ニュース

U-NEXT、追加料金不要でオリジナル書籍“読み放題”サービス開始

動画配信サービスのU-NEXTは17日、オリジナル書籍の「読み放題」サービスを開始する。第1弾作品は、町田康、誉田哲也などの書き下ろし小説7作品を、他のプラットフォームに先駆けて独占先行配信する。

U-NEXTは2019年1月、動画配信サービスながら、1つのアプリで電子書籍も楽しめるサービスとしてリニューアル。これを機に、2019年の電子書籍売上は1年間で9.3倍に急増。U-NEXTポイントを有効活用できるジャンルとして、ユーザーに活用されているという。

新サービスは、月額会員であれば追加料金なく「読み放題」で楽しめるオリジナル書籍を提供するというもの。17日より配信する第1弾は、町田康、誉田哲也など有名作家や、文学賞の受賞者、ベテラン、実力派の新人による書き下ろし作品6作のほか、韓国の新鋭作家の邦訳デビュー作の計7作品となる。

U-NEXTは今後、年間約20点のオリジナル書籍を出版する予定で、「ジャンルを問わず、読み出したら止まらないハイクオリティなフィクションとノンフィクションを提供していく」という。

また、これらのオリジナル書籍はU-NEXTで先行配信したのち、1~3カ月を目処にKindleストア、Apple Booksなど他のプラットフォームでも提供。さらに、一部作品は書店での展開も予定。「U-NEXT会員や電子書籍利用者にとどまらず、多くの方に読んでいただける環境作りに努める」という。

町田康「令和の雑駁なマルスの歌」

【作品紹介】 小説を書きあぐねている「私」の住むアパートに、 旧知の男が駆け込んでくる。 会社の同僚の罠にはまり、 許婚の女を奪われ、 職場で無能呼ばわりされる羽目に。 復讐こそ「正義」と言い張る男に、 「私」は?

【著者コメント】 多くの人がそう思っている。 という言葉を聞くと、 どうしてそれがわかるのだろうかと思う。 なぜなら思うことはひとりびとりの内側にあって、 そのすべてが言葉となって外側に出るわけではないのと違う? と思うから。 そんな釈然としない気持ちを小説にしたらこんな風になりました。

藤井清美『#ある朝殺人犯になっていた』

【作品紹介】 ある朝、 目覚めてみると、 自分が女児ひき逃げ犯だという噂がSNS上に広がっていた。 デビューして3年、 売れない漫才師の男は一夜にしてネット民の誹謗中傷の標的となった。 真犯人を追う男の鬼気迫るサスペンス!

【著者コメント】 ネットを通して多くの人と向き合うとき、 そこには敵も味方もいます。 賢者も愚者もいます。 人生で実際に出会う数の何倍もの人々が、 真実と嘘を握りしめて待ち構えています。
だからこそ起きる奇跡の展開を、 見届けて下さい!

誉田哲也「六法全書」

【作品紹介】
警察小説「姫川玲子」シリーズのスピンオフ短編。 五日市署管内で事件が発生し、 警視庁姫川班の5人が特別捜査本部に出張る。 現場の古民家には、 所有者の男の首吊り死体。 さらに台所の床下からは女性の腐乱遺体が。

【著者コメント】
自由に外出もできず、 人と人とが触れ合えなくなった世界で、 私にできることとは何か。
その第一弾として、 姫川玲子シリーズの新作をU-NEXTからお届けすることを決めました。

新津きよみ『家庭恐怖コレクション』第1話「半身半疑」

【作品紹介】
夫には満足していた。 思いやりがあり、 家事もすすんで分担してくれる。 唯一の気がかりは義姉の存在で、 夫は姉に頭が上がらないのだ。 血のつながりは夫婦の絆より強いのか?練達の作家による短編集の第1話。

【著者コメント】
平穏な日常生活を脅かす出来事。 現代の世相を織り込んで、 「楽しく怖がれる」ミステリアスな話を書きました。 物語のどこかに必ず等身大のあなたがいるはずです。

チョン・ミジン『みんな知ってる、 みんな知らない』

【作品紹介】
韓国人女性作家の新星が放つサイコサスペンス中編。 1995年6月、 奇しくも同じ日に起こった“事件”により、 49日間、 一人きりでの軟禁を余儀なくされた9歳の2人の少女の痛ましい過去と、 その20年後を描く。

【著者コメント】
『みんな知ってる、 みんな知らない』が日本で出版されることになり、 とても嬉しいです。
私たちは誰しも、 つらい記憶を抱いて生きています。 二人の少女の物語が、 悲しい記憶から抜け出し、 一歩前へ進めるきっかけになってくれることを願っています。 世界中が苦しみの最中にありますが、 日本の読者のみなさんのご健康と安寧を祈っています。

高野史緒「二つと十億のアラベスク」

【作品紹介】
近未来、 AI技術は高度に発達し、 人々は単純労働から解放されて「創造的な活動」に携わっている。 国立音楽院ピアノ科の浅田唯(17歳)も、 音楽の才能の開花だけに専念できる、 悩みのない日々のはずだったが……。

【著者コメント】
ドビュッシーの「二つのアラベスク」をモチーフにした、 ちょっと感傷的でちょっと百合なAIストーリーです。 お楽しみいただければ幸いです。

柴田哲孝「夢の中の家」

【作品紹介】
男は若い頃からもう何十年も、 ある家の夢にうなされ続けてきた。 舞台は昭和20年代に建てられたであろう、 粗末な木造の一軒家で、 主役は少年の頃の自分。 甦る記憶が男にさらなる悪夢をもたらす、 ホラー短編。

【著者コメント】 夢は深層心理を映し出す鏡だ。 もし何度も同じ夢を見るのなら、 その裏に必ず失われた記憶が潜んでいる。 もしかしたら貴方の過去にも、 失われた記憶が存在するのかもしれない。