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富士通、映像を見ながらハンズフリー作業できる業務用HMD

スマホ/クラウド連携。リストバンド型や見守り端末も

 富士通は、工場などの作業支援に利用できる「FUJITSU IoT Solution UBIQUITOUSWARE ヘッドマウントディスプレイ」を5月中旬より企業向けに販売開始する。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は米KOPIN製で、HMD単体ではなく同社のクラウドサービスなどと組み合わせて販売され、価格はオープンプライス。

FUJITSU IoT Solution UBIQUITOUSWARE ヘッドマウントディスプレイ

 「FUJITSU IoT Solution UBIQUITOUSWARE ヘッドマウントディスプレイ」はOSにAndroid 4.4を搭載したウェアラブル端末。片目用の非シースルー型ディスプレイで映像を見ながら、ハンズフリーで作業が行なえる。米KOPINのHMD開発に関するノウハウと、富士通がPCやモバイル端末の開発で培った「ヒューマンセントリック技術」を融合させている。

 HMDと、富士通のAR統合基盤製品「FUJITSU Software Interstage AR Processing Server」などのミドルウェアや、「FUJITSU BusinessApplication AZCLOUD SaaS teraSpection」などの業務支援サービスと組み合わせて利用することで、画像や映像、音声による作業支援が可能。HMDを装着して作業手順や点検項目などの情報をディスプレイで確認しながら両手で作業を行なえ、チェックし忘れや間違いを防ぎ、業務効率を向上できるとしている。ウェアラブルキーボードや音声コマンドで操作でき、作業マニュアルのページめくりや数値の入力、カメラでの撮影なども行なえる。クラウドサービスなどとの連携は、スマートフォンやタブレットを介して行なう。

装着例
付属のキーボード
スマホ/タブレットを介してクラウドサービスと連携

 本体はIPX5/7防水とIP5X防塵、地上1.5mからの耐衝撃に対応。内蔵の照度センサーがディスプレイの輝度を自動調整し、屋内外で高い視認性を確保。内蔵バッテリでの連続使用時間は約4時間で、バッテリ交換もできる。

 ディスプレイ部は可動式で、眼鏡をかけた状態でも装着可能。サイズは0.4型で、仮想画面サイズは15型。解像度は854×480ドット。カメラは有効810万画素。通信機能は無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n、2.4GHz/5GHz)とBluetooth 3.0を搭載。頭部への直接装着のほか、ヘルメットへの装着も可能。CPUはクアッドコアのAPQ8026(1.2GHz)で、メモリはRAM 2GB、ROM 8GB。重量は約315gで、装着部品は約78g、ヘルメット装着クリップは45g。

 作業現場での異常発見時には本体内蔵のカメラとマイクを使って、リアルタイムの映像と音声で正確な現場状況を管理者へ通知可能。現場の映像を見ながら遠隔から熟練者が音声などで作業を支援できる。本体内蔵のカメラで撮影した画像や映像データは、スマホ/タブレットで取得した位置情報や日時情報と組み合わせ、作業記録として管理サーバーへ集約。開発者向けドキュメントやライブラリなどのSDK(Software Development Kit)も用意する。

 同社は、このHMDをはじめとするセンサー搭載デバイスと、センサー活用ミドルウェアなどで構成するIoT(Internet of Things)パッケージを「ユビキタスウェア」として展開。バッジやタグを使った屋内外測位端末や、リストバンド型の「バイタルセンシングバンド」、高齢者向けの「遠隔見守りステーション」、ペットの行動を確認できる「ペット見守りトータルソリューション」などの組み込みデバイスを12月以降に提供予定で、これらの端末を使った実証実験を50件行なうことや、サポート部隊として30名の人員を配置することなどが決まっているという。

 HMDなどのデバイスは、5月14日~15日に東京国際フォーラムで行なわれる「富士通フォーラム2015」に展示される。

バッジやタグを使った屋内外即位端末
「バイタルセンシングバンド」(左)と装着例(右)
ペット見守りトータルソリューション

(中林暁)