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【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
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KDDI株式会社と株式会社KDDI研究所は19日、地上デジタル放送向けの携帯端末の開発を発表した。22日から25日まで開催されるNHK放送技術研究所の一般公開でデモが実施される。 同社が開発したのは、TRON OSの開発キット「T-Engine」をベースに、地上デジタル放送の受信機能を搭載したもの。ただし、現在は試験放送も行なわれていないため、地上デジタル受信用のOFDM復調機、およびテレビチューナを装備していない。また、携帯電話機能や録画機能などもなく、代わりに無線LANカードとPHSカードを利用して、放送データを無線LAN経由で受信、通信データはKDDIのサーバーからAirH"経由で送受信している。
T-Engine上に超漢字OS(μiTron)を実装し、CPUはSH-4 200MHz相当。液晶はQVGA(360×240ドット)で、地上デジタル放送表示領域はQCIF(176×144ドット)。対応する伝送方式は、MPEG-2 TSのほか、MPEG-4 SP(Simple Profile)をサポート。音声はAAC。 実証試験用の端末のため、チューナなどは装備していないが、今回NHKがコンテンツを用意し、それらを端末側で視聴するデモが行なわれた。以下の4つのコンテンツが用意されており、同社技術開発本部 ITS開発部の中村博行部長により解説さわれた。
番組視聴ガイドは、NHKで放送中の大河ドラマ「武蔵」の番組をブラウザから指定するだけで映像の受信が行なえるというもので、データ放送やインターネットコンテンツにより、出演者データの閲覧なども可能。 また、通信を利用した緊急放送は、テレビ視聴中に地震情報など緊急性の高い情報を視聴中の番組に割り込んで表示する。より詳細なデータなどがデータ放送やインターネットコンテンツとして受信できる。また、災害情報などのほかに、例えばお気に入りのスポーツ情報などを登録しておけば、「松井がホームランを打った」などの状況にあわせて、利用者のニーズにあったニュース性の高い映像を、通常放送に割り込んで表示することもできるようになるという。 また、e-Learningのデモでは、放送を利用した番組利用のほか、インターネットコンテンツによる、より詳細なプログラムが受けられるなどの例が示された。スポーツのデモでは、サッカーの中継を見ながら、仲間でチャットを楽しむなどの利用例を挙げて解説された。 今回紹介されたコンテンツは全てNHK放送技術研究所が用意したものだが、KDDIでも10種のコンテンツを用意。KDDIのコンテンツでは、同社の携帯電話のGPS機能を生かしたものなども予定しているという。
今回の実験機では、QVGA液晶の上部領域に地上デジタル視聴用のQCIFのブラウザを装備し、その下にデータ放送/インターネットコンテンツ視聴用のHTMLブラウザを装備している。地上デジタルの本放送では、コンテンツ記述言語に「BML」を利用するが、今回は実証実験のため、より容易にコンテンツを利用できるHTMLを採用しているという。 発表会では、同社執行役員 技術開発本部長の村上仁己氏が今回の発表について解説した。村上氏は、今年の秋より始まる地上デジタル放送に、通信事業者として「放送と通信の融合」という点で非常に期待していると述べた。また、「今回の端末は、放送と双方向通信と融合させることで、どういうことができるかと検討を重ね、NHK技研と共同開発した。この融合により、1+1が3にも4にもなるようなものを開発できた」と、自信を見せた。 なお、現在地上デジタル放送の移動体通信向け映像プロファイルについては、MPEG-4のライセンス問題などで、見直しを求める意見も上がっているが、「MPEG-4で行くのかH.264で行くのかということについては、意見が分かれているが、実装が容易なため今回はMPEG-4対応とした(KDDI研究所 松本修一取締役)」という。 今回のデモ機は、あくまで実証実験用と位置づけられており、同社でも具体的な「製品イメージは決まっていない(KDDI研究所 松本取締役)」という。むしろ今回のデモ機による実験の結果などを受けて、携帯電話への実装などさまざまな対応を検討する。今後の課題としてはOFDMデコーダやチューナの消費電力の低減などが挙げられている。 □KDDIのホームページ (2003年5月19日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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