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ジャーマン・フィジックス、最新DDD搭載無指向性スピーカー「HRS-130」

タクトシュトックは、ドイツのオーディオメーカー、ジャーマン・フィジックスの取り扱いを7月10日から開始する。第一弾モデルは「HRS-130」で、価格は税別380万円から。

1992年にHolger Mueller(ホルガー・ミューラー)によって設立されたブランド。ホルガー・ミューラー氏は、1964年にアメリカのエンジニア、リンカーン・ウォルシュが開発したウォルシュ・ドライバーを採用し、1本のドライバーで37Hz ~17kHzをカバーして、360度無指向に放射するOhm Acousticsの「Ohm F」スピーカーのスピーカーのファンになるが、同スピーカーは製造やメンテナンスの困難さなどから'84年に製造を停止する。

その後、独創的なユニットを開発していたピーター・ディックス氏がウォルシュ・ドライバーの問題解決に取り組み、その試作機をホルガー・ミューラー氏に見せると、ドライバーの可能性を感じ取ったミューラー氏がデザインライセンスを取得し、共同でDDD(Dicks Dipole Driver)を開発。このユニットを搭載したスピーカーを手掛ける、ジャーマン・フィジックスが誕生した。

DDDユニットの特徴は、単一素材で形成されている事。初代はチタン箔だったが、最新のDDDユニットはカーボンファイバー製となり、再生周波数は190Hzから24kHzをカバー。指で振動板を押しても問題ない強度を獲得している。

初代(左)はチタン箔だったが、最新のDDDユニット(右)はカーボンファイバー製

200Hz付近では、ボイスコイルとドライバーコーンが一体となってピストン動作。200Hz以降では、DDDドライバーのコーン素材が薄く柔軟なため、ボイスコイルが押されるとたわみ、開放端にむかって波を打ち出す“ヴェンディング・ウェーブ”となる。

さらに、約5kHzで定在波が発生。ピストニック・ドライバーのような歪ではなく、周波数特性が拡張。「いわば水に石を落した時にみえる波紋の同心円のようなパターンがコーン表面に形成されます。これらのひとつひとつが個別のサウンドラジエータのように機能する」という。これはモーダル放射と呼ばれている。

DDDユニットはこの3つの放射動作をひとつのユニットで行なえる。また、サウンドは全方位に放出。「ホールのような包み込む音場を作り出す」という。

これに加え、20cmのウーファーをボトムに搭載。ウーファー搭載部はヘルムホルツの共鳴管を利用した密閉型となる。

6畳から30畳まで幅広い部屋に対応。筐体は8角形のスタイルで、キャビネットの強度と設置しやすさを両立したという。リアパネルにあるジャンパーによって、高域レベルを調整可能。

インピーダンスは4Ω。周波数特性は29Hz~24kHz。クロスオーバーは220Hz。外形寸法は325×325×1,160mm(幅×奥行き×高さ)。重量は1本37.4kg。