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旭化成がポータブル用DAC強化。USB-CでNCヘッドフォン、スマートスピーカー向けセンサー
2018年1月16日 07:45
旭化成エレクトロニクスは、CES 2018でプライベート展示を行ない、最大22.4MHzのDSD入力に対応するDACチップ「AK4493EQ」などの新製品を披露。また、USB Type-C端子直結のノイズキャンセリングイヤフォンを実現する「AK4572」などを紹介した。
また、上記のオーディオ製品と別室で、センサー関連の展示も充実。スマートスピーカーやVRヘッドセットなど幅広い製品への採用を見込んでいる。
DACはハイエンドからポータブルまで。USB-CのNCヘッドフォン実現も
2014年に発売されたプレミアムDACで、既に多くの据え置き/ポータブルオーディオ製品に搭載されたベストセラー「AK4490EQ」をアップグレードしたのが、8日に発表された「AK4493EQ」。フラッグシップのVERITA AK4497EQに次ぐハイエンドDACとなる。このAK4493EQを用いたリファレンスシステムをCESのブースで披露した。
AK4493EQは、最大768kHzまでのPCMと、22.4MHzまでのDSDをサポート。THD+Nは-113dB、ダイナミックレンジは123dB。
なお、評価用システムのボックスも最新版にアップデート。ケースの蓋を開けなくても前面のスイッチでデジタルフィルタの種類などが変更可能になった。
ポータブル機器のヘッドフォン再生時のパフォーマンスを重視したハイレゾ対応DACもラインナップを強化。「AK4377」は、768kHz/32bitまで対応し、海外からも要望が多かったというDSDのDoP入力にも対応。12.2MHzまで入力できる。SN比は128dB。
超低消費電力を特徴とする「AK4331」は、DSDには対応しないが、消費電力は上記AK4377(60mW)の1/10以下となる4.5mWを実現。プレーヤーなどが長時間利用できるように配慮している。SN比は107dB。
最近の動向として、日本だけでなく中国や欧州など海外からもDSDのDoP再生対応を求める声が高くなったという。今回の新DACにより、スマホからポータブルプレーヤーまで幅広い製品で、より高音質なDACを提供可能になる。
ハイレゾ対応DSPは、最新DSPコアアーキテクチャを搭載した「AK7737」と「AK7739」を展示。32bit浮動小数点処理で正確に音声信号を伝送可能としている。両製品の違いはAK7739のみDAC部分を備えており、採用する製品によって、デジタルのまま出力する場合はAK7737を選べるようにしている。32bitを採用する点については、単に数値上のスペックを求めているのではなく、実際にデバイスを作って実験したところ音質に変化があったため、採用したという。
USB Type-CでNCも実現可能なオーディオソリューション
USB Type-Cに対応したオーディオコーデックソリューション「AK4572」も用意。ダイナミックレンジ116dBのDACに加え、アクティブノイズキャンセル機能(NC)や、ボタンI/F、96kHz/24bit対応のUSBインターフェイスや、外部センサー用I2CマスターI/F、LEDドライバなどの機能を集積。
これを利用することで、AndroidスマートフォンのUSB Type-C端子に接続して使えるNC対応イヤフォンなどが製品化可能。実際にNC搭載の要望は高いとのことで、今回の展示では実機に近いイメージとして、マイク付きイヤフォンをNC対応にした試作機も展示している。
スマートスピーカーなどのコネクテッドホームを想定した4ch ADC+DSPの「AK7776」は、4つのマイク入力を搭載し、「スマートボイスエンハンサー(Smart Voice Enhancer)」を実現。ローカル音声認証アルゴリズムを備え、特定の話者を認識して音声操作できるようにする。DSPを搭載せず、消費電力を抑えられるADCのみのAK5704も用意する。
スピーカーなどのオーディオシステム向けの超低ノイズ電流センサー「AK31XX」も開発。スピーカー電流をフィードバックして音質を改善するモーションフィードバック(MFB)機能を搭載。従来のようにシャント抵抗を使う方式とは異なり、低抵抗でもノイズフリーで理想的なフィードバックを掛けられる点を特徴としている。“オリジナルの音質を保つ”ためのアプローチとして、DACだけでなく同社が長年手掛けているセンサー技術も応用し、全体のソリューションとして提案するという。
VRヘッドセットやスマートホームなど幅広く活用されるセンサー
オーディオルームとは別室に設けているセンサールームでも、ドローン、VRヘッドセット、デジタルカメラ、スマートホームなど様々な機器やソリューションに活用できるセンサー製品を展示している。
TDKと共同開発した3軸磁気センサーは、AKMが電子コンパスで培った設計技術と、TDKがHDDの磁気ヘッドで培ったTMR素子の技術を融合。業界トップレベルという低ノイズや低消費電流を実現。デモのコーナーでは、センサー部分を高く持ち上げる(地面/磁場発生装置から離す)と、従来の磁気センサーに比べて、新開発のTMR 3軸磁気センサーでは高精度で安定した検出ができることを紹介。
この磁気センサーを使用することで、ドローンに必要となる正確な位置検出ができるほか、AR/VR/MRヘッドセット、ゲーム用コントローラ、屋内ナビゲーションなどに活用できるという。
スマートフォンのカメラで、AFや光学式手ブレ補正などを可能にする精密な位置検出ソリューションも紹介。スマートフォンのレンズ位置制御に必要なホール素子とモータードライバを使って、光学式手ブレ補正のデモを行なっている。
人感センサーでは、約3m先の人を検知でき、スマートスピーカーなどに搭載できるIRセンサーを開発。暑さは約1mmで、電池駆動に対応する。
DSPのコーデックを超音波モーションセンサーとして使えるというアルゴリズムも開発。スピーカーとマイクを使って、物陰を含む部屋のどこにいても検知できるという。5m以上の範囲に対応する。