ソニー、世界初の「TransferJet」対応LSIを商品化

-カメラとPCなど、対応機を近付けて560Mbps通信


左からCXD3267AGG、CXD3268AGW

11月出荷開始

サンプル価格:各1,500円

 ソニーは、近距離無線伝送技術「TransferJet」(トランスファージェット)規格に対応した世界初のLSI「CXD3267AGG」と「CXD3268AGW」を商品化。11月に出荷を開始し、サンプル価格は各1,500円。

 TransferJetは、無線転送の課題であった“接続設定の複雑さ”や“データ転送の不安定さによる通信速度の低下”などの解決を目的とした技術。対応機器を近接させたり、かざすだけで、最大560Mbpsの高速データ転送が行なえるのが特徴。

 例えばPCに対応クレードルを接続し、その上に対応デジタルカメラを乗せるだけで、カメラの静止画や動画をPCに転送するといった事が可能になる。また、ソニーではCEATEC JAPAN 2009において、店頭のサンプル音楽配信機に対応携帯電話をかざして音楽をダウンロードするといった使い方も提案している。

 開発されたLSIは、ソニーの高速伝送技術をベースに、広帯域無線技術を近距離無線技術として応用。さらに、CMOSプロセスを用いることで、高速通信に必要な無線機能、信号処理機能、およびホストインターフェイスなどを単一パッケージに収めているのが特徴。

 サイズは「CXD3267AGG」(ホストインターフェイス:PCI/Mini PCI Rev2.3)がVFBGA 153ピンで11×11×1mm(縦×横×厚さ)。「CXD3268AGW」(同:SDIO Ver2.0)がWFLGA 99ピンで、8×5.5×0.78mm(同)。

 これにより、わずかな外付け部品を実装するだけで、TransferJetの機能を機器に搭載でき、小型機器への搭載も容易になるという。また、他の無線システムからの影響を低減する対干渉性能も高めている。

 ソニーでは携帯電話、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、PC、HDDレコーダなどの様々な機器への搭載を容易にするために、開発者向けとしてリファレンスキットとソフトウェアディベロップメントキットも用意。さらに、LSIを搭載したモバイル機器向け小型モジュール、ノートPC向けPCI Express Mini Cardモジュール、USB接続用モジュールもラインナップに加えていくという。

 送信周波数は4.48GHz。チップレートは560Mcps。変調方式は直接スペクトラム拡散方式。接続方式は1対1。送信レートの選択機能も用意。誤り訂正符号化器/復号器、LNA、VCO/PLL、LED制御などに使う汎用ポート出力、パワーマネージメント機能なども備えている。


■ TransferJet Consortium

 相互接続仕様の確立や、対応製品・サービスの開発・普及・促進を目指すために設立したコンソーシアム「TransferJet Consortium」は、2008年7月1日に設立。2009年11月30日現在Promoter19社、Adopter22社が参加している。Promoterは以下の通り。

  • ソニー株式会社(TransferJet Consortium事務局代表)
  • キヤノン株式会社
  • カシオ計算機株式会社
  • Eastman Kodak Company
  • 株式会社 日立製作所
  • JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社
  • KDDI株式会社
  • 日本電気株式会社
  • 株式会社ニコン
  • 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
  • オリンパスイメージング株式会社
  • パナソニック株式会社
  • パイオニア株式会社
  • SAMSUNG ELECTRONICS CO., LTD.
  • セイコーエプソン株式会社
  • シャープ株式会社
  • ソフトバンクモバイル株式会社
  • Sony Ericsson Mobile Communications
  • 株式会社 東芝

(2009年 11月 30日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]