◇ 最新ニュース ◇
|
||
【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
||
|
ソニーは、新ブランド「QUALIA(クオリア)」を発表し、プロジェクタやモニタなど4製品を6月21日より順次発売する。 「QUALIA」は、製品の開発や製造に加え、マーケティングやサービス、コンテンツなどの、顧客とソニーをつなぐ全ての活動において「感動価値の創造」を目指した新ブランド。機能やスペックを追い求めるだけではなく、「感動価値」を有した製品を順次投入するという。 2001年5月に同社のエレクトロニクス分野でスタートした「QUALIA」プロジェクトでは、各ネットワークカンパニーから、様々なカテゴリーの製品を企画・提案。それらを、同社のトップマネジメントから構成される「QUALIA認定委員会」が評価を行ない、選定された企画には順に「QUALIAナンバー」が与えられる。 今回は、フルHD対応の SXRDパネル採用プロジェクタの「QUALIA 004(Q004-R1)」、SACDオーディオ/スピーカーシステム「QUALIA 007(Q007-SCD/Q007-SSS)」、トリニトロンカラーモニタ「QUALIA 015(Q015-KX36)」、小型デジタルカメラ「QUALIA 016(Q016-WE1)」などが6月24日より順次発売される。今回発表した製品は全て受注生産となっている。
発表会では、高篠静雄副社長がQUALIAについて、「2年以上前に出井から“QUALIA(クオリア)”を担当しろと言われた。最初は、韓国(コリア)担当とかと思った」と切り出し、笑いを誘った後、ブランドの解説を行なった。 「コンセプトは、とにかく人の心を感動させるということ」とし、「AV製品においては急速にコモディティ化が進み、ついついデフレの原因は中国製品だということにしがち。しかし、製品の価格、経済価値の低下というのは、無意味な価格競争のもたらした結果であり、中国が原因というより、われわれが自らそうしてしまった結果でもある」と従来のものづくりのあり方に疑問を呈した。 高篠副社長は、「ものづくりをもう一度見直さなければならない」とし、「作る」、「造る」、「創る」の3つの「つくる」を掲げ、「価格競争などに終始しているうちに単に“作る”ということに終始してしまったのではないか? 再び創造する“創る”に変えていかなければならない。そうした中で、ソニーのドライビングフォースとなるクオリア製品を創り上げて行きたい」と述べた。 また、「高い技術と、技術者の“こういうものがつくりたい”という執念が組み合って、はじめて人の心を感動させる製品となる」とし、高い技術と匠の融合した製品こそが「QUALIA」であると解説した。
なお、QUALIAは、企画が立ち上がった順に「クオリアナンバー」という番号が与えられ、今回「004」、「007」、「015」、「016」の4製品が投入される。現在約70の企画が立ち上がっており、17の企画が同時進行中という。
QUALIA製品の販売は、6月10日より東京 銀座のソニービル4階に設置される「QUALIA Tokyo」、ならびに7月に大阪のソニータワー内に開店する予定の「QUALIA Osaka」を通じた受注生産となる。納期は早いもので1週間、遅くても1カ月程度で出荷されるという。 遠隔地の顧客への対応は「QUALIAコールカウンター」での電話受付にて製品の予約受付などを行ない、インターネット販売などは行なわない。これは「対話のある販売をし、末永く丁寧に販売したいため(ソニーマーケティング代表取締役 宮下次衛氏)」という。 QUALIA店舗とコールセンターには「コンシェルジュ」と呼ばれる専任スタッフが常駐し、接客を担当する。なお、QUALIAの展開については、当初は日本からスタートし、米国やヨーロッパでも順次展開していく予定。 今後の課題としては、「長い付き合いをさせていただくためには、バージョンアップできるような仕組みも必要となるので、検討していきたい(高篠副社長)」という。また、製品の下取りについては「現在は下取りについては特に考えていない。しかし、お客様とは末永く関係を保ちたいので、そうした仕組みも考えていきたい(SMOJ 宮下次衛代表取締役)」とした。
その後、QUALIA Tokyoでソニーの出井伸之CEOが挨拶し、「QUALIA」シリーズへの意気込みを語った。 出井氏は「エレクトロニクスを中心に、感動を感じられる製品を押し進めて行こうと高篠さんに担当をお願いした。技術もそうだが、時間と心のこもった製品を出そうとした。今回の4製品ともに、すぐには作れない心のこもった製品となった」と今回の製品を紹介した。 また、「市場の変化などで、製品の経済価値も変わりつつあるが、ソニーの基本は、エレクトロニクスとエンターテインメントが混合したところにある。それとエモーションと結び付けた“感情価値”のある製品としていきたいと考えた」とクオリアシリーズにかけた思いを語った。 QUALIAのシリーズ名は、出井氏が飛行機中で雑誌を読んでいたところ、ソニーコンピュータサイエンス研究所の茂木健一郎氏の執筆した記事で、「人はなぜ夕日を見て感動するほか」、「音楽を聴いて涙を流すのか」という「感覚に伴う独特の質感」を指す言葉を「クオリア」と呼んでいることを知ったことに由来する。記事を見た出井氏はこのキーワードをグループで推進して行こうと決め、「クオリアに出会いひとつの方針が固まった」という。
また、先日スイスの時計ショーに行ったエピソードを披露し、機械式の時計など、一度は技術革新により消えかけた市場でもこだわりの製品は生き残り市場を維持してきたことを例に上げ、「1人1人の顧客の満足度を高めていくことで、マーケティング上のイノベーションにもなる」と述べた。 「今の日本はものづくりに不適当と言われる。確かにそういう側面もあるが、ソニーは50%の製品を国内で生産している。こういったこだわった製品を作ってもいいし、例えばロボットの時はAIBOを市場投入した後に、他社から多くのロボットが発売された。ソニーが先に投入することで、他社からこうした製品が出てくることも期待している」とした。 さらに、「時計などでも次々と新しい製品が出ているが、いいものは残っている。エレクトロニクスでもこうした取り組みにより、もう少し盛り上げてもいいのかなと思う」と、市場の盛り上がりに期待をかけて挨拶を締めくくった。 □ソニーのホームページ (2003年6月10日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
|
|