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松下、「満足すべき」上期決算
-「まだ危機は脱していない」と上方修正は見送り


中村邦夫社長

10月28日発表


 松下電器産業株式会社は28日、2004年度の中間期連結決算を発表。売上高は前年同期比19%増の4兆3,185億円、営業利益は96%増の1,563億円、経常利益は240%の1,373億円、当期純利益は243%の562億円となった。

上期の連結業績

 上期としては3期連続の増収増益を達成。さらに、7月時点の公表値を上回る実績となったほか、第2四半期の営業利益率は5.1%に回復し、1991年以来、13年ぶりの高水準。国内の売上高は日本ビクターを除いて増収になり、前年同期比31%増の2兆2,029億円に、海外の売上高は全部門で増収となる8%増の2兆1,156億円となるなど、中村社長が推進している事業構造改革のなかでも過去最高の決算内容になったといえるだろう。

 今回の決算内容について、中村邦夫社長は、「満足すべき以上の数字ができた」と自己評価したが、その一方で、「依然として危機は続いていると認識している。通期で営業利益率5%を獲得した時点で、危機を脱し、復活したと判断することになる」と語った。

 松下電器では、今年度で構造改革の方針を打ち終える予定で、来年度以降、改革成果の創出、成長、躍進ステージと位置づけており、2006年度の目指すべき姿として、売上高10兆円、営業利益で5,000億円、営業利益率5%を掲げている。

営業利益の推移 2006年に売上高10兆円、営業利益で5,000億円、営業利益率5%を掲げている

 一部アナリストの間では、今回の決算発表で通期見通しを上方修正するのでは、という憶測もでていたが、「材料高、原油高、円高という3つの不安定要素もあり、先行きの不透明感が払拭できない」(中村社長)とし、「第3四半期を踏まえて、上方修正を視野に入れた方向性を新たに打ち出したい」(川上徹也代表取締役専務)とした。


■「PDPの将来は明るく、成功する自信がある」

 今年度71品目を設定しているV商品は、上期で61品目を投入。PDPテレビ、デジタルカメラ、システムLSIなとの好調ぶりに支えられて、6,060億円の販売実績となった。

 薄型テレビやDVDレコーダーなどのパナソニック製品が中心となるAVCネットワークの売上高は前年同期比3%増の1兆8,836億円、営業利益は17%増の683億円。川上専務は、「AVCネットワークの利益率は第1四半期の1.9%から、第2四半期には5.2%に上昇しており、上期でも3.6%と上昇傾向にある」と説明。上期のトピックスとして、PDPテレビが1,000億円に到達したほか、デジタルカメラが9月に入ってからトップシェアを維持するなどの動きが見られた。

 製品ごとでは、PDPテレビが121%増の1,007億円、液晶とブラウン管をあわせたテレビが10%増の2,416億円、DVDレコーダーが前年同期並の740億円となっている。

V商品は上期だけで61品目を投入 AVCネットワークの利益率は5.2%に上昇

 AVCネットワークでの課題は、携帯電話。開発の遅れや、海外向けの携帯電話事業の落ち込みが影響しており、携帯電話事業を担当するパナソニックコミュニケーションズは、売上高で前年同期比2%減の2,399億円となった。だが、営業利益は83億円と前年同期比46%増加している。

PDPの販売状況

 PDPが得意とする大画面テレビ市場に液晶テレビが進出していることについては、「PDPの将来には明るいものがあり、事業の成功にも自信がある。そうでなければ尼崎に新工場設立の大型設備投資はしない。大画面化、高精細化、消費電力の低減、コスト削減という点で、液晶を凌駕できると考えている」(中村社長)と語った。

 一方、白物家電を中心としたアプライアンス分野の売上高は9%増の6,604億円、営業利益は99%増の378億円。斜め30度のドラム式洗濯乾燥機の人気に支えられた洗濯機分野で2桁の成長、猛暑の影響によってエアコンが17%増を遂げるなど、国内向け製品の好調ぶりが業績を支えた。

デバイス分野の業績

 デバイス分野の売上高は、前年同期比4%減の7,924億円となったが、営業利益は53%増の395億円。第1四半期の営業利益率は3.9%から第2四半期は6.1%に上昇している。また、電工・パナホームは、売上高が7,345億円、営業利益が246億円、日本ビクターは、売上高が12%減の3,603億円、営業利益は54%減の46億円となった。

 年末商戦および下期に向けては、「9月には一時的に落ち込んだが、PDPが牽引役となってAV機器が業績に貢献すると考えている。デジカメも引き続き伸びるだろうし、DVDレコーダーも加速するだろう。懸念は、米国経済の動向や、パソコンや携帯電話の頭打ちによるデバイス事業の先行き不透明感。トータルとしては慎重な見方をした方がいいと考えている」(中村社長)と語った。

 また、同社では、株主還元方針を変更し、従来の安定配当を基本に節目に記念増配の施策から、連結業績に応じた安定的かつ継続的な配当成長とすることを明らかにした。その結果、今年度は、年間配当額を当初公表よりも2.5円増配の15円とした。


□松下電器のホームページ
http://matsushita.jp/
□中間期 連結・単独決算概要
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn041028-4/jn041028-4.html
□関連記事
【7月29日】松下、第1四半期の最終利益は前期比1,216%
-65V型PDPテレビやホームネットワーク製品の発売を予告
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040729/pana.htm

(2004年10月29日)

[Reported by 大河原克行]


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