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ソニー、2003年度決算を発表。売上高は微増
-「PSXは想定した売上台数に届いていない」


湯原隆男 執行役常務 グループCFO

4月27日発表


2004年度連結業績

 ソニーは27日、2003年度の決算説明会を開催した。売上高は0.3%増の7兆4,964億円、営業利益は46.7%減の989億円、純利益は23.4%減の885億円。

 同時に発表された第4四半期決算は、売上高は前年同期比で7.1%増の1兆7,722億円、営業損失が1,097億5,600万円、純損失381億5,500万円となった。

 エレクトロニクス分野では、前年度比0.9%減の4兆8,974億円で、営業損失は353億円。外部顧客に対する売り上げが増加したが、プレイステーション 2(PS2)の生産が中国での外注生産に移行されたことで、ゲーム分野とのセグメント間取引が減少し、売上高は減少した。


エレクトロニクス分野のカテゴリ別売上/営業利益

 製品別では、CRTテレビやポータブルオーディオが減収となったものの、携帯電話端末や、デジタルカメラが日本や欧州で伸張。また、フラットパネルテレビは、全地域で大幅な増収となったという。

 損益面では、リストラ費用などの構造改革費用がエレクトロニクス分野のみで1,433億円と前年度比で708億円増加したほか、製品単価下落などが響き、大きな損失計上となった。特にCRTテレビやPDAの「CLIE」、光ピックアップなどの収益性が悪化したという。

 エレクトロニクスのうち、オーディオ、ビデオ、テレビなどのAV部門では売上高2兆5,007億円と昨年度ほぼ同等の水準となった。ただし営業利益は約20%減となっている。フラットパネルテレビやDVDレコーダが好調で売り上げ増に貢献。また、デジタルカメラが大きく伸びたほか、DVDハンディカムも米国市場で好調だったため、ビデオ部門は大幅な売り上げ増となった。

 フラットパネルテレビも好調で、「CRTの売上減を足して余りあるフラットの売上げ増がある(湯原隆男 執行役常務 グループCFO)」という。ただし、「CRTは自社で作っているが、フラットパネルはほとんどが外部調達。付加価値率が違うということで、CRTの減益をフラットテレビで補うことができなかった」とし、売上を維持しながらも減益となった要因を解説した。

 なお、DVDレコーダについては、「PSXは年末好調だったが、その後はわれわれが想定した売上台数には届いていない」という。なお、「PSX/スゴ録を含めた2003年のDVDレコーダの売上台数は65万台だったが、2004年は合計200万台となる」と来期の大幅な売り上げ増を見込んでいる。なお、PSX/スゴ録の個別の売上比率や台数は公開していない。


ゲームの売上高/営業利益

 ゲーム分野では、ハードウェア/ソフトウェアともに減収になり、売上高は前年度比18.3%減の7,802億円。営業利益は40%減の676億円となった。

 ハードウェアの販売台数は、日本や欧州で増加したものの、米国で減少し、全地域合計でも減少した。また、各地域でハードウェア価格を引き下げたことも減収要因となった。ソフトウェアはPS2用が数量/金額ともに増加したが、プレイステーション向けが減少し、全体では減収となった。しかし、「依然として収穫期は続いている」という。

 音楽部門は、売上高が前年度比6.3%減の5,599億円、営業利益は190億円と黒字転換した。米国のSMEIと日本のSMEJの売り上げ比率はSMEIが74%、SMEJが26%。ファイル交換ソフトの普及や他のエンターテインメント業界との競合などによる業界の低迷により、売上は減少したが、過去2年の構造改革の効果や広告宣伝費の縮小などにより、営業利益が増加したという。

 今年度の売上に貢献した作品としては、SMEIがビヨンセ「デンジャラスリィ・イン・ラヴ」、エヴァネッセンス「フォールン」など。SMEJからは中島美嘉「LOVE」、CHEMISTRY「Between the Lines」などが挙げられている。

 映画部門では、売上高が前年度比5.8%減の7,564億円、営業利益は40.3%減の352億円。なお、米ドルベースでは売上高は2%増となる。

 テレビ放送向けビジネスが好調で大幅な利益貢献があったが、「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル」や、「ザ・ミッシング」、「ジリ」、「ハリウッド・ホミサイド」などの映画の不振が響いたという。


音楽の売上高/営業利益 映画の売上高/営業利益

 金融部門は、売上高が同10.5%増の5,935億円、営業利益が同142.4%増の552億円と伸張。ソニー生命の一般勘定の運用損益改善などが収益に貢献したという。

 その他の部門では、売上高が同7.9%増の3,304億円、営業損失100億円となった。社内向け情報サービスやICカード事業で増収となった。


2004年度の連結業績見通し

 2004年度の連結業績見通しは、売上高が前年度比1%増の7兆5,500億円、営業利益が同62%増の1,600億円、純利益が同13%増の1,000億円となる見込み。

 特に、エレクトロニクスの増収を見込んでおり、DVDレコーダやデジタルカメラ、フラットパネルパネルなど、重点商品の世界市場展開を予定しているという。また、エレクトロニクス、ゲーム分野の半導体事業の統合により、60nm製造プロセスを利用した次世代プロセッサ「CELL」用設備などに1,200億円の投資を予定している。

 ゲームは「引き続き収穫期が続く」としており、減収ながらも、2億5,000万本のソフトウェア販売を見込んでいるという。また、2004年発売予定の次世代ゲーム機「PSP」は、「2004年に300万台の生産出荷を見込んでいる」という。


2004年度も構造改革を推進

 音楽分野では、市場の継続的な縮小傾向やDVDの単価下落などにより減収となるが、構造改革効果により、営業利益は増益を見込んでいる。映画部門は2003年に対して減収見込みだが、2004年に公開予定の「スパイダーマン 2」などにより、営業利益は前年並みの見込み。

 また、「昨年の決算発表会で“2006年に利益率10%を目指す”と発表したが、その進捗はどうなのか? 」との質問には、「構造改革や研究開発、半導体投資の3つを柱に、契約を粛々と進めている(湯原CFO)」とし、現在もその目標設定に変更がないことをアピールした。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/financial/fr/2004-4-27j/index.html
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030424/sony.htm

(2004年4月27日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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