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【CES】11.1ch「DTS Headphone:X」に最適なヘッドフォンが今後登場。「Play-Fi」展開拡大も

DTSブース

 「2014 International CES」が米国ラスベガスで1月10日(現地時間)まで開催されている。ヘッドフォン向けサラウンド技術「DTS Headphone:X」と、ワイヤレスオーディオ伝送技術「Play-Fi」を大きくアピールしていたDTSのブースを紹介する。

パナソニックらが“DTS Headphone:Xに最適”なヘッドフォンを発売予定

 「DTS Headphone:X」は、専用にエンコードされた11.1chなどのマルチチャンネルのソースを、普通のステレオヘッドフォンを使ってサラウンド感豊かに再生できるという技術。これまで弊誌でも複数に渡って紹介しているが、今回のCESでは一般の来場者もその機能をブースで気軽に体験できるようになっている。

 Headphone:Xは、ユーザーの聴こえ方に応じて音質を調整できる「パーソナライズ」機能も用意。対応スマートフォンと専用アプリを使って5ステップのテストを行なうと、使う人に最適な形でHeadphone:Xが適用されるようになる。ブースにはヘッドフォンと試聴スペースが設けられ、対応Androidスマートフォンである中国ViVOのハイエンドモデル「Xplay 3S」などを使ってHeadphone:Xを体験できる。

ブース内の様々なコーナーでDTS Headphone:Xを体験できる
巨大なスマホを模した試聴機も
対応スマホのViVO「Xplay 3S」
DTS Headphone:Xアプリでいくつかのテストを経ると、ユーザーの耳に合わせた設定ができる

 なお、Headphone:Xは、「どんなヘッドフォンでもサラウンドを楽しめる」のが特徴だが、新しい取り組みとして、「Headphone:Xに最適なヘッドフォン」の認証も進められている。現在、パナソニック、Skullcandyと、女性専用ヘッドフォンのメーカーであるFRIENDSの計3社がDTSに協力。測定により各ヘッドフォンに最適な形でHeadphone:Xの効果が得られ「映画などの制作者の意図通りの音が聴ける」としている。これらの製品は、ロゴなどでDTS Headphone:X最適化をアピールしていくという。ブース内に、3社の発売前ヘッドフォンが用意され、体験可能となっていた。

Headphone:Xに最適化した、発売前ヘッドフォンも体験可能。写真はパナソニック製
Skullcandy製
FRIENDS製
11.1chスピーカーが置いてあるデモルーム。ただし実際に聴くのはヘッドフォンから

 招待制のデモルームでもHeadphone:Xを体験した。この部屋には実際に11.1chスピーカーが設置されているが、音が聴こえるのは耳元のヘッドフォンというちょっと変わった趣向。周りから鳥の羽ばたきや虫の声などが聴こえてくる。しばらく聴いていると「本当はヘッドフォンではなく周りのスピーカーが鳴っているのでは」と錯覚するほど定位が明確。しかしヘッドフォンを外してしまうとやはり音は聴こえないという、不思議な感覚を味わった。

無線LANでロスレス再生/マルチルーム配信も可能な「Play-Fi」対応スピーカー拡大へ

 DTS Play-Fiは、無線LANを使ってロスレスオーディオを対応オーディオ機器に出力できる技術。スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器から、DTS Play-Fi対応スピーカーやテレビなどに音声出力が行なえる。ロスレス伝送のため音質劣化が起こらないほか、遅延も抑えられるという。iOS/Android/Fire OSアプリを用意するほか、Windows PCや、MacのiTunesからも利用可能。

 現在、Play-Fi認証のスピーカーのODMプログラム(相手先ブランドでの受託製造)も展開。DTSと協力しているODMメーカーは8社(Eastech Electronics、LiteOn Technology、Meiloon Industrial、Solidex Audio、Tymphany、Wistron、Zylux Acousticなど)に拡大。各社がリファレンスデザインを用意しており、スピーカーなどのメーカーは自社で対応製品を開発しなくても、これら8社の中から選んで自社ブランドを冠したPlay-Fi対応スピーカーを製品化/発売可能となっている。スピーカーの他にも、AVアンプやテレビ、ホームシアターシステムなどへの採用も想定している。

 音楽配信サービスのPandraやSpotify、KKBOXなどにも対応し、スマホやパソコンで受信した音楽を対応スピーカーへ配信できる。さらに、マルチルーム配信にも対応。複数の異なるメーカーの対応スピーカーを組み合わせても同時に鳴らせるという。前述したHeadphone:Xとは異なり、チップメーカーの種類を問わず対応可能な点も特徴としている。

ブースには、DTS Play-Fi対応のスピーカーやサウンドバーなどが展示されている

(中林暁)