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未来のイヤフォン「IQbuds2 MAX」で“在宅ワークの最強音環境”を作る

IQbuds2 MAX

「喫茶店で離れた席に座っている人の声だけ聞く」みたいな「攻殻機動隊」チックな未来体験ができる完全ワイヤレスイヤフォンが、NUHEARAの「IQbuds2 MAX」だ。もちろん“未来体験ができるのが楽しい”だけでなく、音楽も高音質で楽しめるし、喫茶店で仕事をする時の集中力UPや、通勤電車の騒音軽減にも貢献してくれる。ただ、最近は外出しにくい状況になっている。では、「IQbuds2 MAXの出番が少ないか?」というと、実はそうではない。

強力かつインテリジェントなノイズキャンセル能力は、リモートワーク中にもかなり“使える”。家の中で聞こえるノイズをコントロールしつつ、聞きたい音は逃さないようにしたり、コンビニへの買い出しなど、ニューノーマルな日常でもかなり活躍してくれている。そんな実例を交えつつ、“IQbuds2 MAXのある1日”をレポートしたい。

IQbuds2 MAXってなんだっけ?

IQbuds2 MAX

まず、IQbuds2 MAXについて簡単にご紹介しよう。価格はオープンプライスで、実売約53,900円と完全ワイヤレスイヤフォンとして見ると高価な製品だが、ぶっちゃけ“音楽を楽しむイヤフォン”の枠にまったく収まらない製品なので“音楽も楽しめる快適な音空間を作り出す新しい何か”と考えたほうがしっくりくる。

手掛けるNUHEARA(ニューヒアラ)は、ヒアラブル製品を手掛ける企業で、オーディオ機器として良い音を追求するのはもちろんだが、それだけでなく、科学や医学的視点からも“聞く”にフォーカスした製品を生み出している。技術力には定評があり、CES 2020においてはアワードを3つも受賞。オーディオファン以外からも注目を集める企業でもある。

理想的なリモートワークの“音環境”を構築する

まずは自室のパソコンの前に座り、リモートワーク開始。無音よりも、少し音楽や人の声がしていたほうが集中力が高まるので、ペアリングしているスマホのradikoアプリからFMラジオのJ-WAVEをうすーく流す。ボリュームを大きくし過ぎると音楽やトークに意識が奪われて集中できないため、「かすかに聞こえている」くらいの音量が良い。

IQbuds2 MAXの機能は、専用アプリを使って細かく設定できるが、普段遣いにはプリセットが便利。プリセットから何を選ぶか? 使い始めの頃は「家にいるからHOMEモードにしようかな」と思っていたが、HOMEモードは「最愛の人と一緒に過ごす時に、話声がすべて明瞭に聞こえます」と説明されているように、人の声を強調するように取り込むモード。

試しに選んでみると、家族の話す声や、隣の部屋のテレビから流れるレポーターの声などがクリアで聞き取りやすくなってしまう。“音楽をイヤフォンで聴きながらも、家族が話しかけてきた時に応えられる”という使い方にはベストだが、リモートワークにはマッチしない。

ベストなのは「office」だ。これを選ぶとノイズキャンセルが一気に強力になり、机の横に置いてあるデスクトップPCの「ゴー」というファンノイズがキレイに消え、エアコンの「フォオオ」という音も無くなり、ほぼ無音の空間に、うすーくラジオの音が聞こえているという状況が作れる。

「別に、俺の家は静かだからノイキャンなんていらないよ」と思う人もいると思うが、実際に体験してみると「うおっ!!」と驚く。というのも、パソコンやエアコンなどの騒音は、日常的に聴き慣れているので、それが“うるさい”事を忘れてしまっているのだ。それゆえ、「office」モードでノイキャンを強めに効かせると「マジ、こんなに静かになるの!?」と驚き、イヤフォンを耳から外して「ていうか、今まで静かだと思ってた部屋ってこんなうるさかったの!?」と二度驚くわけだ。

もう1つ「HOME」と「office」で大きく違うのは、自分がキーボードを叩くカチャカチャ音。個人的にメカニカルな「カチャカチャ」した音のキーボードが好きで使っているのだが、「HOME」ではその高音が強調されて耳に取り込まれるのでカチャカチャさがさらに際立って少しうるさい。逆に「office」を選ぶと、高域が抑えられ、「ココココ」みたいな刺激の無い音になり、キーボードの音自体の存在感が薄くなる。

IQbuds2 MAXがスゴイのは、この「office」モードで仕事をしている時に、チャイムが鳴って宅急便が届いたり、誰かに話しかけられても、その音がしっかりと耳に入る事だ。というのも、officeモード時はノイキャンで騒音を抑えながらも、デフォルトで外音取り込みが50%ほど、そして外の音の中から、人の声にフォーカスして取り込む「SINC」(Speech in Noise Control)機能が20%ほど適用されているためだ。つまり“なんでもかんでも音を消してしまう”のではなく、“聞こえないと困る音は聞こえる”。これがIQbuds2 MAXのスゴイところだ。

もっとスゴイのが、この「外音取り込み50%」や「SINC 20%」を、アプリから自分で自由に増減できる事。例えば、デフォルトの値にした状態で、YouTubeで人が喋っている動画を再生する。「外音取り込み50%」を「0%」に近づけていくと、YouTubeの音がどんどん小さくなり、「100%」に移動させると、まるでイヤフォンをつけていないかのようにYouTubeの声が明瞭に耳に入ってくる。

面白いのはここからだ。「外音取り込み50%」「SINC 20%」状態に戻した上で、今度はSINCを100%に近づけていくと、YouTubeの動画の中の“声”だけが超明瞭に耳に入ってくる。動画は外を歩いているもので、道路の音などもスピーカーから再生されているはずだが、SINCを増やしていくと“声の帯域だけ”をパススルーしたかのように、耳に届き、「ゴー」という騒音はシャットアウトするのだ。

「スゴイけど、何に使うの?」という気もするが、アイデア次第で活用できる。例えば「今日は○○に来ています」と、旅の様子を伝えるVlog的なYouTube番組を流しながら仕事をしていると、動画から風の音や道路の音が聞こえると「うるさいな」と感じてしまう。しかし、SINCを活用して声の帯域だけを残して、他のノイズを抑えると、まるでラジオのトーク番組を聴いているような感覚で、声だけ意識に入るようになり、「静かな部屋で話を聞いている」ような感じになる。

もっと面白いのがテレビ番組だ。芸人がいっぱい登場して、それぞれが面白い体験談を披露し、周囲が爆笑するタイプの番組。普段は「騒がしいなぁ」と思ってあまり見ないのだが、先程の外音取り込み & SINC設定にしたIQbuds2 MAXを耳栓代わりに、装着したままでテレビスピーカーの音を聞いてみると、芸人のトークの声だけが耳に入り、そのあとの女性の笑い声や拍手の「ワーッ!!」というSEが消え、まったく“うるさく”感じなくなる。「なるほど、トークがうるさいのではなく、SEがうるさかったのか」と目からウロコの体験だ。

会議で使う

リモートワークに付随して、Web会議の機会が激増したという人も多いだろう。そんな時にも、IQbuds2 MAXのようなイヤフォンが活躍する。音を聴くだけでなく、マイクも搭載しているので、自分の声を相手にクリアに届けるツールとして活躍するわけだ。

実際に使ってみると、IQbuds2 MAXはマイクの性能も高い。自分の声を自分で聞いていないので、なかなか気が付きにくいのだが、実際に編集部でWeb会議をしながらIQbuds2 MAXと、市場で人気のある某イヤフォンを交換しながら喋ってみると、「IQbuds2 MAXの方が声がクリア」「IQbuds2 MAXの方が聞き取りやすい」という評価だった。また、会議の声も、イヤフォンなのに開放感があるIQbuds2 MAXで聞くと閉塞感が無く、長時間の会議でも疲れにくいかもしれない。

Web会議でも使ってみた

IQbuds2 MAXを使って相手の声がしっかり聴き取れ、自分の声もクリアに相手に届くというのは、当たり前といえば当たり前だが、ストレスが少ない。経験した事がある人も多いと思うが、自分の言葉が相手にうまく届かずに聞き直されたり、相手の声が不明瞭で何がなんだかわからないWeb会議というのは、かなり苦痛なもの。そういう意味では、マイクの性能の良いイヤフォンというのは、今後のニューノーマルな生活では必需品と言ってもいいかもしれない。

コンビニに出かける時も活躍する

仕事が一段落して、近所のコンビニやスーパーに食べ物を調達しに行く時もIQbuds2 MAXは便利だ。音楽を流しながら、普通のイヤフォンとして使えるのだが、プリセットから「ストリート」を選択すると、音楽をしっかり楽しみつつ、道路を走る車の「ゴーッ」という音や、後ろから追い抜いてくる人の靴音など、鋭い高音が取り込まれるので、周囲の状況がわかりやすい。

例えば「office」モードのように、外音をあまり取り込まず、ノイズキャンセルを強力に効かせると、外のノイズが耳に入らず、音楽だけに没入できるが、後ろから来た車に気が付かずにギョッとするようなシーンもあるので、安全性を高めるのに便利な機能だ。

編集部に出社する必要がある時は電車で行くのだが、その時は「ドライビング」や「プレーン」のプリセットが便利。特に走行音がうるさい地下鉄でも、「グォオオオ」というトンネル内の反響音を大幅に低減して、快適に音楽が楽しめる。それでいて「ドライビング」モードは人の声も聞き取りやすいので、車掌さんのアナウンスにも気づきやすい。「音楽に没頭しすぎて乗り過ごした」なんて事を防げるわけだ。

音楽も高音質、Netflixで映画を見る時にもイイ

仕事も食事も終わり、夜は趣味を楽しむ時間。最近Netflixで、オリジナルドラマの「ルパン」を楽しんでいるのだが、その視聴にもIQbuds2 MAXが使える。スマホやタブレットとIQbuds2 MAXをペアリングさせ、イヤフォンでドラマの音を楽しむのだ。

普通のイヤフォンを使っても良いのだが、IQbuds2 MAXのプリセットから「HOME」を選ぶと、前述の通り、部屋の中の音もある程度取り込んでくれるので、まるで開放型ヘッドフォンで再生しているようなスカッとした聴こえ方になる。

海外ドラマは、ついつい再生時間が長くなりがちなので、密閉型のヘッドフォンやイヤフォンでは息苦しくなったりする。しかし、閉塞感の無いIQbuds2 MAXではそれがまったくない。

逆に、「部屋のノイズは無くして、作品世界にのめり込みたい」となったら「office」モードを選ぶと、密閉型イヤフォンでNCを効かせた感じの聴こえ方になり、ググッと作品への没入度が高まる。このへんは気分に併せて使い分けている。

IQstream TV

テレビ視聴でもっと活用したいという場合は、周辺機器として販売されているIQstream TVというトランスミッターが便利。手のひらサイズの製品で、背面にUSBや光デジタル音声入力、アナログ音声入力・出力を備えており、テレビの光デジタル出力やイヤフォン出力と接続。その音をBluetoothで送信し、IQbuds2 MAXで聴けるというツールだ。

セットアップも簡単。IQstream TVにUSB給電して電源が入ると、スマホのIQbudsアプリに自動的に「IQstream TVが見つかった」というメッセージが出る。そうしたら、アプリの指示に従って、スマホをIQstream TVに近づけるだけで、IQstream TVのサウンドが、IQbuds2 MAXから聴けるようになる。

aptX LLで伝送しているので、遅延もあまり無く、映画などを観ていてリップシンクのズレが気になるということもない。IQbuds2 MAXでテレビの音が聴けるので、もちろんテレビのスピーカーは無音でOK。家族がもう寝ているとか、隣の家から苦情が来るのであまりテレビのボリュームを上げられないといった時に便利。最近テレビの音が聴き取り辛くなってきたというお年寄りも、便利に使えるかもしれない。

1つ残念なのは、IQstream TVとIQbuds2 MAXを連携させている時は、ノイキャンやSINC機能の設定が変えられない事。IQbuds2 MAXは頻繁にアップデートされているので、今後のファームアップで機能追加に期待したいところだ。

アプリから、テレビの音量調整も可能
IQstream TVの付属品。光デジタル音声ケーブル、アナログ音声ケーブルなどを同梱している

音もニュートラルかつ満足度が高い

イヤフォンのレビュー記事なのに音質の話が最後になってしまったが、このIQbuds2 MAX、高機能だけでなく、音もかなり良い。

音の傾向としては、色付けが少ないモニターライク。かといって“素っ気ない音”ではなく、やや低域がパワフル寄りで、映画やアニメのアクションシーンも迫力がある。おそらく誰が聴いても、「素直な良い音」と感じるだろう。

ドライバーは9.2mm径ダイナミック型。コーデックはSBC、aptX、aptX LLに対応している。肉厚かつパワフルな低域は、ダイナミック型ならではのものだ。

スマホのアプリで「Amazon Music HD」を使い、Official髭男dismの新曲「Universe」を聴いてみたが、髭男らしい、押し出しの強い、ギュッとエネルギーが凝縮されたような低域を、IQbuds2 MAXはパワフルに再生してくれ、聴いていて気持ちが良い。

それでいて、低音が充満したボワボワした音にはならず、中高域はクリア。藤原聡氏の伸びやかな歌声が、付帯音もなく、シャープに描写される。基本的な再生能力の高さが実感できるイヤフォンだ。

もう1つスゴイのは、こうした“ニュートラルな再生音”が、アプリからプリセットを変えていっても、ほとんど変化しない事だ。例えば「officeモードにしたらノイズキャンセルが強くなったけど、音楽もこもっちゃったよね」とか「ストリートモードを選んだら、音楽までキンキンと高域寄りになっちゃった」みたいなことがまったくない。

そのため、プリセットを上から連打して切り換えていくと、中央で歌うミュージシャン達はそのままに、背景だけが地下スタジオになったり、開放的な屋外ステージになったような不思議な感覚に陥る。おそらく、ノイズ低減や外音取り込みを超高精度に処理する事で、この“音楽とノイキャンの完全な融合感”が生まれるのだろう。魔法のようなイヤフォンだ。

“快適な椅子”と同じように「快適な音の空間」を

つい最近まで、イヤフォンは「移動中に音楽を楽しむためのもの」だった。しかし、コロナ禍により、その活躍シーンは大きく変わりつつある。

社内だけでなく、自分の家で、シェアオフィスで、働く場所は多様になり、実際に顔を突き合わせる代わりに、Web会議で意見を交わす。時間や場所にとらわれずに仕事をするスタイルが、今後はさらに増えるだろう。

一方で、リモートワークの影響で自宅にオフィスのような“座りやすい椅子”を導入する人が激増したように、今後は“仕事に集中できる環境を自分で用意する事”が求められる時代が来る。IQbuds2 MAXを使っていると、“快適な椅子”と同じように、「快適な音の空間というのは自分で作り上げる事ができ、それがストレスフリーにつながるんだな」というのが実感できる。新たな“気づき”をもたらしてくれるイヤフォンだ。