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株式会社ピクセラは、デジタル放送をHD品質で録画/再生できるテレビキャプチャカード「PIX-DTTV/P1W」を開発。4月末よりOEMでの出荷を開始する。OEM販売のみのため、価格については明らかにしていないが、複数のメーカーへの供給が決定しているという。
地上デジタル/BSデジタル/CSデジタル放送を、ハイビジョン映像のままPCで録画/再生できるテレビキャプチャカード。ハイビジョン品質で録画できるパソコン用のキャプチャカードは「PIX-DTTV/P1W」が初めてとなる。 デジタル放送の録画については、ARIB(アライブ/社団法人 電波産業会)の標準規格に準拠しながら、ハイビジョン画質での録画/再生を可能とした。パソコンでのデジタル放送録画については、著作権保護の施されていない汎用バスであるPCIバスへのデジタル放送の映像ストリームを流すことができないため、例えばカノープスの「MTVXシリーズ」では、キャプチャカード上でSD解像度にダウンコーンバートしながら暗号化を施すなどの対応を実施。 また、大手メーカーPCで唯一デジタル放送録画に対応しているNECの「VALUESTAR TX/TZ」のデジタル放送対応モデルでは、デジタルチューナカード上に入力されたストリームを、暗号化のチップを介してHDDに蓄積。カード上に480pへのダウンコンバート用のデコーダを搭載し、出力する時はカード上で暗号を解除してからダウンコンバートし、出力するという仕組みを採用するなど、各社が独自の対応を行なっていた。そのためデジタル放送を元のMPEG-2 TSストリームと同じHD解像度で視聴できる製品は存在していなかった。
今回ピクセラがOEM向けに提供する「PIX-DTTV/P1W」では、デジタル放送のMulti2暗号をPCIカード上でデコードし、独自の暗号化を施してHDDに蓄積。HDD記録データもソフトウェア的な暗号化を施すことで、ARIB標準規格に準拠しながらハイビジョン記録を可能にしたという。 録画したデジタル放送番組は、録画したPCのみでしか再生できず、ダビングやムーブも行なえない。また、再生には専用のソフトウェアが必要で、Windows Media Playerやサードパーティ製のDVDプレーヤーソフトなどでは再生できない。 なお、ライブ視聴時でもPCIバスを流れるデータは暗号化を施しており、ハイビジョン映像をそのまま視聴可能となっている。なお、再生画像はPCでのソフトウェアデコードとなるため、PCの性能もかなり高スペックを要求される。デモ機ではPentium 4 3GHz以上で30%強のCPU利用率となっていた。ビデオカードのMPEG再生支援機能などを用いることでCPU使用率を下げることはできるという。 ピクセラではハードウェアのほか、ソフトウェアやドライバ、BMLブラウザ、MPEG-2 HLデコーダなどを一貫して自社開発し、それらをセットにしてOEM先に供給する。対応OSはWindows XPのみ。
チューナはシャープ製で、地上/BS/110度CSデジタル放送に対応。録画方式は独自暗号化後のMPEG-2 TSのストリーム記録のみで、SD解像度へのダウンコンバートなどは行なえない。B-CASカードリーダやソフトウェア側でのデジタル放送対応などが必須となるため、リテール版の販売は当面行なわないという。
同社の藤岡浩社長は、ハイビジョン映像をそのまま記録/再生もできるというメリットをアピールし、「PCIバスの暗号化などさまざまな問題があったが、各メーカーと協力し解決でき、ARIBのみなさんに了解していただいた。パソコンでのデジタル放送録画において著作権の諸問題を初めて解決した、PCにおけるAVソリューションの一つの方向性として注目して欲しい」と語り、地上デジタルテレビと、地上デジタルの1セグ放送、地上デジタルラジオなどのモバイル向けのソリューションに注力していく姿勢を明らかにした。 地上デジタルラジオ関連のトピックは別記事で追ってレポートする。 □ピクセラのホームページ (2005年3月31日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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