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JEITA、2004年の電子工業生産と2005年の見通しを発表
-「ブルーレイとHD DVDの勝敗はハリウッドが決めるのではない」


安藤国威会長

12月21日発表


 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は21日、2004年の電子工業の国内生産と、2005年の電子工業生産見通しを発表した。2004年の国内生産は前年比106.1%の20兆4,827億円となり、3年ぶりの20兆円台を回復。2005年は民間設備投資や個人消費が拡大するが、デジタル景気の一巡や円高、原油高などによる景気の減速が予測されるため、伸び率は同102.9%の21兆670億円と予測した。

電子工業生産全体の推移

 安藤国威会長は「2002年初頭から始まった拡大基調は、2004年も堅調に推移し、引き続き緩やかな回復が続いている。米国経済の今後や原油の問題など、先行きの不透明感はあるが、成長余力はまだ十分にあり、さほど悲観する必要はないと考えている」と語った。

 また、製品の部門別では「新三種の神器と言われた薄型テレビ、DVDレコーダ、デジタルカメラを中心とした、いわゆるデジタル家電が好調にビジネスを引っ張ってくれた。オリンピックなども重なり、今年は爆発的に広まったというイメージだ。デジタル景気は一巡しつつあるかもしれないが、この傾向が2005年も続くことを期待している」と説明した。

分野別の推移

 こうしたデジタル家電にカーナビなどを加えた民生用電子機器部門の生産は、前年比114.6%の2兆6,520億円。輸出も欧米やアジアでのデジタルカメラや薄型テレビの需要が増加しており、2004年1月から10月までの実績で前年比106.3%の1兆4,951億円。中でも液晶テレビは同155%という大幅な伸びを見せている。

 国内では、PDPが金額ベースで2,180億円(前年比100.7%)。液晶テレビは数量ベースで前年比150%と伸びているが、画面の大型化が進み、単価が上昇したことで、金額ベースでも4,050億円(同196.3%)と2倍近い生産額が見込まれている。なお、アテネオリンピックが開催された7月のテレビの生産は513億円(同170.1%)となった。

 DVD関連機器は、プレーヤーが海外生産にシフトし、国内生産の主力はレコーダに推移。レコーダの需要が増加したことで、1,580億円(同114.9%)の2桁成長が見込まれる。

民生用電子機器の品目別生産推移

 また、民生用電子機器全体の2005年の見通しは、3兆190億円(前年比113.8%)と、'93年以来12年ぶりに3兆円を超えると予測。製品別では、テレビ全体が2,398億円(同110%)。低価格で数量が多いCRTに代わり、単価の高いPDPの国内需要向けの生産が多くなるため、数量ベースは微増(同102%)。液晶テレビは価格の下落が数量の増加にもつながり、6,700億円(同165.4%)と予測した。

 さらに、地上デジタル放送のエリア拡大に伴い、DVD関連ではデジタルチューナを内蔵したレコーダの増加が見込まれ、1,750億円(前年比110.8%)と予測。反面、録音再生装置部門では、「メモリーオーディオプレーヤーやHDDオーディオプレーヤーなど、国内需要を喚起する要素は一部にあるものの、海外生産シフト、テープレコーダの世界的名需要減少もあり、引き続き縮小傾向にある」として411億円(同83.1%)とした。

電子デバイスの分野別生産推移。液晶デバイスの伸びが著しい

 そのほかの部門では、2004年の産業用電子機器部門が、電子応用装置や電器計測器が2桁を超える好調な伸びを示したが、前年カメラ付き携帯電話に牽引されて大幅増となった携帯電話が、3Gへの移行端境期にあたることや、前年の反動減などで伸び悩み、PCも本格回復には至らず、全体としては7兆7,736億円(前年比99.6%)となった。

 なお、2004年の電子デバイス部門では、液晶デバイスが1兆8,826億円(前年比122.5%)と好調。2005年も2兆1,210億円(同112.7%)と、引き続き高い成長が予測された。液晶テレビでは新世代ラインの稼動によるパネルの低価格化が進行することから、国内では一部の新世代生産ラインを除き、同分野向けの生産は大きく伸長せず、アクティブ中小方の生産へのシフトが進行するという。


■ ブルーレイ vs HD DVDの勝敗はハリウッドが決めるわけではない

 デジタル家電が牽引している現状において、ITバブルの崩壊のような事態が起こるのではないかという質問に対し、安藤会長は「ITバブル崩壊時には、需要をIT機器に依存していた電子デバイスも同時に激しく落ち込むなどの現象が見られた。しかし、現在のデジタル家電、AV機器などの製品は多岐に渡っており、1つがはじけると全体がダメになるという構図ではない」とし、市場が安定感のある成長を続けているという考えを示した。

 また、ソニーがフラットテレビ事業を液晶とリアプロに集中すると発表したことや、ブルーレイディスクとHD DVDの次世代光ディスクフォーマットの競争が激化し、ハリウッドのメジャースタジオの取り合いのような状況が起こっていることについて質問されると、ソニーの社長でもある安藤氏は「ホットな質問で、JEITAの会長としては答えづらい。PDPの件はあれほど各誌で大々的にとりあげられると思わなかった」と記者団の笑いを誘いながら、「全ては個別の企業の戦略によって左右されるべきもの」とした。

 さらに、「ディスプレイに関して言えば、PDP、液晶、プロジェクション、SEDなど、用途や大きさによって様々な技術が利用できるようになった。昔のようにCRTを作っていないからディスプレイに積極的でないという時代ではない。海外マーケットのようにリアプロが求められる市場もあり、用途によって使い分けて、使用する技術を絞り込むのは企業の戦略的に当然のこと」と語った。

 また、次世代フォーマット競争については「ハードは良いコンテンツがあってはじめて活かされるのは確か。だが、昨今のメディアは、ハリウッドのスタジオがどの陣営に付くかということが焦点になっている風潮がある。しかし、コンテンツ側が主流フォーマットを決定権をすべて持っているわけではない。逆に言えば、コンテンツ側はどちらであれ、主流になったフォーマットにソフトを供給することになる。現に、“ブルーレイ、もしくはHD DVDをサポートする”としたコンテンツホルダで、“HD DVD、もしくはブルーレイのソフトは出さない”と言っているところは1つもない。現在のサポート表明は、どちらの陣営とより親しいかという程度の話でしかない」と、過熱する報道に疑問を投げかけた。

□JEITAのホームページ
(12月21日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.jeita.or.jp/japanese/
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-PDP継続も、事業の中心は液晶/リアプロに
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20040925/etc_ctv200bl.html
【2002年12月20日】JEITA、2003年の民生用工業生産を3.8%増と予測
―PDP、液晶テレビ、DVD関連が堅調
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20021220/jeita.htm

(2004年12月21日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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