【スマホLIFE】Windows Phone 7.5搭載「IS12T」のAV機能をチェック

十分使えるメディアプレーヤー


IS12T

 海外では発売されていながら日本ではなかなか発売されなかったWindows Phone。ついに日本第1号機となる「IS12T」が8月25日にauから発売された。ソーシャルサービスとの連携を重視した「People Hub」などネットワーク機能が注目を集めているが、そうしたソーシャル機能の陰に隠れつつも、ポータブルメディアプレーヤーおよびPCと連携したコンテンツ管理システムとしても注目すべき端末になっている。

 Windows Phoneでのコンテンツ管理には、無料の専用ソフト「Zune Software」が必要になる。Zuneといえば米国でMicrosoftが発売したポータブルプレーヤーの名称だが、現在まで日本では端末が発売されていない。Xbox 360に「Zune ビデオ」という名称で動画配信サービスこそ提供されたものの、音楽プレーヤーとしてのZuneという名前がWindows Phoneで実現されたという点はなかなか興味深い。

 

IS12T接続時にZune Softwareのダウンロードを促す画面が表示される
 なお、IS12Tの取扱説明書には、「パソコンのデータを取り込む」の項で「Zune PC ソフトウェアが必要」と記載されているものの、どこから入手できるのかという説明はされていない。ソフトは窓の杜の記事からダウンロードが可能だったが、機能の説明以前に入手方法すら説明されていないことはやや気になった。

 

 Zune Softwareは、音楽だけでなく動画や静止画も含めたさまざまなコンテンツをWindows Phoneへ転送できるソフトウェア。「マーケットプレース」からはWindows Phoneのアプリや有料の動画も入手でき、イメージとしてはiPhoneに対するiTunesの役割に近い。対応OSは、Windows XP/Vista/7。

【追記】Zune Softwareの入手先は説明書には記載されていませんが、IS12TとWindowsパソコンをUSBで接続した際に、ダウンロードを促す画面が表示されます。(9月1日)

 インターフェイスは「quickplay」「コレクション」「マーケットプレース」の3カテゴリに分類。「quickplay」にはZune softwareに最近登録されたコンテンツやお気に入りコンテンツの登録、再生履歴などが表示される機能だ。「マーケットプレース」はWindows PhoneのアプリをPCからインストールしたり、有料の動画を購入することが可能なサービス。ただし動画に関しては最近まで上映されていた映画も含めて海外作品が有料配信されているものの、国内の作品は見当たらない。また、音楽に関しては今のところ配信そのものが行なわれていない。動画ラインアップもさほど多いわけではなく、当面はWindows Phoneのコンテンツ管理に使うのがメインの役割になるだろう。

quickplay。お気に入りや履歴を表示するZone Softwareのトップページ音楽や動画などのコンテンツを管理する「コレクション」動画やアプリを入手できる「マーケットプレース」
Windows Phone 7アプリをPCで検索して端末へ転送できるアプリケーションのダウンロード動画コンテンツの購入画面。14日間レンタルで48時間再生がルール

 音楽や動画をIS12Tに転送するには、Zune Softwareの「コレクション」機能を利用する。Zuneでは初期設定でWindows内のコンテンツを収集する設定になっており、マイ ドキュメント内のマイピクチャ、マイミュージックなどに保存されたコンテンツは自動的に取り込まれ、コレクションに表示される。自動収集をしたくない場合や収集対象のフォルダを変更したい場合は設定から変更が可能だ。

端末へのコンテンツ同期設定。自動のほか手動でも設定できるコンテンツ収集フォルダの設定

 IS12Tへファイルを転送するにはUSBでPCと接続。デバイスドライバーの自動インストールが終了すると、Zune softwareの左下にスマートフォンのアイコンが表示される。あとはスマートフォンのアイコンにコンテンツをドラッグ&ドロップするだけで転送が可能だ。音楽は楽曲単位やアルバム単位、アーティスト単位での転送に加え、プレイリストを作成して転送することも可能。画面左下のプレイリストへ登録したい楽曲をドラッグ&ドロップすると、既存のプレイリストへ登録するか、新規に作成するかを選択できる。プレイリストは手動だけでなく、特定の条件を設定して自動で作成も可能だ。

端末を接続すると左下のアイコンがカラーになり、ドラッグ&ドロップで転送できるプレイリストもドラッグ&ドロップで作成や登録が可能自動プレイリストの設定画面
プレイリストファイル

 プレイリストのファイルは「zpl」という独自のファイル形式だが、Windows Media Playerの「wpl」形式のファイルも自動で読み込むほか、iTunesで作成したプレイリストも自動で認識され、IS12Tへ転送できる。楽曲のファイル形式もMP3、WMAに加えてAACにも対応しているため、iTunesで音楽を管理していたユーザーも新たに楽曲管理を行なう必要がないのは嬉しい。


Music+Videosの音楽再生画面

 転送したファイルはIS12Tの「Music+Videos」から再生可能。音楽や動画だけでなく、Zune softwareから転送したアプリもここで確認できる。

 IS12Tでの音楽再生は本体上部のイヤフォンジャックに加えてBluetooth経由でも再生が可能。BluetoothはAVRCP1.3に対応しており、AVRCP1.3対応レシーバーであれば再生中の楽曲名も表示できる。音楽を聴きながら他のアプリを利用することももちろん可能だ。動画の場合は他のアプリを開くと自動的に止まるが、見ていた動画は履歴に「一時停止」と表示され、続きから視聴することができる。


楽曲再生画面。ジャケット画像を取得している場合は画像も表示されるiTunesのプレイリストは名前の最初に表示されるAVRCP1.3対応レシーバー「MW600」で再生すると楽曲名が表示
Windowsにデフォルトで保存されている「野生動物.wmv」を再生

 動画ファイルはMPEG-4 AVC/H.264(mp4/m4v)、MPEG-4 Part2(mp4、m4v)、Windows Media Video(VC-1)に対応。H.264はMain ProfileとBaseline Profile両方に対応しているようで、PSP用に作成した動画とiPhone用に作成した動画が共に再生可能だった。再生能力も高く、約2Mbpsの動画もコマ落ちすることなくスムーズに再生できた。

 FMラジオにも対応しており、「Music+Videos」から聴取が可能。ただし、アンテナはイヤフォンを利用するためにイヤフォンジャックの装着が必要なため、Bluetooth経由では聴取できない。画面もシンプルで周波数のみしか表示されないため、かなり簡易的な機能になっている。


動画を再生中にホーム画面へ戻ると自動で「一時停止」になるFMラジオの再生も可能だがイヤフォンが必要FMラジオの表示は周波数のみとシンプル。局名などは表示されない

 Zune softwareはWindows用のソフトだが、Mac用にも「Windows Phone 7 Connector(for Mac)」がベータ版として提供されている。Zune softwareと機能や操作は異なるが、こちらも動画や音楽の転送が可能で、iTunes形式のプレイリストにも対応している。転送したいファイルにチェックを入れて「Sync」を押すだけの簡単操作で利用できる。

Windows Phone 7 Connector(for Mac)転送したいファイルにチェックを入れて「Sync」をクリックするだけで簡単に転送できる

 説明書に細かな説明がほとんどされていないながらも、IS12Tの音楽や動画再生能力自体は高く、ポータブルメディアプレーヤーとしても十分な実力を備えている。コンテンツ管理もZune Softwareがシンプルで使いやすく、iTunesのプレイリストをそのまま読み込んで利用できるなど利便性が高い。特にWindowsだけでなくMacでも利用できる点は高く評価したい。音楽や動画も楽しめるスマートフォンとしても魅力ある1台だ。

【IS12T】
発売元au
開発元富士通東芝モバイル
コミュニケーションズ
OSWindows Phone 7.5
発売日2011年8月25日

(2011年 8月 30日)

[ Reported by 甲斐祐樹 ]