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シャープ、町田勝彦社長が年頭記者会見
-「太陽電池を、液晶に続く第2の柱に」


町田勝彦社長

1月12日開催


 シャープ株式会社は12日、都内のホテルで年頭記者会見を行ない、町田勝彦社長が亀山第2工場の建設を含む今年度の方針などについて明らかにした。


■ 太陽電池を第2の柱に

温暖化負荷ゼロ企業を目指すという

 冒頭、町田社長は、「'98年に社長に就任した時に、2005年には国内のテレビを液晶に置き換えるとしたが、2004年でこれがほぼ達成された。今年から新たな企業ビジョンを持って動く必要があると考え、新たな方針を掲げる」として、「2010年までに温暖化負荷ゼロ企業を目指す」との方針を示した。

 温暖化負荷ゼロの基本的な考え方は、「シャープの事業活動に伴う温室効果ガスの排出量に対して、同社が市場に導入する太陽電池による省エネ化、新商品群の省エネ化によって得られる温室効果ガスの削減量とのバランスが取れる状態」だという。

 町田社長によると、「太陽電池を110万戸に導入すれば、当社が排出している温室効果ガスを相殺できる計算。現在、23万戸の導入実績があるが、2009年までに毎年17万戸ずつ導入すればこれが達成できる」と説明する。

 2006年度には、住宅への太陽電池導入の補助金制度が廃止されるなどの逆風もあるが、「海外での導入に加速がついており、大規模な産業向け案件もある。さらに発電、採光、発光の3つが可能な太陽電池を開発しており、ガラスを採用したビルのガラス面部分にも導入するといった新たな使い方も期待できる」などとした。

 太陽電池事業は、2004年度は前年比50.3%増の1,100億円であったものが、2005年度に1,500億円、2006年度に2,000億円に達すると予測しており、「第2の事業の柱にしたい」と語った。

 そうした意味もあって、今回の会見では、太陽電池事業の説明に時間を割いたのが特筆できたものといえよう。

液晶事業に加え、太陽電池事業にも注力する 太陽電池事業を2006年度に2,000億円にまで育て、第2の柱にするという 発電、採光、発光の3つが可能な太陽電池を開発中。ビルのガラス面部分にも導入できるという


■ 液晶で大画面化に力注ぐ

 しかし、会見での注目はやはり液晶事業だ。町田社長は、昨年12月に、液晶テレビが累計500万台の出荷を達成したことを示し、「最初の100万台までには2年間かかったが、400万台から500万台への100万台はわずか3か月で達成した。液晶テレビの需要はますます旺盛になる」と指摘した。

亀山第1工場では、2005年4月には第3期ラインの稼動によって4万5,000台にまで拡大

 その需要に対応するために、2004年1月に稼動した亀山工場のマザーガラスの投入枚数を、昨年8月の月産2万7,000台から、2005年4月には第3期ラインの稼動によって4万5,000台にまで拡大。「歩留まりも90%程度にまで高まっており、32インチ、37インチを中心に生産を増強させる」とした。

 また、今回新たに発表した亀山第2工場は、2006年10月の稼動を目標に1,500億円を投資し、建設を開始。当初は、月産1万5,000枚からスタートし、2007年には3万枚にまで拡大する。

 「第8世代の生産ラインとして、2,160×2,400mmの世界最大のサイズを生産する。40インチで8枚、50インチで6枚のパネルを取ることができ、また、32インチでも最適なサイズとなっている。大画面分野はプラズマと競合する厳しい市場だが、フルHD解像度の品質面では、液晶に分があると判断しており、今後はコスト削減努力によって、40インチ、50インチクラスに積極的に打って出る」と強気の姿勢を見せる。

 すでに発売している45インチ液晶テレビが予想を上回る売れ行きを見せていることも、液晶大画面化を加速する要因のひとつなっている。

 「将来は、37インチが主戦場になると見ている。大画面テレビは日本の家庭内には置く場所がないといわれるが、6畳間でも、液晶テレビならば、画面が高精細であるため、近くで見ても苦にならない。場合によっては40インチ台が準主役になる可能性もある」と説明した。

亀山の第2工場では、搬送距離や生産リードタイムの半減を実施し、第1工場と比較して、約2倍の投資生産性を図るという

 プラズマとの競合ではコスト面の課題が残るが、町田社長は、「コストの6割を占める原材料費に関してコスト削減を進める。部材メーカーとの新規部品の開発や、コストダウンへの取り組みを行ない、ダウンできるところは削減していく。また、生産プロセスの改善などによる工場内搬送距離、生産リードタイムの半減を実施し、第1工場と比較して、約2倍の投資生産性を図る」という。

 これまで第1工場では、生産に関わる搬送距離が2.5kmにも達しており、これを1.2kmに削減するほか、ターンアラウンドタイムを14日間から7日間に短縮する。また、バックライト、カラーフィルム、偏光板などのキーデバイスのコスト削減を重視するという。

 「2006年度にコスト半減が実現できれば、2007年度には少なくとも45インチで、現在の半額となる1インチ1万円を切ることになるだろう」とした。

 さらに、中小型液晶を生産している三重第3工場の第3期ラインを2005年4月に稼動。2インチ換算で月産680万台、シャープ全体では月1,900万台の規模へと拡大する。同社では、これらの生産施設の強化によって、2005年度は8,300億円の事業規模を見込んでいる。

三重第3工場の第3期ラインは2005年4月から稼動 2005年度は8,300億円の事業規模を見込んでいる


■ 大画面化でのリスクヘッジは?

 質疑応答でも亀山第2工場の話題に質問が集中した。サムスンが第7世代で2,000億円規模の投資をするのに対して、1,500億円規模の投資で済む点に関しては、「弊社も出資しているフューチャービジョンでの製造装置開発成果、プロセス開発成果を導入しており、これが亀山第2工場のコストダウン化に密接に連携している。海外の競合会社よりも安く導入できる」とした。

 また、大画面に特化することでのリスクヘッジについては、「将来的には37インチ以上の大画面テレビの主役になると見ているが、ここれまでの大型にこだわらなくとも、第8世代は32インチでも効率的に利用できるメリットがある。また、65インチは、第6世代の方が生産には効率がいいこともあり、サイズによっても、うまく工場を利用できるような仕組みを構築している」という。

 町田社長は、「液晶など、当社独自の技術によるオンリーワン企業を目指す一方、今後は環境技術への対応なくして、企業の成長はないと考えている」とし、環境への対策に今後重点的に取り組んでいく姿勢を改めて強調した。

□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
□ニュースリリース(亀山工場 新たに第2工場を建設)
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/050112-a.html
□関連記事
【1月12日】シャープ、亀山工場に大型液晶パネル向けの第2工場を建設
-第8世代のマザーガラスで40/50型を中心に製造
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050112/sharp.htm
【2004年10月27日】シャープ、2年連続で中間期最高記録を更新
-液晶テレビの大画面化が加速
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20041027/sharp.htm

(2005年1月13日)

[Reported by 大河原克行]


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