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アナログ・デバイセズ、第3世代SHARCに2モデルを追加
-400MHz駆動で自動音場補正にも対応


ADSP-21367

11月15日発表

連絡先:DSPSテクノロジー・グループ
     Tel.03-5402-8291


 アナログ・デバイセズ株式会社は15日、第3世代SHARCプロセッサの新モデルとして、最高400MHzのクロック周波数に対応した2モデルを発表した。AVアンプなどでのコンシューマ利用を想定した「ADSP-21367」と、プロフェッショナル・オーディオ機器用の「ADSP-21368」を用意し、サンプル出荷はどちらも2005年第一四半期を予定。1万個ロット時の価格は21367が29.95ドル、21368が34.95ドル。量産は2005年夏を予定している。

 また、同日には第3世代SHARCプロセッサなどのDSPを利用したオーディオ・システムの開発を容易にするというGUIベースのソフトウェア開発ツール「VisualAudio」も発表。こちらはサイトライセンス当たり参考価格1,995ドルで供給されている。


■ ADSP-21367/21368

新モデルのスペック表

 2モデルの最大の特徴は、400MHzで駆動するコアと、2MBitのRAMと6MBitのROMで構成されるオンチップ・メモリ・アレイを採用したこと。これにより、積和演算能力は800MMACsとなり、第2世代SHARCプロセッサのADSP-2116xの4倍、第3世代のADSP 21365/21364の600MMACsを超える性能を実現したという。

 オーディオ・プラットフォーム事業部のプロダクトラインマネージャ、コリン・ダガン氏は「オーディオ界のムーアの法則」として、「AVアンプが出始めた頃は5.1chや6.1chをサポートしていれば良かった。しかし、現在では8.1ch以上に対応するのが当たり前となり、96kHz、192kHzなどのサンプリングレートや、Windows Media 9 Professional(WMA9 Pro)、ドルビープロロジック IIxなどの新しいフォーマットを複数のチャンネルで同時に処理する必要も出てきた」とし、AVアンプにさらなる処理能力が必要だと解説。

 そして、今回の新モデルについて「これらの処理をこなしたうえでまだ余裕がある、強力なパフォーマンスを秘めている」と説明した。また、さらに高性能を必要とする新技術として、ADIのSHARC上で動作する新アルゴリズム「ART(オート・ルーム・チューナ)」を紹介。いわゆる自動音場補正機能で、マイクを利用して位相や遅延、音圧レベル、などを測定、機器や環境に合った音質補正を自動的に行なうというもの。新モデルを含めたSHARC上で動作し、低コストで自動音場補正機能を追加できるという。

オーディオ・プラットフォーム事業部のプロダクトラインマネージャ、コリン・ダガン氏 オーディオ界のムーアの法則。主要DSPの性能は2年で2倍になるという SHARC DSPを搭載した製品をリリースしているコンシューマ、プロ用オーディオメーカー

AVアンプ市場では、新しいフォーマットやアーキテクチャへの迅速な対応が求められているという

 21367/21368のそのほかの特徴としては、8個の全二重高帯域幅シリアル・ポート、S/PDIF送受信機、周辺回路からピンへの信号接続のための2個のシグナル・ルーティング・ユニット、4個の高精度クロック発生器などを搭載。また、8チャンネルのハードウェア非同期サンプルレート・コンバータも内蔵している。

 23367と21368の機能差は、マルチプロセッサ・サポートの可否で、21368はSIMD(シングル・インストラクション・マルチプル・データ)に対応。4個の21368を接続し、並列処理を行ない、プロ用機器の32ch、48chといった多チャンネルの処理を効率的に行なえるという。なお、コンシューマ用の23367のROMには、PCMやドルビーデジタル EX、DTS-ES、DTS96/24、WMA Proなどのアルゴリズムが収録されている。


■ VisualAudio

 また、コリン・ダガン氏は同日に発表したソフトウェア開発ツールの「VisualAudio」も紹介。同社が従来から提供していた総合開発デバッキング環境「VisualDSP++」上で動作するソフトウェアで、DSPが処理できる各機能をモジュールとして内包。GUIで機能をドラック&ドロップして配置し、繋ぎ合わせるだけで、アセンブラやC言語など使うことなく、コンシューマ用/プロフェッショナル用/ビジネス用のオーディオ機器が設計・開発できるというもの。

 製品開発のコストやリスクの低減、開発期間の短縮が見込めるだけでなく、ほとんどのオーディオ製品に共通なソフトウェアを内蔵し、フレームワークもカスタマイズできるため、ソフトウェアの再利用による派生製品の開発も迅速に行なえるという。

VisualAudio 搭載したい機能を左のメニューからドラッグ&ドロップするだけでコードの作成が行なえる

 さらに、作成したコードを評価ボードなどにダウンロードでき、リアルタイムで動作テストや試聴が可能。会場では「ADSP 21262」を搭載したボードを利用し、片方のチャンネルにトーンコントロールやディレイ機能をかけ、片方はそのまま出力するという2ch処理システムを試作した。コードの作成はすべてVisualAudio上からマウスのみで行なえ、トーンコントロールやボリューム処理機能をドラッグ&ドロップするだけで、わずか数分で作成・試聴が行なえた。

 DPSテクノロジー・グループの有田省吾ディレクターは「オーディオエンジニアがDSPエンジニアとは限らない。アセンブラやC言語を触ることなくシステムが構築できるため、基本的な部分の開発に手間をかける必要がなくなり、競合製品との差別化などに注力できるだろう」と、利点を語った。

ADSP 21262を搭載したボードでデモが行なわれた DPSテクノロジー・グループの有田省吾ディレクター

 なお、有田ディレクターは発表会の最後に、11月17日から19日までパシフィコ横浜で開催される組み込み技術展示「Embedded Technology 2004」に、同社が初参加すると発表。会場にて、Blackfinプロセッサを使ったマルチ・フォーマットデコーダや、ポータブル・メディア・プレーヤー、H.264デコーダ/エンコーダなど、各種リファレンスボードのデモを行なうことも明らかにした。


Embedded Technology 2004で展示を予定しているマルチ・フォーマット・デコーダ、H.264デコーダ・エンコーダ、ポータブル・メディア・プレーヤーのデモ機

□アナログ・デバイセズのホームページ
(15日現在、この製品に関する情報は掲載されていない)
http://www.analog.co.jp/
□関連記事
【2003年12月9日】アナログ・デバイセズ、第3世代SHARCプロセッサ4モデル
-低価格製品でもWMA9 Proやドルビープロロジック IIxに対応
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20031209/analog.htm

(2004年11月15日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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