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三洋、地上デジタル放送対応携帯電話の試作機を公開
−2.2型有機ELディスプレイ採用、約90分の視聴が可能


8月8日発表


 三洋電機株式会社は8日、都内で記者発表会を行ない、地上デジタル放送の受信が可能な携帯電話の試作機を発表した。

外部アンテナなどを接続せず、本体のみで受信可能。ディスプレイは2.2インチ有機ELディスプレイを採用している

 12月から放送が開始される地上デジタル放送は、家庭用テレビなどの固定受信を皮切りに、将来的には携帯電話などを対象にした携帯受信用の放送サービスも予定されている。具体的な開始時期は決定していないが、同社は「2005年と考えている」という。

 放送は、1ch 6MHzの帯域を13セグメントに分割し、その内1セグメントを利用して送信される。開発された試作機は、これを受信するための「1セグメント受信モジュール」を内蔵している。

 受信モジュールには、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)復調LSIや、周波数変換用ICなどが組み込まれている。さらに、地上デジタル放送受信用の小型ダイバーシティアンテナを本体裏に搭載しており、外部アンテナなどを接続せず本体のみで地上デジタル放送が受信可能。

今回の試作機は、10キーがスライドするデザインを採用していた

 筐体は、CDMA2000 1x対応の携帯電話モデルを使用し、11万画素のCCDカメラも内蔵している。ディスプレイ部には、2.2インチ、解像度176×220ドットのアクティブ型有機ELディスプレイを採用する。

 なお、地上デジタル放送の受信に必要な機能を、現行携帯電話サイズの筐体に内蔵した試作機は、NECが7月10日に発表したものに続いて2機目となる。

上が地上デジタル放送用アンテナで、右下が電話用アンテナ。イヤフォンコードが2本目の地上デジタル用アンテナの役目をする

 技術面での大きな特徴は、受信機に複数のアンテナや受信機を装備し、得られた複数の出力を合成する「ダイバーシティ受信方式」を採用したこと。公開された試作機は、地上デジタル放送受信用の外部アンテナを1基しか搭載していないが、イヤフォン端子に接続したイヤフォンのケーブルが、2つ目のアンテナの役割を果たす。

 なお、この仕様はあくまで試作段階のもので、将来的には内部に別のループアンテナを内蔵するなど、受信感度向上に向けた複数のアプローチを検討しているという。

 また、受信モジュールを小型化するため、ダイレクトコンバージョン方式を採用。UHF帯などのRF(Radio Frequency:無線周波数)信号から、ベースバンド信号へ周波数を変換する方式の1つで、高周波信号と同じ周波数の局部発振信号をミックスし、直接RF信号からベースバンド信号を取り出す方式で、SAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルタを必要とせず、回路構成をシンプルかつ小型化できる利点がある。

 これにより、切手サイズの受信モジュールの開発に成功。将来的には、さらに半分ほどのサイズに縮小していくという。


試作機のブロック図。アプリケーションチップとフラッシュメモリは、テレビ用ユニットと携帯電話ユニットで分かれているが、将来的には共有可能だという 受信モジュールの構成。周波数変調ICやOFDM復調LSIは、いずれも新たに開発されたもの

縦表示、横表示の両方に対応

 機能面では、テレビ画面の縦表示と横表示の両方に対応。横画面ではディスプレイ全体を使った全画面表示ができ、縦画面では、文字情報やWebページへのリンクボタンなど、付加情報を同時に表示できるという。なお、表示方向の切り替えは手動スイッチで行なう。

 また、本体に内蔵した128MBのフラッシュメモリに、約30分(放送ビットレート512kbps時)、最大10タイトルまでの録画が可能。試作機では、受信したストリームデータをそのまま保存しているという。

 会場で行なわれた実験放送の動画フォーマットはMPEG-4 Simple Profileで、ビットレートは256kbps。解像度はQVGA(320×240ドット)で、フレームレートは15fps。音声はAACで、サンプリング周波数は24.48kHz、ビットレートは64kbps。


録画したタイトルが一覧表示される。最大10タイトルまで保存可能。将来的にはSDカードなどへの外部メモリへの記録も想定しているという 会場では、ダイポールアンテナを利用して簡易放送が行なわれた

 携帯端末向け放送の動画フォーマットに関しては、NHKや民放連などの放送局側と、MPEG-4を管理する団体MPEG LAとの間で、ライセンスに関して合意に達しておらず、H.264などの別フォーマットが採用される可能性もある。この点について同社は「どちらのフォーマットが採用されても、対応できるよう準備を進めている」という。

 試作機が搭載するバッテリはリチウムイオン電池(960mAh)で、テレビ視聴のみで約90分の利用が可能。テレビを視聴しない場合の待ち受け時間は約420時間。なお、将来的には半日以上の待ち受け時間を確保し、通常の携帯電話として利用しながら、1時間以上のテレビ視聴を目指すという。試作機の外形寸法は約105×50×30mm(縦×横×厚さ)、バッテリを含む重量は約150g。


■ 2005年の放送開始と同時に製品を投入

三洋テレコミュニケーションズの前田常務。有機ELディスプレイには、コストや焼き付きの問題もあるため、「商品化の際には、その時点で最も優れた表示デバイスを使いたい」という

 今回の試作機について、三洋テレコミュニケーションズ株式会社の前田哲宏常務は、「仕様はあくまで試作段階。大容量のリチウムイオン電池や、ダイバーシティアンテナ、有機ELなどのデバイスを採用したのは、“ここまでできる”という三洋の総合技術力を示す意味もある」と述べ、製品化の際には大幅に仕様が変わる可能性を示唆した。

 また、製品の発売時期に関しては「地上デジタルの携帯向け放送の開始を2005年と見込んでおり、それに向けて準備を進めている」とし、放送が開始され次第、即時投入していく考えを明らかにした。

 価格はあくまで「未定」としながらも、「携帯電話自体が高機能になっているため、従来の機体にアンテナや受信モジュールなど、わずかな部品を加えるだけで地上デジタルに対応できる」と述べ、著しく高価にはならないだろうと予測した。

 なお、同社は、この試作機を使った放送受信デモを、10月7日から11日まで幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2003」にて行う予定。

□三洋電機のホームページ
http://www.sanyo.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0308news-j/0808-1.html
□関連記事
【7月10日】NEC、地上デジタル放送を受信可能な携帯電話の試作機を公開
−既存の端末に受信機能を内蔵し、約1時間の視聴が可能
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030710/nec.htm

(2003年8月8日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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