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クリプトン、アクティブスピーカー3機種が「KS-G」に進化。チューニング変更やLDAC対応
2023年5月12日 16:00
クリプトンは、Bluetooth受信も可能なアクティブスピーカー「KSシリーズ」3機種の音質を高めた「KS-G」シリーズを6月中旬に発売する。3機種とも型番末尾に「G」が追加され、価格は税抜きで「KS-11G」が59,800円、「KS-33G」が84,800円、「KS-55HG」が114,800円。
いずれのモデルも、搭載しているユニットや筐体に変更はないが、それぞれに音質を高める施策が行なわれている。すべてKRIPTON Online Store専用商品となる。
KS-11G
コンパクト筐体のアクティブスピーカー。カラーはブラックとホワイトを用意。既存のKS-11と、KS-11Gの違いは大きく2点。1つは音質チューニングで、バスレフの循環する空気量を増やし、上位モデルのKS-33に迫るサウンドへと進化させた。
もう1つは、左右のスピーカーを繋ぐケーブル。KS-11付属のケーブルは短めで、後に発売されたKS-33ではそれを踏まえて長い3mのケーブルを採用。さらに、長くなる音質的デメリットを越えて高音質化するため、線材に高純度なOFC線を使った新しいケーブルを開発している。
KS-11Gでは、このKS-33で開発された3mのOFCケーブルを採用。スピーカー設置の自由度が増し、55型などの大型テレビとも組み合わせやすくなるとともに、音質的にも向上したという。
筐体やユニットなどの基本的な仕様は、既存モデルと同じ。フレーム部分をアルミの押し出しで作っており、ユニットは、デンマークTymphany(旧Peerless)の63.5mm径でコンケーブ型。筐体の側面はモールド樹脂。
Bluetooth受信に対応。新たに、aptX Adaptive(48kHz/24bit)をサポート。ハイレゾ級のサウンドを、ワイヤレスで手軽に楽しめる。SBC、AACにも対応する。
フルデジタル信号処理思想を踏襲しており、最大192kHz/24bitのデータまで対応。デジタルアンプの出力は35W×2ch。入力端子は、USB、ステレオミニのアナログ、光デジタルを各1系統備えている。
筐体の底部には、ネオフェードカーボンマトリックス3層材を使ったインシュレーターを配置している。
外形寸法は87×105×176.5mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は1.15kg(×2台 本体部・インシュレーター含む)。リモコンが付属する。
KS-33G
サイズは前述のKS-11Gと同じだが、フレーム部分をアルミの押し出しで作っているだけでなく、KS-33Gでは両側面にもアルミパネルを採用しているのが特徴。
こうした筐体や、搭載するユニットは既存の「KS-33」と同じものだが、KS-33Gでは新たに、デジタル領域でチューニングを施し、既存ユーザーから要望が多かったという低域の力強さに磨きをかけているのが特徴。
ユニットは、デンマークTymphanyの63.5mm径でコンケーブ型。小口径ながら、重低音再生を可能としており、全帯域にわたってフラットな再生特性を持つという。振動板はメタルコーンを使っている。
搭載するフルデジタル・アンプはパワフルな35W×2。入力端子は、USB、ステレオミニのアナログ、光デジタルを各1系統装備。デジタル音声データは、最大で192kHz/24bitまで再生対応。
Bluetooth受信に対応。コーデックはSBC、AACに加え、新たにaptX Adaptive(48kHz/24bit)にも対応した。外形寸法は89.5×105×176.5mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は1.6kg(×2台 本体部・インシュレーター含む)。リモコンが付属する。左右を接続するケーブルは3mでOFC線を使ったもの。
KS-55HG
「KS-55Hyper」の進化モデルで、新たにBluetooth受信において、LDACとaptX Adaptiveコーデックに対応。LRセパレートタイプで、LDACとaptX Adaptiveの両方に対応したスピーカーは世界初だという。なお、LDACは96kHz/24bitまで、aptX Adaptiveは48kHz/24bitまでの対応となる。
それ以外の仕様は、従来のKS-55Hyperと同じ。筐体はオーバル・ラウンドフォルムデザインで、オールアルミ製エンクロージャー。回折効果による反射と内部定在波を抑えている。フォールデッドダクトによるリアバスレフ構造で、サイズを超えた低域再生も実現。カラーはシルバー・メタリックとレッド・メタリックの2色。
63.5mm径のウーファーユニットと、ハイレゾ用に30mmのリングダイアフラム型ツイーターを搭載した2ウェイ。スピーカー・ユニットはいずれもデンマークTymphany製。
内部にDDC(Digital to Digital Convertor)とDSP(Digital Signal Processor)を搭載。USBや光デジタルで入力したデジタル信号を、DDC回路とフルデジタル・アンプを直結させ、デジタル信号のままダイレクトに再生。変換ロスがなく、ハイレゾ音源を忠実に再生できるという。ステレオミニのアナログ入力も備えているが、その音声もデジタルに変換して処理する。
ウーファーとツイーターを個別のデジタルアンプで駆動する、バイアンプ駆動方式を採用。デジタルクロスオーバーネットワークを採用し、ウーファーからの逆起電流がツイーターに流れ込むといった互いの干渉を防ぎ、歪の少ない音質を実現している。
デジタルアンプの出力は35W×2の70Wとパワフル。底部には3点支持の滑り止め搭載インシュレーターを装着。制振効果のあるネオフェード・カーボンマトリクス三層材を使っており、それに滑り止めのOリングを組み合わせている。
Bluetoothに加え、USB入力、光デジタル入力、ステレオミニのアナログ音声入力も装備。外形寸法は109×203.4×159.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は右が約2kg、左約1.9kg。
音を聴いてみる
発表会において短時間だが、試聴したインプレッションをお届けしよう。
KS-11Gは、従来のKS-11からバスレフの循環する空気量を増やすなどのチューニングを行ない、左右のスピーカーを接続するケーブルが高純度OFC線にグレードアップした。
もともとのKS-11は、自然な音色と、コンパクトなスピーカーとは思えない中低域の豊かな広がりなどが特徴だった。新しくなったKS-11Gでは、まず低域の膨らみが抑えられ、より深く沈むようになった。これはバスレフの改良による効果だろう。
また、低域から高域まで、全体の明瞭度がアップ。楽器やボーカルの輪郭などが見やすい、クリアなサウンドへと進化した。これはケーブルのグレードアップが影響していそうだ。全体としては、上位機のKS-33に近づいたサウンドになったと感じる。
上位機となるKS-33Gと、従来機KS-33の違いはデジタル領域でのチューニング。聴き比べると、確かに低域のパワフルさ、前に出る音圧感などがアップ。より満足感の高いサウンドに進化したと感じる。
サイドパネルもアルミのKS-33は、どちらかというとシャープで硬質なサウンドで、低域もタイトなバランスだったが、KS-33Gではそこに低域のドッシリ感や、ゆったりとした響きも加味されており、“神経質な音”という印象から、“クリアかつゆったりと身をまかせたくなる音”に変化したと感じる。
最後にKS-55HG。こちらは新たにLDACコーデックに対応。チューニング変更などはされておらず、基本的なサウンドはKS-55Hyperと同じだ。ただ、BluetoothでLDAC接続したサウンドを聴いてみると、女性ボーカルとピアノだけなどのシンプルな楽曲では、音場の広さや、そこに広がる余韻が消える間際の細かな描写などが、より明瞭に聴こえるようになる。
また、「米津玄師/KICK BAC」のようなハイスピードで音数の多い楽曲では、情報量が少ないと、ガチャガチャした音に感じられ、音量を上げると「うるさい」と感じてしまうが、LDACでの接続では、個々の音像の輪郭や音色がキッチリ維持されるので、ボリュームを上げてもうるさいとは感じず、迫力だけが増して、むしろ気持ちよく音楽が聴けるようになる。