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【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
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モバイル放送株式会社は4日、衛星を使った世界初の移動体向け放送「モバイル放送」の開局発表会を都内のホテルで開催した。放送の愛称は「モバHO!」(モバホ!)。試験放送が現在行なわれており、本放送の開始は10月20日から。
対応端末は、11月1日に東芝が「MTV-S10」(予想価格6万円弱)を、シャープが11月19日に「4E-MB1」(同7万円前後)を発売。その後も、車載用端末やPCカードタイプ、携帯電話への内蔵なども予定されている。
モバHO! は、移動体向けに映像、音声、各種文字情報などを提供する衛星デジタル・マルチメディア放送。一部無料の音声チャンネルも用意しているが、基本的に有料のサービスとなっており、月額基本料金は400円。映像と音楽、音声チャンネルを視聴する場合、別途2,080円が必要。月額300円でデータ情報サービスを追加できるほか、音楽・音声チャンネルのみを購入することも可能。料金プランは下表の通り。
視聴までの流れは、まず家電量販店などや、Web通販、通信販売などで受信端末を購入。その後、無料チャンネルを使ってユーザーが受信状況をテスト。受信が確認できたら、同社の申し込み窓口に、電話か加入届けを郵送する。その時点ですべてのチャンネルの視聴が可能になり、その日から2週間が無料期間。その後、課金が開始される。 放送の周波数帯域は2.6GHz帯を利用。送信は東経144度、赤道上上空36,000kmに浮かぶSバンド放送衛星を利用。衛星に直径12mという超大型Sバンドアンテナを装備することで、パラボラアンテナなどを利用せずに、小型の端末に搭載したアンテナだけで受信が可能になった。また、地下鉄やビル影など、衛星からの電波が直接届かない場所では、地上のギャップ・フィラーから再送信を行なうハイブリッド・システムとなっている。
受信可能エリアは日本全体で、新幹線を含む電車内や、高速道路を走行中の車内などでも受信が可能。なお、電車におけるトンネル内の再送信対策は、10月20日の本放送開始時点で、山の手線、総武線、中央線など5線で対策済み。12月までに東海道線や横浜線など関東の11線も対応する。また、高速道路は都心から交通量の多い道路を優先的に、順次対応していくとのこと。
さらに、飛行機内でも視聴が可能。ただし、機内での利用について溝口哲也社長は「まだ飛行機会社と調整中」と説明。「ただ、モバイル放送に非常に興味を持っていただけているので、将来的に端末を機内に持ち込むのではなく、機内で飛行機会社が端末を提供してくれるサービスなどが行なわれるかもしれない」と、今後の展望を語る。
■ NHKや東京FM、TBSなどが番組を提供 チャンネル数は、映像7チャンネル、音声30チャンネル、データ情報サービス約60タイトルを用意。映像の総合チャンネルでは、「ディスカバリーチャンネル」など、CS放送の人気コンテンツを中心に放送。土日にはタカラモバイルエンタテイメントが提供する「TAKARAND」が、ショートムービーやアニメーションなどのエンターテイメント番組を放送する。 ほかにも、ニュースを中心とした「モバイル.n」では、NHKが「おはよう日本」や各時間帯のニュース番組を計5時間分、本放送から3日以上経過した「プロジェクトX 挑戦者たち」や「その時歴史が動いた」などの番組と、1週間経過した趣味や英会話などの番組を計3時間、計8時間分の番組を提供する。
ほかにも、「日経CNBC」、「TBSチャンネル」、「MTV」、「グリーンチャンネル」を用意。音楽・音声チャンネルでは、有線放送の各チャンネルや、東京FMがCSラジオ放送「ミュージックバード」で提供している「mb Jazz」や「mb Classic」を提供。データ放送ではニュースや天気予報に加え、占いやゲーム、コラム、宝くじやスピードくじの当選番号案内なども放送する。
■ 車載用やPCカードタイプ、携帯電話/PDAタイプなども 専用受信端末は東芝とシャープが同日に発表したが、それ以外にも12月1日に車載用受信機をモバイル放送が発売。その2005年後半までにPCカードタイプ、PDA用のCFカードタイプ、カーナビ連動タイプなどを開発・発売予定。その後は「低消費電力のLSIの開発が終了すれば、2005年後半から2006年にかけて携帯電話型の受信機も登場する」(同社)としている。 なお、会場には車載用受信機が展示されていた。レシーバ「MBR0101A」(41,790円)に加え、車載用のクレードル「MBZ0101A」(10,500円)、家庭用クレードル「MBZ0102A」(6,930円)をラインナップ。通常はレシーバと車載用クレードルを組み合わせて車内で利用するが、家庭用クレードルを購入すると、レシーバ部を取り外し、家の中でもモバHO! が楽しめる。
レシーバはFMトランスミッタを内蔵しており、カーオーディオや家庭用FMチューナとのワイヤレス連携が可能。また、12月15日にはレシーバ本体をトランクなどに設置する完全車載用のハイダウェイレシーバ「MBR0102A」(52,290円)も発売する。
■ 開局3年で加入者は最低150万人、目標は200万人
溝口社長は開局にあたり「世界初の移動体向け衛星放送であること」を強調。「携帯電話やブロードバンドの普及で、“いつでもどこでも”というユビキタス社会は実現しつつある。しかし、放送・テレビだけが取り残されていた。テレビは家庭に1台から、1人に1台になってきているが、人間は移動するもの。その生活に合った新たなメディアが完成した」と喜びを語った。
また、「個人向けモバイルテレビ」を、「今まで空白だった巨大なマーケット」と表現。開局後3年で最低150万人、目標200万人の加入者を目指す計画を明らかにした。
さらに、今後の展望について「我が社は88社の民間企業からの出資で作られた。オールジャパン体制とも言える。同じ衛星を共用して韓国でも年末にかけて独自の放送が開始されるが、今後はこの方式や技術を中国や東南アジア、米国、ヨーロッパなどにも広げていきたい」と語った。
□モバイル放送のホームページ (2004年10月4日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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