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ジャーマン・フィジックス、初代の名を冠した最新無指向性スピーカー「Borderland Mk4」

Borderland Mk4

タクトシュトックは、ジャーマン・フィジックスの1号機「Borderland」の名前を冠した最新モデル「Borderland Mk4」を2月25日に発売する。ペアでの価格は仕上げによって異なり、サテン・ベニア仕上げが726万円(税別)、ハイポリッシュ・ブラック/ハイポリッシュ・ホワイトが803万円(同)、ハイポリッシュ・ベニアが880万円(同)。

また、特別仕上げバージョンの「Carbon Mk4」はペア968万円(同)となる。Carbon Mk4の設計はBorderlandと共通だが、キャビネットに航空機産業向けに開発された技術を用いた双方向の樹脂含浸カーボンファイバーによって数層にわたって覆われ、その上に、透明ラッカーを何層にも重ねて塗布している。

特別仕上げバージョンの「Carbon Mk4」

無指向性スピーカー

無指向性で2ウェイ密閉型のフロアスピーカー。上部に360度へ音を広げるDDD(Dicks Dipole Driver)ユニットを搭載。これに12インチのウーファーを組み合わせている。最新のDDDユニットは、0.15mmと非常に薄いカーボンファイバーで作られている。200Hz付近での周波数では、ボイスコイルとドライバーコーンが一体となって往復動作するピストンモーションを行なう。

その際に、DDDドライバーのコーン素材は薄く柔軟なため、ボイスコイルが押されるとたわみ、開放端にむかって波を打ち出す“ヴェンディング・ウェーブ/屈曲波”を発生させる。ピストンからヴェンディング・ウェーブへの移行は数百Hzの範囲で段階的に起こるとのこと。

さらに、約5kHzで定在波が発生。ただし、ピストニック・ドライバーのように歪をおこすのではなく、周波数特性が拡張。「水に石を落した時にみえる波紋の同心円のようなパターンがコーン表面に形成。これらのひとつひとつが個別のサウンドラジエータのように機能する」とのことで、モーダル放射と呼ばれている。

360度へ音を広げるDDDユニット

なお、一般的な6.5インチウーファーと同等の空気を、3g以下の質量しかないDDDユニットで再生可能。これにより、「空気のように速く、かつ一切痛々しさのないナチュラルなサウンドを披露する」とのこと。

このDDDユニットと組み合わせるウーファーにもこだわっており、ベース付近に配置した300mmの密閉ドライバー活用している。

筐体は八角形で、同等の空間容量を持つ一般的なキャビネットよりもパネル面積が小さく、剛性を高くできるという。内部の重要な位置にはブレースを配置し、空間容量を損なう事なく剛性を最大限に高めている。

反共振対策として、Hawaphonと呼ばれる特殊な制振材を各パネルの内側に適用。パネルの共振周波数が低下し、その特殊な内部構造によって振動エネルギーが非常に効果的に熱に変換される。これにより、50dBを超える構造音の広帯域減衰を実現。

さらに、キャビネット内の空気の共鳴を減衰させるため、内側全体を高密度フェルトの厚い層で裏打ちしている。

無指向型のため、シビアな角度調整などが不要で、設置の難易度は高くないという。また、無指向型スピーカーは壁の反射音を利用して、ホールにいるような自然なステレオイメージを作り出すらため、設置する部屋に過度な吸音パネルや吸音材は必要ないとのこと。

全帯域を上方向へ放射し、ディフューザーで拡散する無指向性スピーカーとは異なり、「Borderland Mk4は、音楽再生に重要な帯域である7オクターブを無指向で再生可能。ウーファー部も360度に放射する無指向型。このような真の無指向スピーカーは本当に数が少なく、しかも2ウェイで実現しているスピーカーは他にはない」という。

キャビネットはドイツの熟練した職人による手作り。多くのカラー、サテン/ポリッシュから選択できるため、オーダーから完成までには10週間から仕上げによっては4か月以上かかることもある。

インピーダンスは4Ω、周波数特性は28Hz~24kHz。クロスオーバーは190Hz。能率は86dB(for 1W at 1m)。入力コネクタはWBT nextgenバインディングポスト。外形寸法は404×404×1,229mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は54kg。