ニュース

シャープ、'15年度上期は836億円の赤字。中国液晶不振

国内4Kシェア拡大をアジアにつなげる

 シャープは、2015年度第2四半期決算を発表した。'15年度上期(4-9月)の売上高は1兆2,796億円(前年同期比3.6%減)、営業損益は251億円の損失(前年同期は292億円の黒字)となった。純利益は836億円の赤字。第2四半期(7-9月)のみでは、売上高が前期比7%増の6,613億円、営業利益は同323億円改善し35億円の黒字。純利益は496億円の赤字。

シャープ 高橋興三社長

 コンシューマ エレクトロニクスやディスプレイデバイス、エネルギーソリューションの売上が減少。営業損益の悪化要因は、ディスプレイデバイスの業績悪化で、特に中国スマートフォン市場の不振が響き、「減益要因の殆どを占めている」(高橋興三社長)という。

2015年度上期業績
2015年度第2四半期業績

 上期のコンシューマ エレクトロニクス部門は、液晶テレビやタブレット、空気清浄機の売上が減少。売上高は前年同期比11.9%減の4,355億円。営業損益は19億円のマイナス。前年比172億円の減益となる。通期予想も下方修正し、売上高は800億円減の8,700億円、営業利益60億円減の160億円とする。

コンシューマ エレクトロニクスの実績

 このうちデジタル情報家電は売上高が21%減の1,673億円、営業損益は150億円の赤字。代表的な製品である液晶テレビは、売上高が前年比18.2%減の1,546億円。デジタル情報家電の通期予想も修正し、売上高は300億円減の3,400億円、営業利益も100億円下方修正となる。「4Kテレビのラインナップ拡充などで、高付加価値を進めており、国内では4Kのシェアが大幅に向上した。これを、アジアをはじめとする海外にも広げていく」とした。

デジタル情報家電の実績

 通信は売上高が前年同期比1.6%減の1,176億円、営業利益は46.1%増の105億円。通期予想は、売上高は300億円下方修正の2,100億円となるが、営業利益については、40億円上方修正の150億円を見込む。健康・環境は、売上高が7.5%減の1,505億円、営業利益は67.3%減の25億円。

 不振の要因となった、ディスプレイデバイスは、売上高が前年比15.1%減の3,910億円、営業損失は264億円の赤字。「技術優位性を活かした安定顧客獲得」を目標に掲げるが、通期の業績予想は下方修正。売上高は1,300億円減の8,700億円、営業利益は750億円減で300億円の赤字を見込む。

ディスプレイデバイスの実績

 通期業績予想は26日に発表したとおり、売上高が2兆7,000億円(5月14日発表の予想から3.6%減)、営業利益は100億円の黒字(同87.5%減)。高橋社長は、「第1四半期比では改善したが、期初公表値を下回る数字になった。依然厳しい状況だが、様々な構造改革を重ね、今回の通期公表値の必達に向けて取り組む」と説明した。

中国における液晶不振が下方修正の大きな要因に

 中期経営計画を早くも下回る結果となったが、高橋社長は「下振れは(ディスプレイデバイスの)一点に絞られている。そのディスプレイデバイスも中国市場の一点。すべてがうまくいっていないというわけではない」と説明。「もちろん、その(ディスプレイの下振れ)数字が非常に大きいので楽観視はしていない。中国では高精細のハイエンドが伸びるという予想が完全に外れた」とし、(10月1日にスタートした)カンパニー制による事業責任の明確化や、上位顧客へのリソース集中や、ユーザーサポート強化などに取り組むとした。

(臼田勤哉)