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SpotifyとAppleが“音楽配信の公平な競争”について論争

音楽配信大手のSpotifyとAppleの両社が、「公平な競争」を求める論争を繰り広げている。

世界で2億人以上が利用するSpotifyと、近年は契約者を伸ばしているApple Music。両者が激しく競争する中で、まず不平を訴えたのはSpotify。欧州委員会に対して、App Storeを展開するAppleが、競合サービスを締め出し行為を行なっているとして、調査を申し立てた。

Spotify創業者でCEOのダニエル・エク氏は13日に公開したブログのなかで、Appleがアプリ配信プラットフォームである「App Store」において、不公平な競争条件をとり続けていると指摘。App Storeの“税”(手数料)として30%を徴収される事や、無料版からSpotify Premium(有料プラン)へのアプリ上でのアップグレードが許可されないこと、アプリのアップデートを拒否することなどを問題視。特に、Uberなどのアプリでは、アプリ外でも“Apple税”なしで課金できるとし、それらと同じような扱いを求めている。

また、Siriによる音声操作やスマートスピーカーのHome Pod、そしてApple Watchにおける機能制限が行なわれることも指摘している。

AppleもSpotifyに反論。14日付で「Spotifyの主張に対して」とする文書を公開し、「Spotifyは何年もApp Storeを通じて自分たちのビジネスを劇的に成長させてきたが、App Storeのエコシステムから得られる利益すべてを、自分たちが恩恵を受けてきた市場(App Store)に支払を一切することなく独り占めできないかと考えている」と批判している。

Apple Music

「Apple製品に対するアクセスやアプリケーションのアップデートを阻止している」との主張に対しては、「承認·配信してきたアプリのアップデート数は200に及び、ダウンロード数は累計3億回を超える」とし、阻止したのは、「Spotifyがアプリアップデートの際に、共通ルールを回避するような仕組みを仕込んでいたケース」と反論。

また、AppleがSiriとAirPlay 2への対応をSpotifyに何度か求めた際、Spotifyが「取り組むと応じてきたので、いつでも彼らに協力できるような態勢で待っている」と言及。「SpotifyはCarPlayのようなプラットフォームに深く組み込まれている。他のデベロッパと何ら異なることなくアプリケーション開発のためのツール、リソースを利用できる立場にある」とする。Apple Watchについても、「SpotifyがApple Watch向けアプリケーションを2018年9月に提出した際、他のアプリと同じプロセスとスピードで調査·承認した」としている。

Spotifyが30%の“税”と指摘する年間購読料については、「アプリ内から当社のApp内課金システムを通じて購入された場合、年間購読の初年度はレベニューシェア(売上に対するAppleの取り分)は30%だが、2年後以降は15%に半減されることをSpotifyは言及していない」と批判。

また、「Appleは自社のユーザをSpotifyと結び付ける役割を果たしている。Spotifyはこうした恩恵をすべて享受しながら、同社アプリケーションから得る収入を100%受け取れるように要求している」と指摘。「App Storeのエコシステムが介在しなければ、Spotifyが今日のような事業に成長することはなかった」と非難している。