社団法人日本レコード協会(RIAJ)は18日、同法人が3月22日付けで制定・発行した「複製制御(コピーコントロール)CDの表示に関する運用基準(暫定版)」に関しての説明会を開催した。 この運用基準は、「消費者保護の観点から、協会会員のレコード会社が複製制御CDを発売するに当たり参考となるよう、複製制御CDに固有な表示事項や表示方法をまとめたもの」としている。当面は暫定版として運用されるが、こういった統一マークが制定されるのは世界初という。 具体的には、複製制御CD推奨マークと、共通ステッカの表示方法、複製制御および再生制限機器の表示、詳細表示などを規定。「店頭での購入時に判別しやすいことに主眼を置いて、運用基準を作成した」としている。 運用は5月から開始され、一番最初にマークつけるのは、5月2日にAVEXがリリースする3タイトルの予定。
今回の運用基準の制定にあたり、富塚勇会長は「技術の進化は、悪用すれば人の財産を容易に侵害し、文化を崩壊させる凶器となる。デジタル技術の進化が音楽文化に与えている現実は、その典型的な例である」とその背景を説明。 また、「ネット海賊行為は言うまでもなく、家庭で簡単に複製できる機器が普及し、市販あるいはレンタルCDから、音質の劣化が全く無く装丁も本物と見紛うパーフェクト・クローンがコスト100円足らずで作られている。約7,600店に急増した中古CD店の隆盛が、購入したオリジナルCDを中古店に売却する行為が激増していることを物語っている」という。 そして、「昨年発売が先行した欧米では、表示に適切さを欠いたため、消費者に混乱をもたらした例もあった。これを他山の石として、わが国においては、できるだけ消費者にわかりやすい表示するために、推奨マークと推奨運用基準を制定した」とその意義を語った。
なお、「いかなるコピーもすべて禁止するのではなく、消費者の利便性も考慮して、権利者が是としたものにはデジタルコピーをも可能とした技術仕様である」との理由で、「コピープロテクト」あるいは、「コピー防止」ではなく、「コピーコントロール」という名称を採用したという。
ただし、マークや、運用基準は会員各社に強制されるものではなく、マークを付ける付けない、あるいは独自の表記をするといった判断も自由。また、会員以外のレコード会社でも要望があれば、積極的に対応するとしている。 コピーコントロール技術については、RIAJ側では技術を持っている各社とライセンスを結んでいないため、コンシューマと同等の情報しか得ていないという。そのため、どの技術を採用するかについても、RIAJが技術的な検証を行なうわけではなく、各レコード会社に任されることになる。 これらの状況を見ると、RIAJとしては、混乱を防ぐためにマークを作成しただけで、RIAJがコピーコントロール技術を推奨するというわけでないというのが実際のようだ。また、一部で問題となっているCDロゴの記載についても「レコード会社とライセンス会社(Sony、Philips)とが個別に話し合うこと」(RIAJ テクノロジーセンター長 田中純一氏)としている。 さらに、購入者が再生できなかった場合の対応についても、各レコード会社と消費者が話し合うこととし、特に介入はしない。なお、RIAJ側では検証を行なっていないが、ある会社の調査として「コピーコントロールを採用したDiscを、99.6%の機種で再生できたという結果を聞いている」という。 同協会の広報部田辺攻部長は、「新しい技術を理解いただくのが目的。既に採用しているメーカーからは、大きなクレームはないと聞いている。なぜ、こういった技術が必要なのかを含めて理解いただけるよう、努力していく」と話している。
□日本レコード協会 (2002年4月18日) [furukawa@impress.co.jp] |
I |
|
00 | ||
00 | AV Watchホームページ | 00 |
00 |
ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp