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ファンレスPCで“オーディオ沼”へ! マウスコンピューターの14型ノートをAVで使い倒す

マウスコンピューターの「mouse B4-IU01PG-B」をメインに、PCでオーディオ、ビジュアルを楽しんでみよう

“デスクトップで楽しむオーディオ”もずいぶんと環境が整ってきた。ポータブルオーディオ機器は、コンパクトで高音質な製品が増えてきたし、アクティブスピーカー実力派モデルが登場している。これらから気に入ったモデルを選べば、デスクトップのスペースで本格的な音楽や映画鑑賞ができるはずだ。

その時に、メインとなる表示・再生デバイスは何がいいだろう。携帯音楽プレーヤーも悪くはないが、音楽から動画配信サービスまで幅広く楽しむならば、ノートPCを使うのがやはり便利だ。携帯機やタブレットよりもディスプレイが大きいし、様々なアプリも追加できる。趣味だけでなく、仕事でも使いやすいはずだ。

そんな“音楽再生や映画鑑賞を手軽に楽しめるノートPC”でオススメなのが、マウスコンピューターのファンレスモデル「mouse B4-IU01PG-B」だ。これを核にして、音楽や映画を楽しむシステムを構築してみたのが今回のテーマだ。

14型ディスプレイでファンレス仕様。静かで音楽や映画鑑賞にもぴったり

mouse B4-IU01PG-B

まずはmouse B4-IU01PG-Bの概要から価格は標準仕様で6万9,800円~、Microsoft Office搭載の標準仕様でも9万1,800円~と、かなり手頃な価格なのが嬉しい。OSはWindows 11 Home 64bit(カスタマイズ可能)。CPUはインテルプロセッサーN100(4コア/4スレッド/0.80GHz/TB時最大3.40GHz/6MBスマートキャッシュ)。メモリは16GBで、ストレージ(カスタマイズ可能)はM.2 SSDが256GB(NVMe)だ。

ディスプレイは14型液晶でノングレア仕様

ディスプレイは14型液晶でノングレア仕様。ノングレア仕様は好みも分かれるが、外光の映り込みによる影響が少ないので使いやすい。性能的にも価格を考えれば十分。なお、16GBのメモリーはグラフィックス用メモリーと共有で、最大8GBまでVRAMが使用するが、大量のアプリを立ち上げるなどヘビーな使い方をしなければ問題ないだろう。

14型ディスプレイ(1,920×1,080ドット)を備えるのでA4ファイルくらいのサイズ感だが、約1.33kgと軽量で、最厚部で19.4mmと薄いのが特徴。折り畳んでしまえば簡単に片付けてしまえるし、かばんに入れて持ち歩くことも気軽にできる。

シンプルですっきりとしたフォルムだ。マウスコンピューターのロゴが可愛らしい
約1.33kgと軽量で気軽に持ち運べる
右側面。極薄のボディだが、USB-C端子(1つは電源用)×2、HDMI出力、USB-A端子と拡張性に優れる
左側面。こちらにはUSB A端子、microSDカードリーダー、電源ボタン、ヘッドフォン出力がある

ちょっと意外だったのが、薄くてもヘッドフォン端子(ステレオミニ)も備えること。ステレオスピーカーも内蔵しているので、ノートPCで単体でも音楽・動画は楽しめる。

左右の側面にUSB-A端子とUSB-C端子を備えるなど、拡張性も十分だ。キーボードは88キーの日本語キーボードで、キーピッチも標準的な大きさでいわゆる普通のサイズのキーボードを使い慣れている人でも違和感なく使える。キーストロークは約1.2mmあり、きちんと押し下げている感触がある。キーボードで文字を打ってみても、打鍵の時にキーボード部がしなってしまうようなひ弱さもないく、剛性は思ったよりしっかりとしている。このあたりはマウスコンピューターの経験とこだわりがしっかり現れている部分だと思う。

タッチパッドも面積が広く、タイピングをしながらのマウスカーソルの移動なども快適に行なえた。パームレスト部分の剛性も十分

実際に使ってみて感心したのはファンレス仕様の静かさ。

取材では試聴室にデスクトップ環境をイメージしたテーブルを置いていろいろと試しているが、防音された静かな環境では気になりやすいファンノイズが無いのはうれしい。

ストレージもHDDではなくM.2 SSDなので、こちらも動作音がない。アプリケーションのインストール時など、一見すると画面が止まっているような状態だと、本当に動いているのか心配になるほど静かだ。SSDはスピードの速さに注目が集まりがちだが、HDDのようにカリカリ、ウィーンと動作する音が無いのが、AV的な視点で見ると大きな魅力だ。

ノイズ源となるのはタイピングするときの音や自分自身の動きにともなう音だけで、あまりの静かさで逆に落ち着かないくらいだ。もちろん、音楽鑑賞をするにはベストなデバイスだ。

まずは試しに内蔵スピーカーとヘッドフォン出力を試してみた。内蔵スピーカーは一見しただけではどこにあるかわからないインビジブルタイプで、どうやら裏面のパームレスト部分の下あたりにあるようだ。メディアプレーヤーで音源を再生してみたが、くっきりとした音で、画面から音が出ているような感じにはなる。ボーカルはクリアで聴きやすい音で、あきらかに不満を感じるような音ではない。

PC自体のファンノイズなどがないので、小さな音もきちんと聞こえるし、ノートPCの内蔵スピーカーとしては十分なクオリティだ。ヘッドフォン出力もノイズを感じるような事もなく、鳴らしにくいハイインピーダンスのイヤフォンなどを使わなければ十分な音量が得られる。「薄型PCなのでスピーカーやイヤフォンは今ひとつなのでは?」と心配していたが、杞憂だった。もしかしたらファンレス仕様のおかげで筐体の不要な振動(鳴きや音の濁り)がないため、音への悪影響も少ないのかもしれない。

裏面にはスピーカーの開口部と思しき穴が空いている。おそらくはここにスピーカーが内蔵されていると思われる

まずはAstell&Kern「AK HC4」×ヘッドフォンでの音楽鑑賞

内蔵スピーカーもヘッドフォン出力も決して悪くはないが、あくまでもノートPCに内蔵されるものとしての話。より本格的なオーディオ鑑賞を楽しむならば、やはりUSB DACを使いたい。ここで選んだのはAstell&Kernの「AK HC4」(実売3万9,800円前後)。スティック型とかドングル型と呼ばれるコンパクトなUSB DACだ。

Astell&Kern「AK HC4」。スティック型のコンパクトな本体だが、Astell&Kernのモデルに共通する多面体デザインが施される。見た目以上に立体的な形状になっていて持ちやすさにも配慮されている

電源はノートPCから給電するのでバッテリーは搭載しておらず、コンパクトで軽量。しかし、内部にはAKM製の32bit DAC「AK4493S」を搭載しており、超低歪みのサウンドに加えて低消費電力を実現。ノートPCのほか、スマホなどと組み合わせて使うのにも適している。これならば、外出時のノートPCと一緒に持ち歩いて、職場やカフェなどで使うのも苦にならないだろう。

Astell&KernのAK HC4。シルバーのカラーはノートPCともよく似合う。接続用ケーブルはUSB C端子とLighining端子が用意されていて、Windows機だけでなく、iPhoneなどとも組み合わせて使える

組み合わせたイヤフォンは、qdcの「SUPERIOR」(14,300円)。カスタムIEMブランドの超優秀なエントリーイヤフォンで、ノートPCなどで始める本格的なオーディオの入門機としてはぴったり。

これらの組み合わせで聴いてみると、格段に音が良くなってびっくりする。ドライバーなどのインストールも不要で、mouse B4-IU01PG-BとAK HC4と繋ぎ、OS上でAK HC4を選択するだけでいい音が出る。

AK HC4には、ヘッドフォン出力が3.5mmステレオミニと4.4mmのバランス出力の2系統がある。3.5mm端子での接続でもパワフルで力強い音が出て、ニュアンスの豊かなボーカルも聴き応えがあり、ベースやドラムなどの低音もローエンド付近までしっかりと出てキレ味の良い音が楽しめる。

そして、qdcのSUPERIORは別売(5,500円)で交換用の4.4mmバランスケーブルも用意されているので、こちらに交換して聴くとさらに音の力強さが増し、チャンネルセパレーションも向上。音場も一回り広くなるようなスケールの大きいサウンドが楽しめる。

AK HC4のヘッドフォン端子部分。3.5mmステレオミニ端子と4.4mmバランス端子が用意されていて、リケーブルなどによるグレードアップも楽しめる

少々お金はかかるが、ノートPC単体→USB DAC追加→イヤフォンのバランス出力(リケーブル)と、ここ最近のヘッドフォンの音質向上の流れをそのまま体験できる。“オーディオ沼への招待状”のようなシステムプランだが、音質の変化が如実にわかって楽しい。

mouse B4-IU01PG-B側では、特殊なソフトは何も使っておらず、Windows標準のメディアプレーヤーで再生しているが、USB DACを接続するだけで、音質をここまでグレードアップできる。しかも大きな機器は不要。このあたりも大きな魅力だ。

「宇多田ヒカル/Science Fiction」から「2時間だけのバカンス」を聴いてみたが、宇多田ヒカルと椎名林檎のふたりの声質の違いを豊かに描き分け、音像定位もシャープに決まる。USB DACもイヤフォンも解像度の高い鳴り方が特徴的だが、細身ではあっても決して痩せた音にはならないし感触はむしろ柔らかいと感じるほど。リアルな感触のデュエットになっていて、ライブステージを見ているような生々しさがある。どちらも人気のモデルだが、その人気の理由もよくわかる。

イヤフォンは手持ちのものを使用。右がqdcのSUPERIOR。左はふだん使いでよく使用しているSHOKZのOPENRUN PRO

スピーカーで本格サウンド。クリプトン「KS-11G」でデスクトップを超えたスケール感を味わう

今度はスピーカーもグレードアップしてみよう。

イヤフォンは、細かな音まで聴きとれる情報量の豊かさなどに魅力があるが、スピーカーにも、特有の魅力がある。それは、目の前に音のステージが広がる感じや、耳で聴くというより“体感する”感じに近い聴こえ方だ。

クリプトンの「KS-11G」

mouse B4-IU01PG-Bと組み合わせるスピーカーに選んだのは、ノートPCと並べて使うならば他にライバルはいないと言っていいほどの人気モデルの最新作、クリプトンの「KS-11G」(直販65,780円)。コンパクトなサイズ感はそのままに、最大192kHz/24bitのハイレゾ音声に対応する基本的な特徴はそのままに、デジタルアンプやDSPなどのデジタル処理回路を一新。Bluetooth接続では新たにApt-X Adaptiveへの対応を果たし、デジタルアンプは25W×2から35W×2へと出力を高めている。

ノートPCと一緒に置いたイメージ。コンパクトなスピーカーなのでノートPCの両側に置いてもスペースをとらず、狭い場所でも使える

フルレンジの64mmユニットはTymphany社のメタル製ユニットを継続して採用。小口径ながらもしっかりとした低音再生能力を備えた優れたユニットだ。コンパクトな作りながらもアルミ押し出し材のフレームで剛性を高め、また底面にはクリプトン社のノウハウを活かした「ネオフェードカーボンマトリクス3層材」をインシュレーターとして使用している。

ネオフェードカーボンマトリクス3層材を使ったインシュレーターを標準で備えている

デスクトップを想定した一般的な薄型テレビ用ラックは、強度こそ十分ではあるがスピーカーなどを直接置くとラック自体が響いてしまうことが少なくなかった。今回もインシュレーターやオーディオボードなどを敷くことも考えたが、スピーカー自体にしっかりとしたインシュレーターが装着されているので、試しに直接置いてみたところ、ふだんなら気になるラックの鳴きや音像定位の甘さがなかったので、直置きで使っている。

このインシュレーターは、普通のテーブルや机を使っている人にはありがたいはず。オーディオボードやスピーカースタンドでしっかりと設置すればそれだけの良さも得られるが、とりあえずはそのまま直置きで十分な性能を発揮してくれるのはうれしい。

ノートPCはキーボードに手を置いたくらいの距離として、その両側にKS-11Gを配置。USBケーブルを接続すれば基本的には準備完了だ。スピーカー側で入力をUSBに切り替え、ノートPC側ではオーディオデバイスをKS-11Gに切り替える必要はあるが、オーディオデバイスがKS-11Gだけならば自動で切り替わるので面倒な操作は不要。

ノートPCとの使用時はUSBケーブルで接続する。Bluetooth接続でワイヤレスで使用することも可能だ

メディアプレーヤーで「宇多田ヒカル/2時間だけのバカンス」を聴いてみると、デスクトップとは思えない広いステージ感が得られる。ボーカルは実体感があり、目の前に浮かぶよう。ふたりの歌声がセンターで重なるようなときも音像定位がしっかりとしているので声が混ざり合うようなことはなく、ステージ上でふたりが息を合わせて歌う様子が目に浮かぶようだ。

仕事で入手した「交響詩 銀河鉄道999」のWAV音源を聴いてみたが、映像はなくても脳裏に「劇場版銀河鉄道999」のシーンが浮かぶ。生のオーケストラによるピアニッシモからフォルティッシモまで一気に盛り上がるダイナミックな演奏が力強く再現される。低音の伸びというと、イヤフォン再生の方が信号としての低音域は再現されているのだが、KS-11Gは音に質量があると感じる低音の重量感が身体を響かせる。オーケストラの迫力とか存在感もスピーカーの方が良い。

耳との距離が近いイヤフォンは周囲のノイズの影響を受けないこともあって、微小な音や音の余韻などまできめ細かく再現でき、情報量を求めるならばイヤフォンの方が好ましい。しかし、スピーカーには目の前に雄大に広がるスケール感があり、目の前に浮かぶ音像にも実体感のようなものを感じるし、オーケストラの配置がわかるような音の配置、音場の立体感などは、どうしても脳内のイメージ的になるイヤフォンよりもスピーカーの方が具体的だ。

そのうえで、スピーカーとの距離が50cmほどとなる近接試聴となるニアフィールド再生に特化したKS-11Gは、イヤフォンの良さとスピーカーの良さのちょうど中間くらいの感触もある。あくまでスピーカー再生なのだが、細かな音もきちんと聴こえるし、演奏が終わった後の余韻も美しく再現される。この感じはなかなか良い。

KS-11Gは他の場所でも聴いていて、実力はわかっているつもりだったが、改めてその実力に感心した。スピーカー自体に優秀なインシュレーターが備わっていて、ポンと置いただけでいい音が出るのも理由のひとつだが、ノートPCがファンレスで不要な音を出さず、またモーターのような振動源がないのでスピーカーへの悪影響も少ないことがもうひとつの理由かもしれない。当初はただ静かなことだけが特長のファンレスノートPCだと軽く考えていたが、オーディオ再生用としてみたとき、実は思った以上に有効なのかもしれない。

今度は映画鑑賞。14型とは思えないほどの没入感を楽しめた

音楽鑑賞はなかなか好感触で、試しにAmazon Musicなどの音楽配信も聴いてみたが、音質的な落差を感じることもなく、AK HC4によるイヤフォン再生、KS-11Gによるスピーカー再生ともそれぞれの持ち味を活かした本格的なオーディオ再生を楽しむことができた。これならば、より高音質な音楽配信サービスも十分に楽しめると思うし、高音質プレーヤーを使ってさらに高音質を追求するような楽しみにも挑戦できるだろう。

そのあたりはユーザー自身がじっくりと試してもらうとして、次うは動画再生をしてみよう。Netflixなどの動画配信サービスはノートPCなどでも楽しめるが、音質がグレードアップするとどうなるだろうか。ここではNetflixアプリをインストールして、オーディオデバイスを切り替えながら試してみた。

筆者がよく見るアクション映画やホラー映画を見てみたが、なかなか見応えがある。14型のディスプレイはフルHD解像度(1,920×1,080ドット)で、全画面表示をすることも可能。部屋を暗くしたので画面の明るさを少し落としたが、画質調整などは行なっていない。

画面との距離が近いので絶対的な画面サイズが小さいことはあまり気にならないし、逆に画素が見えてしまうようなこともない。フルHDの映像としては十分なディテールが再現されていると感じるし、暗部が少し見づらいと感じるとか、動きの激しい場面でやや動画ボケを感じることはあるものの、十分に楽しめる。

それは音質のおかげだろう。AK HC4によるイヤフォン再生は外界の音から遮断されることと、音の情報量が豊かなこともあって映像に没入できる。銃撃や爆発などの迫力も十分だ。ステレオ再生でも脳内イメージ的なサラウンド感があって、自分がスクリーンの中にいて、主人公たちの活躍を間近で見ている感覚がある。

面白いのが、空間オーディオ。Netflixではステレオ再生環境では、空間オーディオという2チャンネルでのバーチャルサラウンド音源を提供しているが、これをイヤフォン視聴するとなかなかリアルなサラウンド感が得られる。真後ろの音はやや再現が苦手だが、前後左右の音の定位や移動感もしっかりあるし、音楽や環境音に包まれるような感覚もある。AK HC4はコンパクトなサイズのわりに馬力のある音が出て、映画でも迫力たっぷりに楽しめる(バランス出力だとさらにサラウンド感も増すし迫力も増す)が、そのおかげでますます画面に集中でき、夢中になれる。

KS-11Gによるスピーカー再生となると、もう少し映画を見ている客観的な気分になる。音質的には十分に低音感もあるし、出音の勢いがいいので、アクションシーンのスピード感や迫力もよく伝わる。ステレオ再生でもスケール感としては十分広く、14型の画面ではサイズが少々小さいと感じてしまうくらいだ。

空間オーディオも多少のサラウンド感は出るが、イヤフォンでのまさにバーチャルな立体空間の感触に比べると、やや漠然と周囲から音が出ている感じになってしまう。これならばストレートにステレオ再生で前方だけの実体感のある声や爆発音を体感した方が気持ちいい。

映画はイヤフォンの方が良さそうだな。と思いつつ、ノートPCの側面にHDMI出力があることを思い出す。プロジェクターに接続してみたら、普通にノートPCの画面がそのまま表示された。スペックを確認してみると、HDMI出力は最大で3,840×2,160ドット(30Hz)の出力が可能。解像度を落とせば2画面出力もできるようだ。

実際、プロジェクター側で確認すると3,840×2,160ドット出力となっているのがわかる。PCなどでは30Hzというとがっかりしてしまう人がいるかもしれないが、映画は24Hzなので、最大30Hz出力でも十分なのだ。

映画鑑賞をしているときの様子。プロジェクターにも同時表示をしている

急に思いついて試したので、120インチでのプロジェクター試聴になってしまい、さすがに映像のサイズと音のサイズ感の釣り合いはよくない。だが、映像が大きくなることで迫力が増し、音のエネルギー感や迫力に釣り合ったものになると感じた。スピーカー再生ならば、より大画面での再生がマッチすると思う。デスクトップ上、あるいはそれに近いスペースで実現するとなると、20~30型クラスのPC用モニターと組み合わせるのが良さそうだ。

ノートPCをデスクトップ環境で使う人にはこうした外部モニターを組み合わせる人も少なくないと思うので、こうした再生も検討してほしい。KS-11Gの音のスケール感としては50型クラスの大画面テレビでも釣り合いそうだが、画面に合わせて音量も上げていってしまい、近所迷惑にならないよう気を付けてほしい。

結論としては、ノートPCの画面で没入して楽しむならばイヤフォンが好ましく、空間オーディオとの相性もよい。一方でより大きな外部ディスプレイを組み合わせることができるならば、スピーカー再生の方がよりスケール感が大きく、ホームシアター的な臨場感が味わえると思う。どちらを選んでもいいし、どちらも楽しめることが魅力だ。ノートPCでのオーディオやAVには思った以上のポテンシャルがある。

ちなみに、現在マウスコンピューターでパソコンと対象ディスプレイを同時購入すると、ディスプレイが3,300円OFFになるキャンペーンも2024年9月30日10時59分まで実施されている。対象ディスプレイは23.8型フルHD IPS液晶の「ProLite XUB2493HS-B6」、27型フルHD IPS液晶の「ProLite XUB2793HS-B6」だ。詳細はキャンペーンページを参照してほしい。

今パソコンを買うと対象のディスプレイが3300円OFF

仕事も含めた日常的な使い方では、オープン型イヤフォンも良い

当初はファンレスのノートPCでオーディオやAVをどれだけ楽しめるか。という割と軽めの記事のはずだったが、実際にやってみたらなかなか奥が深く、あれこれ試しているうちにけっこう時間をかけてしまった。このほかもいろいろと試したが、感触が良かったのはオープン型イヤフォン。

原稿を書いている時などの音源の確認は携帯プレーヤーとイヤフォンを使うことが多いが、よくある話でイヤフォンを装着している時に限って宅急便が来たり、不意の来客や電話があったりする。これに気付かないトラブルを避けるため、オープン型イヤフォンを使うことが増えているのだ。

筆者が使っているのは、SHOKZのOPENRUN PRO(直販23,880円)だが、骨伝導イヤフォンながらも骨伝導特有の音のクセがずいぶんと減り、音質的にも十分満足できる。

試しにこれをmouse B4-IU01PG-Bで使ってみたが、なかなか良い。音質的にはノートPCの内蔵Bluetoothによる接続なのでコーデックはSBCと思われるし、イヤフォン再生ほどの音質は期待できないものの、ちょっとした確認やBGM再生的な使い方ならば十分。長時間装着していても耳が痛くなるようなことはないし、完全ワイヤレスなのでちょっと席を外したり、トイレに行くのも快適で作業中に使うには良さそう。結果的にはごく普通のノートPCを使うスタイルの話になってしまったかもしれないが、こういう使い方も選択肢のひとつとしてあってもいいだろう。

いずれにしても、マウスコンピューターのmouse B4-IU01PG-Bは、本格的なオーディオ、AV再生用としてもなかなか優秀な再生機器として使えるし、仕事まで幅広く活用できるPCだ。さらに、マウスコンピューターなら24時間365日電話サポート3年間センドバック修理保証も付いてくるとサポートも手厚く、安心して使えるのもポイント。

それでいてコストパフォーマンスも優れているので、ノートPCを探しているユーザーは検討してほしい。もちろん、オーディオ・ビジュアルファンが、AV再生専用マシンとして手に入れるのも良さそうだ。

鳥居一豊

1968年東京生まれの千葉育ち。AV系の専門誌で編集スタッフとして勤務後、フリーのAVライターとして独立。薄型テレビやBDレコーダからヘッドホンやAVアンプ、スピーカーまでAV系のジャンル全般をカバーする。モノ情報誌「GetNavi」(学研パブリッシング)や「特選街」(マキノ出版)、AV専門誌「HiVi」(ステレオサウンド社)のほか、Web系情報サイト「ASCII.jp」などで、AV機器の製品紹介記事や取材記事を執筆。最近、シアター専用の防音室を備える新居への引越が完了し、オーディオ&ビジュアルのための環境がさらに充実した。待望の大型スピーカー(B&W MATRIX801S3)を導入し、幸せな日々を過ごしている(システムに関してはまだまだ発展途上だが)。映画やアニメを愛好し、週に40~60本程度の番組を録画する生活は相変わらず。深夜でもかなりの大音量で映画を見られるので、むしろ悪化している。