriesは、International CESの期間に米国で行なったプライベートデモにおいて、最大11.1chまで拡張する新サラウンドアルゴリズム「DSX」(Dynamic Surround Expansion)を発表した。AVアンプの2009年モデルへの搭載が見込まれている。 ■ 前方に4chを追加、音の幅と高さを拡張
Audysseyは、2002年にUSC(南カリフォルニア大学)の教授らがスピンアウトして設立し、ルームイコライジング技術をコアとした研究開発をUSCやハリウッドとの協力で行なっている企業。 代表的な技術としては、自動音場補正の「MultEQ」のほか、サブウーファ向けの「BASS XT」、ボリューム連動型の音質コントロール「DynamicEQ」、自動音量調整「Dynamic Volume」などを持ち、デノンやオンキヨー、マランツのAVアンプや、シャープ、東芝の液晶テレビにおいて同社の技術が採用されている。 今回発表された「DSX」は、従来の5.1ch/7.1chソースのサラウンドを最大11.1chまで拡張する技術で、前方に最大4ch分を追加し、人間の聴覚により近い形でのサラウンド再生を図る技術。ハイエンドAVアンプ製品への採用が既に検討されており、2009年中に発売される製品での導入が見込まれている。
スピーカーの配置としては、第1のオプションとしてL/Rスピーカーの外側にLW(Left Wide)、RW(Right Wide)の2chを追加。第2にはLとLWの間、RとRWの間の上方にそれぞれLH(Left Height)、RH(Right Height)という高さを表現するための2chを追加し、前方のサラウンドを強化する。「フロント/センターからの音とLW/RWの音とのディレイの部分でサラウンドがまったく違う形で聴こえる」としている。 正確なスピーカーの配置はLW/RWが前方から左右各55度、LH/RHが左右各45度でセンターから45度上方となっている。ただし、LW/RWの配置は55~60度の範囲で調整可能としている。 LW/RWは側面の壁からの反射音をシミュレートし、音場の幅を拡大。LH/RHは天井からの反射音を利用し、音の高さを表現する。なお、今後登場する予定のDSX対応AVアンプにおいては、出力が7chまたは9chの製品でも、サラウンドバックを利用する場合に比べて前方にLW/RWなどを置く方がサラウンド効果が高まるとしている。 実際に音楽ライブ映像/音声を中心に、11.1ch環境でDSXを試聴したところ、DSXをオンにすると幅/高さの拡張がはっきりと感じられた。通常の5.1/7.1chに比べると、ボーカル音声の押し出しをやや抑える形で、より自然な聴こえ方となっていた。
■ DSX対応Sound Barも試作
同社は、テレビに追加する一体型フロントサラウンドスピーカー「Sound Bar」や、テレビに内蔵する形でのサラウンド技術も開発。Sound Barでは、MultEXとDynamicEQ、Dynamic Volume、BASS XT、DSXの各アルゴリズムを組み込んだ試作機のデモを行なった。 日本でもSound Barに相当する横長のスピーカーは数社から発売されおり、市場が立ち上がりつつあるが、米国でもBlu-ray Discなどメディア環境の変化に伴い、Sound Barは最近の大きなトレンドの一つになっているという。 デモに使用したSound Barの試作機は、ユニットの再生能力を限界に近いところまで利用するというBASS XT技術により、テレビと同程度の薄型筐体ながら力強い低域を再生。また、試聴位置を前後左右に移動しても極端に聴こえ方が変わることがなく、広いスポットでサラウンドを実現していたことが特徴的だった。
□Audysseyのホームページ ( 2009年1月14日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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