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NUARL、最強グレード磁石の独自ドライバ「N6/N10」と新基軸イヤフォン

エム・ティ・アイは、NUARL(ヌアール)ブランドの新基軸製品として、独自開発のダイナミックドライバーを採用したピュアオーディオ向けイヤフォン「NX30A」と「NX310A」の2機種を、5月中旬に発売する。価格は「NX30A」が9,000円、付属品や構成部品を簡略化したライト版の「NX310A」が4,500円。27日に開幕した「春のヘッドフォン祭 2019」の中で発表し、会場では限定数の先行販売も実施する。

左から「NX30A」、「NX310A」

NUARLは、左右分離イヤフォンの「NT01AX」などで知られているが、同製品は「コストと開発期間を圧縮するため協力工場の金型をベースモデルとして利用しているため、似た形の製品が存在してしまっている」という。

「NX30A」

その上で、NUARLの2019年度のテーマを「ユニーク」と設定。「単に独自性を高めるということだけでなく、その価値を守るという2つの意味を持つ」ポリシーに基づき、「他にない価値を創造していく」という。その象徴として、「自らが求める音質を得るため」という独自のドライバー「NUARLドライバー」を開発した。

そのドライバーには「N6」と「N10」の2種類があり、今回発売される「NX30A/NX310A」には「N6」が使われている。

「NX30A」

独自開発の「NUARLドライバー N6」を採用

NUARLドライバー N6

高い磁束密度を誇るネオジム磁石の中でも、最強グレードという高等級磁石を磁気回路に採用。そこに、チタン合金蒸着振動板を組み合わせたユニットとなる。磁気回路は、コストが高くなるが、あえて外磁型を選択。放熱特性に優れ、ネオジム磁石の熱減磁による性能低下を防ぎ、安定した音質を実現したという。口径は6mmとコンパクトだが、40kHzまでのハイレゾ再生に対応し、小口径ならではの応答性に優れたシャープな立ち上がりと、低域から高域までの豊かな音質を両立したという。

搭載しているドライバーは2機種のイヤフォンで同じだが、イヤフォンの筐体素材が異なる。NX30Aの筐胴には、真鍮の中でも金管楽器に使用される配合に近い銅比率の高い「黄銅」を使用。「明るく張りのある音色を実現した」という。

NX310A

NX310Aの筐胴には、軽量なアルミ材を使用。「軽快な音色を実現」したとする。

NX30Aには、米T.B.Iの音響特許技術「HDSS」を採用。筐体に内蔵されたETL音響モジュールの効果により、カナル型イヤフォンにありがちな頭内定位を防ぎ、クリアで立体感のある自然な音の広がりを再現するという。

NX30Aのケーブルには、伝導率に優れた銀メッキ無酸素銅線の捻り対線を採用。

NX310Aには、タッチノイズを抑える複合被覆素材の無酸素銅線を採用している。

入力端子はストレート型の金メッキ3極プラグ。微細な振動による断線を防ぐという。

「NX310A」

プロダクトデザインは、三上嘉啓氏(YOSHIHIRO MIKAMI)が担当。管楽器をモチーフにしたフォルムとマテリアルは、「音の響きを形にしたアイコン的なフォルムを引用し、聴くものの形として再構築。聴覚と視覚の間にある思考を形にした」という。

NX30Aには、ハードタイプのキャリングケースも付属する。

また、これら2製品はNUARL MAGIC EARイヤーピース適合品で、別売のフォームタイプ・イヤーピース「Magic Ear」(NME41)を使用することで、高域の減衰を抑えながら遮音性を高め、より音楽の量感を補えるという。

NX30Aの重量は19g。再生周波数帯域は10Hz~40kHz。インピーダンスは16Ω。音圧感度は95±3dB/1mW。カラーはイエローブラス。

NX310Aの重量は14g。再生周波数帯域は10~40kHz。インピーダンスは16Ω。音圧感度は95±3dB/1mW。カラーはシルバー。

トレードアップサービスも実施

NUARLの有線イヤフォン「NX」(NX110A/NX01A/NX01A2)、および「NE」(NE1000/NE110/NE01)シリーズからのトレードアップサービスも提供。「NX30A」もしくは「NX310A」に有償交換できる。このサービスは、6月下旬からNUARL公式ストアで受付開始予定。

今後の製品開発ロードマップも発表

前述の「N6」ドライバーをモジュール化して、他のモデルにも活用。左右完全分離型のワイヤレスイヤフォン、開発コードネーム「X44」も開発中という。「現行のNT01AXの開発過程で、既製品のドライバーの音質に納得がいかず、ドライバーを別注することになった経験からも、デジタル補正だけでつくる音作りには限界があることを感じ、アナログ音調が可能なN6ドライバーモジュールを開発した」という。

スペックとしては、チップセットにQCC302xシリーズを採用。2019年の第三四半期の発売を目指し、現在開発を進めているという。

もう1つの独自ドライバー「N10」

独自ドライバー「N10」

N10はボイスコイルの外側と内側の両方に、N6同様の高等級ネオジム磁石を配したデュアルマグネット方式の磁気回路を採用したダイナミックドライバー。

内磁型と外磁型、両方の良い点を取り入れ、振幅の大きい10mmドライバーでも安定した性能を提供できるという。振動板の口径は10mmで、N6同様のチタン合金蒸着を施している。なお、この独自構造は国際特許を出願している。

このN10を使ったイヤフォンとして「X09」という有線タイプのピュアオーディオイヤフォンを開発中。筐体には金属素材を使用し、NUARLとしては初のリケーブル対応モデルになるという。発売は2019年の第4四半期を予定。試作機も展示した。

独自ドライバー「N10」を使った有線イヤフォン「X09」の試作機。リケーブル対応となっている

N10を使った完全ワイヤレスイヤフォンも、開発しているという。また、NUARLドライバーについても、今後新たなモデルを開発中という。2019年夏には、アプリの提供なども予定されている。

N6やN10を使った左右分離イヤフォンのロードマップ

NT01シリーズはアーティストとのコラボモデルも積極展開

NT01シリーズでは、OEM提供としてアーティストとのコラボモデルも積極的に展開。今年1月にその第一号となるNT01シリーズのヒルクライム・リミテッドモデルが発売され、来月5月15日にはスーパーノバ、5月29日には「シングライクトーキング・リミテッドモデル」がユニバーサルミュージックより限定発売の予定。

NT01シリーズのヒルクライム・リミテッドモデル
スーパーノバとのコラボも
シングライクトーキング・リミテッドモデル