【特別企画】“リモート録画”でレコーダを積極活用

-DIGA「DIMORA」やソニー「テレビ王国」で録り逃し防止



 最新のBlu-ray Discレコーダでは、長時間録画、DLNA、BD-R/RE高速化、オートチャプタ、ポータブル機器への持ち出し、リンク機能によるテレビからの簡単操作、高画質/高音質化回路など、さまざまなアピールが行なわれている。いずれもVHS時代には考えられなかったような付加機能、進化点といえるが、そんな中で、あまり知られていないが使うと便利な機能として注目したいのが、携帯電話やパソコンを使った「外出先からの録画予約機能」だ。

 例えば電車の中吊りや交通広告では、テレビ番組改編期などに新番組のポスターなどが貼られている。「面白そうだな」と思ったら、その場で携帯電話からすぐに予約できる。また、会社や外出先でも、テレビや新聞、ネットニュースなどでみた番組予告などを忘れないうちに録画予約ができる。ある意味、テレビの楽しさを向上する機能といえる。これから始まるゴールデンウィークでも、旅行などの外出先からも番組予約が可能になるわけで、積極的に活用したい機能だ。

 DVDレコーダでは、東芝が「ネットdeナビ」機能の一部としてVARDIAシリーズ(RDシリーズの時代から)で積極的にアピールしていたが、Blu-rayレコーダでネット録画機能を搭載しているのは、ソニーとパナソニックの2社だ。今回、編集部員が実際に使用しているブルーレイDIGA「DMR-BW830」や、ソニーのBlu-rayレコーダ「BDZ-X90」などを用いて、「リモート録画予約」の使い勝手をまとめた。

 


■ シンプルな使い勝手のパナソニック「DIMORA」(編集部:臼田)

DMR-BW930

 自宅では「DMR-BW830」を利用しているが、その選択時にも録画機能のマルチタスク動作や画質などをとともに重視したのが、ネット経由の録画予約機能。パナソニックがDIGA向けに展開しているネットサービス「DIMORA」が2008年4月から無料で使えるようになったことから、パソコンからのリモート予約を活用したいと考えた。

 「DIMORA」では、パソコンからユーザー登録し、DIGAの機器IDやパスワードを設定するだけで、PCから利用可能となる。携帯電話でもPCサイトでメールアドレスを登録して、任意のURLで認証を行なうだけで、キーワード指定録画や録画番組の状態確認などの機能が利用できる。

 また、詳しくは対応機器リストを参照してほしいが、一部機能制限はあるものの最新の製品だけでなく、2004年発売の「DMR-E500H」などかなり古い機種でも基本機能が利用できる。


DIMORADIMORAでDIGAの機器情報を登録

 最新機種で利用可能な機能は、フリーワード検索による録画予約や、登録キーワードによる番組検索、番組表を利用した録画予約/録画番組の消去と予約一覧の確認/修正、番組の簡易編集など。

 個人的に利用頻度が高いのは、パソコンでのキーワード録画予約と番組消去。前述の通り、ちょっと目に入った新番組や、帰宅前に放送開始してしまうスポーツ番組などを簡単に録画予約できるので、「取り逃し」は大幅に減少する。Webブラウザが使えれば基本的にどこでも使えるため、出張先などでも録画予約ができて助かっている。


フリーワード検索に対応登録キーワードで、番組情報や番組名から絞り込み検索できる録画済み番組

 また、インターネットにつながるパソコンさえあれば、外出先だけでなく、自宅でも同様に利用できる。例えば家族がDIGAで録画番組を見ている時でも、パソコンからDIMORAを使えば、家族の番組視聴の邪魔をせずに、予約登録が行なえる。

 通常、地デジを中心に使っていて、DIGAのリモコンでBSデジタル番組を録画予約する際は、放送波を切替えてから番組表を呼び出し、もしくはその逆(番組表出画→放送波切替)の操作の後、任意の番組を選択する必要がある。だが、番組名などがわかっていればパソコンで検索したほうが早い。個人的にもリモコンのEPG操作は地デジに限定し、BSについては、WOWOWのハイビジョン映画のリストや話題の番組をキーワード検索して予約することが多い。

番組表(4ch)表示。広告スペースがかなり多いのが難点設定変更で最大10chの一覧表示も行なえる設定変更画面
複数のDIGAを登録できるDISC MANAGERではDIGAの遠隔操作や編集も可能
番組表はInternet Explorerのみの対応。FireFoxでは閲覧できない

 不満点としては、すべての機能を利用する場合WebブラウザがInternet Exploerに限定されること。FirefoxやSafariといったブラウザでも、たいていの機能は利用できるのだが、番組表を呼び出すことができない。Macユーザーは実質パソコンからのEPG予約はできないこととなる。

 普段は主にFirefoxを利用しているので、わざわざブラウザをIEに変えるよりキーワード検索したほうが早いため、ほとんど番組表を使うことはない。基本は地デジ番組表のリモコン操作で、補完的な役割としてDIMORAも考えればこれでもいいのだが、外出先から録画予約の確認/修正を行なうときにはIEを利用しなければいけないので面倒だ。また、番組表のデザインもGUIに古臭さを感じてしまう。対応ブラウザの拡張や、リニューアルによる使い勝手の向上に期待したい。

 もう一点重宝しているのが「録画済番組の削除」機能。リモコンで一番組づつ消すと、その都度消去の待ち時間が発生するためイライラするが、DIMORAでBW830を操作する場合、番組録画時(DRモード)でもパソコンで選択しながら順次消していくことができる(AVC録画時、再生時は不可)。リモコンで複数選択して一括消去も可能だが、消去の選択肢が多いということは歓迎したい。

 また、録画済み番組のリストの部分をコピーして、Excelにペーストするなどで、録画した番組を管理することもできる。ブラウザやExcelのバージョンによってうまくコピーできないこともあるが、Windows Vista/IE7でExcel 2007では問題なくコピーが行なえた。

予約設定の変更は番組表からしか行なえないので、積極活用する場合はInternet Explorerでの利用必須予約確認画面も番組表から呼び出す番組削除機能が便利

 パソコンだけでなく、携帯電話でもキーワードを利用した番組検索/録画予約や番組消去が可能。機能としてもシンプルで検索キーワードに対して、絞り込み表示された番組を選ぶだけで録画予約が行なえる。

 また、対応携帯電話では「G-GUIDEモバイル」からの番組表を利用したリモート録画予約が可能。au端末ではau oneテレビを利用したリモート録画予約が行なえる。これらも同様にDIGAの機器IDやパスワードを登録する必要がある。

携帯電話版のDIMORAキーワード検索も可能録画番組の消去にも対応する

 


■ ソニーも「テレビ王国」で簡単にできる予約録画設定(編集部:山崎)

BDZ-X90

 ソニーのレコーダでも、DVDレコーダ「スゴ録」時代から遠隔録画予約には対応している。だが、携帯電話のみ対応で、具体的にはNTTドコモの「Gガイド番組表リモコン」、auの「au one テレビ」、ソフトバンクの「Gガイドモバイル」といったアプリを用いて行なう必要があった。

 思い立ったらすぐに予約ができる携帯も便利だが、小さな画面では一覧性が低かったり、携帯用アプリが使えないiPhoneなどのスマートフォン系では使用できないなどの制約もある。「PCはバリバリ活用しているが、携帯電話の機能には疎い……」なんてユーザーも少なくないだろう。


Gガイド.テレビ王国

 そんな中、PC用にもEPGサービスを提供しているSo-netの「Gガイド.テレビ王国」が、ソニーのレコーダ向けに、3月からPCからのリモート録画予約機能を追加した。他社のレコーダと同様に、ユーザー登録を行なうだけで、無料で利用できるのが嬉しいポイントだ。

 対応機種はBDレコーダ最新モデルからBDZ-A950/A750/A70、BDZ-L55/70/L95、BDZ-T50/T55/T70/T75/T90、BDZ-V7/V9、BDZ-X100/X90/X95。さらに、DVDレコーダ「スゴ録」の「RDZ-D700/D77A/D800/D87/D900A/D97A」と、2006年モデルも含めて豊富に対応している。

 遠隔録画には複雑な設定が必要というイメージがあるが、実際にやってみると非常に簡単だ。まず、「Gガイド.テレビ王国」にユーザー登録を行ない、自分のIDで様々な設定が登録できるようにする。ブラウザで番組表ページにアクセスすると「設定」タブがあり、その中の「リモート予約」にアクセス。「HDDレコーダ用パスワードを発行する」ボタンを押すと、自宅にある機器(レコーダ)登録用のパスワードが発行される。

 次に、家のレコーダを起動。対応機種であればメニュー内に「リモート予約機器登録」画面があるため、そこから先ほどのパスワードを入力すると、テレビ王国のユーザーIDと、自宅レコーダが紐付けされるという仕組みだ。

レコーダ向けの登録番号が発行されるレコーダ(BDZ-X90)のリモート録画予約設定画面発行された登録番号を入力しているところ

 登録作業はこれだけで、非常に簡単。しかし、当然ながら自宅のレコーダがインターネットに接続されている必要がある。また外出先から機器登録は行なえないので、旅行などに出かける前に、レコーダの機器登録だけは済ませておくようにしよう。

 登録が完了すると、番組表の各番組欄に「HDDレコーダー」という青いアイコンが追加される。これをクリックすれば、リモート予約実行の画面にジャンプするという仕組みだ。予約画面で変更できるのは録画モードのみで、毎週録画などを指定することはできない。連続ドラマの毎週予約などは自宅にいる時にじっくり行ない、急に録画したい番組はリモートでというのが基本的な使い方になるだろう。

登録が完了した画面EPG画面に「HDDレコーダー」アイコンが現れるアイコンを押して予約録画をしている画面。録画モードが選べる

 また、条件に合った番組をリストアップする「おまかせ! 番組サーチ」機能も活用できる。映画やアニメなどのジャンルや、キーワード、時間帯、再放送を対象とするか否かなど、細かな条件が設定し、EPGを検索。その結果から予約を行なうという機能だ。なお、PC用デジタルチューナのiEPG予約のように、好みに合う番組を自動録画する機能は備えていないので、検索結果を見ながら1番組ずつ「HDDレコーダー」ボタンを押していくことになる。

 自宅レコーダの状態をチェックできるのも大きな特徴。「リモート予約」タブを押すと、自宅レコーダの録画予約が一覧表示される。そこから予約キャンセルや録画モードの変更が可能。さらに、「録画タイトルリスト」を選ぶと、HDDに録画されたコンテンツも一覧表示され、録画タイトルを削除することができる。

おまかせ! 番組サーチをした画面自宅レコーダ内の録画予約リストを表示したところ。キャンセルや録画モード変更が可能だ録画済コンテンツの削除もPCから行なえる

 欲を言えばHDDの残量も表示して欲しいところだが、そういった機能は用意されていない。しかし、緊急のリモート予約を行なう際、「そういえばHDDが一杯だったな」という場合に、遠隔操作で不必要な番組を削除し、確実な予約録画ができるのは頼もしい機能と言えるだろう。

 なお、携帯アプリが利用できないiPhone 3Gでも使用してみたが、PCと同様の感覚で予約録画や確認が行なえる。EPG画面はiPhone 3Gの画面にとっては大きいが、表示の拡大/縮小が指先で感覚的に行なえるため、目的の番組に比較的容易にたどり着けた。いつでもどこでも予約ができるという意味では、スマートフォンユーザーこそ活用したいサービスと言えそうだ。

iPhone 3Gでテレビ王国にアクセスしたところ録画予約のチェックがiPhone 3Gから行なえるEPG表示も快適に行なえた

 


■ 既存製品でも多数がリモート録画予約に対応。デジタルレコーダならではの魅力

 ワンセグ録画やポータブル機器用の「おでかけ録画」など、外出先でのテレビ視聴の提案も積極化しつつあるが、リモート録画予約は、録画予約行為を“テレビの前”から解放するような試みといえる。

 実際にリモート録画予約を使ってみると、便利な機能と感じるはずだ。録り逃しを極力抑え、新しい番組との出会いを増やすという点で、テレビを楽しくする機能ともいえる。メーカーからもそれほどアピールされている感はないが、レコーダ選びの際の着目点として覚えておきたい。

 また、パナソニックもソニー、東芝など、実はかなりかなり昔からリモート録画に取り組んでいる。そのため対応機器は多いので、対象機器のユーザーだが「使っていない」という人も多いだろう。メーカーの担当者などに聞いても、「あまり使われていない」という回答が多く、利便性の前に“知らない”という人が多いようだ。一方ですでに使いこなしている人にとっては“当たり前”の機能でもあるのだが、こうしたデジタルレコーダならでは、の良さが浸透するとテレビやレコーダの活用の幅も広がっていくだろう。

 設定もパソコンを普段から使っている人にとってはそれほど難しいわけではなく、機能的もシンプルなので、魅力さえ伝われば使う人も増えるはず。デメリットとしては、待機時の消費電力が若干増えるという点。特に比較的古い製品では注意が必要だ。これからのゴールデンウィークでも使える、レコーダの活用方法として、ぜひ注目してほしいポイントだ。


(2009年 4月 24日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉/山崎健太郎]