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三洋電機、電動アイリス搭載のホームプロジェクター「LP-Z3」
-リアル10bit処理の画質システム「トパーズリアル」採用


左からLP-Z3(K)、LP-Z3(S)、LP-Z1X
10月15日より順次発売

標準価格 「LP-Z3」294,000円
「LP-Z1X」231,000円

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上段左からLP-Z3(K)、LP-Z3(S)、下段LP-Z1X
 三洋電機株式会社は、電動アイリス機構を備えた液晶ホームシアタープロジェクタ「LP-Z3」を10月15日に発売する。価格は294,000円。カラーバリエーションとして、ミラノブラック(K)とプレシャスシルバー(S)を用意する。

 同時に、パネル解像度を下げた下位モデル「LP-Z1X」も発表。10月21日発売する。価格は231,000円。カラーはシルキーシルバー(S)。


■ 1,024階調を実現した「LP-Z3」

 前モデル「LP-Z2」をベースに、画像処理回路などを中心に高画質化を図った新モデル。液晶パネル、レンズ構成、ランプそのものに変化はない。ただし、光学系のチューニングによりコントラスト比が向上したほか、新開発のシロッコファンの採用により、動作音が約23dBに低減している(LP-Z2は約24dB)。

 さらに、DVI入力の代わりにHDMI入力を採用し、RCA端子のコンポーネント入力を追加するなど、映像入力が強化された。HDMIへの変更については「家電としてはDVIより信頼性が高い」とし、オプションでケーブルも発売する予定だという(同梱の予定はない)。

 フロントパネルやフロントドアのディテールが若干変わった程度で、全体的な造形はLP-Z2を引き継いでいる。また、起動時間は約30秒から約20秒に短縮された。クールダウンは従来と同程度。

ミラノブラック プレシャスシルバー

 最も大きな変更点は、「トパーズリアル」と呼ぶ画像処理システムを採用したこと。これは、「リアル10ビットデジタル映像処理回路」、「電動レンズアイリス機構」、「新リアクトイメージモード」の3つの機構からなる高画質化システムを総称したもの。なお、トパーズリアル(TopazReal)は、“Technology of Picture Advance for Z's Real image”の略称。

○リアル10ビットデジタル映像処理回路

 AD変換、スケーラー、ガンマ補正などの処理をすべて10bitで行なう。輝度信号(Y)、色信号(CB/CR)、アナログ/デジタルRGB信号のすべてを10bitで処理する。これにより、透過型液晶プロジェクタでトップクラスのRGB各色1,024階調、約10億7,000万色相当の表現が可能になった。

 色再現について「LP-Z2より大幅に進化し、調整もしやすくなった」としている。なお、回路自体は自社開発ではなく、「スケーラーで有名な某社と共同開発したもの」という。

○電動レンズアイリス機構

 LP-Z2の無段階手動絞りに代わるもので、アイリス(絞り)を63ステップで制御できる。各プリセットイメージモードに連動して作動するほか、ユーザーがリモコンから任意に変更することも可能。開閉率は100~約60%で、約0.6%刻みでのコントラスト調整が行なえる。電動アイリスで63段階は「業界最高」としている。

 アイリスを電動化した理由は、「イメージモードにアイリスを活かしたかったのと、リモコンから簡単に動作させたかったため」(同社)。なお、フォーカス、ズームは従来と同じく手動。

○新リアクトイメージモード

 リアクトイメージモードは、ランプの光量をシーンに応じて変化させ、コントラスト感を出す機構のこと。LP-Z2ではランプモードの1つとして組み込まれている。LP-Z3では、従来と同じ「リアクトイメージ1」に加え、「リアクトイメージ2」を追加している。

 リアクトイメージ2は、静音化を図るため従来より光量の可変幅を狭めたモード。具体的には、リアクトイメージ1がランプ輝度100~70%で可変するのに対し、リアクトイメージでは90~70%となっている。

「トパーズリアル」ロゴ リアル10ビットデジタル映像処理回路の解説

 また、プリセットイメージモード以外に、ガンマ(11ステップ)、RGBゲイン/オフセット(31ステップ)、アイリス(63ステップ)、輪郭補正(4ステップ)、黒伸張(ON/OFF)、コントラストエンハンスメント(4ステップ)を調整できる「アドバンストモード」が加わった。

 このうち、RGBのゲイン/オフセット、コントラストエンハンスメントはLP-Z3からの調整項目になる。

メニューの透明化が可能になった 新設の「アドバンスドメニュー」

 プリセットイメージモードは、階調性を重視した「ピュアシネマ」、メリハリのある「パワフル」などが追加され、計7モードとなった。従来の「シネマ」は、コントラスト感を重視した最近のハリウッド作品に対応する「クリエイティブシネマ」という名称で引き継がれる。

 コントラスト比はLP-Z2の1,300:1(絞り閉、リアクトイメージモード)から2,000:1(グラフィックモード)に引き上げられた。ランプ、レンズはLP-Z2と同じだが、ランプ光の散乱を補償する「ハイコントラストオプティカルシステム」を適正化するなど、光学系にチューニングを施した結果という。

 ホコリの混入対策も強化された。吸気口部のフィルターをLP-Z2比で3倍密のフィルターに変更。さらに、液晶パネル直下にホコリ吹き飛ばし用の穴を設けている。その穴に同梱の専用ブロアーの先端を差込み、ホコリを吹き飛ばす仕掛け。細かいホコリまで完全に取り去ることは難しそうだが、とりきれなかった場合は、従来通り出張サービス(保証期間中は無償)を受けられるという。

3倍密フィルター 底面にブロアーの先端を差し込む穴がついた。付属のブロアー以外での作業は保証しないという(写真は輸出用試作機)

 映像入力は、HDMI、RCAコンポーネント、D4、S映像、コンポジット、アナログRGBを各1系統搭載。

 リモコンのデザインも一新された。従来、主要ボタンのみだった自照ボタンをすべてのボタンに拡張。また、CANCEL、RESETといったボタンが追加され、CANCELはメニュー画面上で「戻る」ボタンとして利用できる。

新設計のリモコン

 そのほかの仕様はLP-Z2とほぼ同じ。パネルは解像度1,280×720ドットの0.7型ポリシリコンTFT液晶。エプソン製D4テクノロジー採用のパネルと見られる。レンズは光学1.3倍ズームで、100型16:9の映像を最短3mから投写可能。

 レンズシフト量は、上下最大3画面分(±1画面)、左右最大2画面分(±2分の1画面)。光源は135W UHP。明るさは800ルーメン(パワフルモード)となっている。外形寸法は359×273.5×116.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量は4.1kg。


■ 解像度964×544ドットの下位モデル「LP-Z1X」

フロントドアを閉めたところ

 LP-Z2の筐体をほぼそのまま使用した下位モデル。「大画面を気軽に楽しみたい層」(同社)に向けた入門機という位置づけになる。

 パネル解像度は964×544ドット。縦解像度がハイビジョン(1080i)の約半分なので、ハイビジョン映像の高品位なスケーリングが可能としている。コントラスト比は1,000:1、明るさは700ルーメン。トパーズリアルは採用していない。

 入力端子は、コンポーネント、S映像、コンポジット、アナログRGBを各1系統搭載。レンズ周り、動作音、外形寸法、重量はLP-Z3と同等。


■ 液晶リアプロを国内に投入。ただしテレビ向けは「難しい」

プロジェクターBUリーダーの佐藤信一氏

 都内で開催された発表会では、コンシューマ企業グループAVソリューションカンパニーの佐藤信一プロジェクターBUリーダーが市場への期待を語った。

 国内ホームユースプロジェクタの出荷台数は、2004年度に6万台、2005年度に10万台、2006年度に15万台と見込まれている。「年率40%の伸びが期待できるこの市場で、ナンバー1への地位固めをしていきたい」と述べた。

 今後は「コアコンピタンスの光学技術とデジタル技術を活用し、ニーズに応えるべく事業を推進したい」と抱負を語った。

 なお、前モデルのLP-Z2については、720pモデルの総販売台数でシェア1位を獲得し、単月の販売台数でも2004年1月、3月、6月、7月、8月においてシェア1位を獲得している(GFKジャパン調べ)。

 さらに佐藤氏は、液晶リアプロジェクションテレビの国内投入も発表した。4月に中国で発売している業務用モデルを「何らかの形で展開したい」と述べた。

 ただし、「日本市場の場合、(リアプロは)テレビというマーケットは難しいと考えている。ターゲットとしては、ホームシアターや業務用のモニターか。どちらかといえば宣伝広告に使えるのでは」と、薄型テレビとしての採用を否定した。

□三洋電機のホームページ
http://www.sanyo.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0409news-j/0910-1.html
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(2004年9月10日)

[AV Watch編集部/orimoto@impress.co.jp]


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